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オオエドパンツァー  作者: えいとら
2章 アイドル
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コラボ配信3

 私——月影シノブは、夜になったキンザの空に飛び上がります。


ナノマシーン衣装で「忍術lv1」のスキルを発動し、ワザをコールします。


「カトンまぐなむ!」


 同時に私のナノマシーン衣装の手甲からマイクロミサイルが発射されます。


次の瞬間、“カトンまぐなむ”が命中した敵のカラクリ(アンドロイド)さんが、爆発炎上しました。


 そして、私が着地したと同時に、敵さんが、私に向けて機関銃を斉射します。


「ボクに任せて!」


 と言った、織姫ココロちゃんが、私の前に立ち、スク水のナノマシーン衣装から、

水色のシールドを発生させます。


敵さんの機関銃の弾丸は、ココロちゃんのその水色のシールドで跳弾し、近くのネオン看板を貫きます。


パパン!パパン!と、いくつものネオン管が弾ける音がして、ガラスの破片が私達の周りにキラキラ落ちてきました。


 私は、笑顔でココロちゃんに言います。


「ありがとうございます!ココにゃん!」


「シノブちゃんの為なら……これぐらい……平気だよ?」


 再び、ココロちゃんと私は、走り始めます。




 霊倭新鮮組フレッシュギャングさん達の隙を付いた私達は、高級ランジェリーショップから出て、広い車道で戦っていました。


その理由は……お店の中で闘うと民間の人達に被害が出てしまうからです。


 そして、私達はSABIちゃんが提案する「機動戦」という作戦を採り、

「車道を走りまくり敵さんを倒す」って感じのヤツを繰り返していました。


 東奉行所のSABIちゃんは、こういった作戦を立てるのが得意な戦闘AIですから、今のところ私達は順調に戦っています。


 ここで、我らが西奉行所のWABIちゃんのホログラムが出現します。


「シノブ様!

 ナユタ様が、バイクにてこちらに急行中です!

 到着予想は、約5分後です」


 私は、めっちゃ驚いて聞きます。


「え!?プロデューサーさんって入院中じゃなかったんですか!?」


「ええ。そうでしたが……ナユタ様は、担当医様の制止を無視し、病院を抜け出されました。

 よって、現在こちらの救援に向かっています」


 という事は、プロデューサーさんって、私の為に、病院を抜け出して来たんですか?


——と思った瞬間、胸が「きゅっ」と締め付けられました。


そしてその、本日最大の締め付けられる想いに、私は滅茶苦茶に戸惑いました。


 そして、今気付いたのですが……

この種の胸の締め付けって、ちょっと気持ちが良いんです。


 え?

胸が苦しいのが気持ち良いって、私って変態さん??

ついにプロデューサーさんの変態さんウィルスがクラスター化したんですか??


——みたいな感じで、かなりパニくった私は、走りながら頬を真っ赤にし、訳の分からない事をのたまいます。


「そ、そうなんですね……プロデューサーさんが援軍で……白馬に乗って…関ヶ原に駆け付けて…小早川を……」


 そして私は、さきほど高級パンツが買えなかった事を、後悔します。


 なぜなら、今日の私のパンツは、「若干問題あり」だからです。


 あ……いや。違いますよ??


プロデューサーさんにパンツを見せる為じゃないんですよ!?


あくまで、オシャレの観点から「若干問題あり」なんですよ!?


だって…今日のパンツはその……

お母様が何故か唐突に買って来たやつなんです。


だから、ちょっと子供っぽ過ぎるって言うか……


お尻部分の模様の主張が強過ぎると言うか……


恥ずかし過ぎるって言うか……


 そんな感じに——私が本日の自分のパンツに不安を抱き始めたところで、

ツンデレ幼女のSABIちゃんが現れ、現状の報告をします。


「ナユタが一番近かったようだから、彼が一番最初に救援に来るわ。

 ただ……西奉行所、東奉行所本体の救援は、

かなり時間がかかるみたいね……。

 だから、それまでは、このまま『機動戦』を続けて持ち堪えるのよ!!」


 織姫ココロちゃんが走りながら、SABIちゃんに質問します。


「『機動戦』って事は……

このまま走って逃げて……

敵さん達をアタフタさせれば良いんだね?」


 SABIちゃんは、小さな手を腰に当て、少しプンプンしながらツンデレに答えます。


「理解の悪い子ね??

要は、ヒット&アウェイの一撃離脱よ!!

 ココロとシノブの速さなら、アイツらみたいな素人の銃撃には当たらないから、とにかく走って翻弄するのよ。

 そして、孤立した敵を、さっきみたいな二人の連携で各個撃破するのよ!!

 ただし、狭い所には要注意よ!

 敵に囲まれたら蜂の巣にされちゃうわ。理解できた!?」


 少し気持ちが落ち着いた私が、言います。


「SABIちゃんの説明は分かりやすい方だと思いますが……。

ただ、少し、喋り方が早過ぎます」


 ココロちゃんもそれに続きます。


「そうだね……ツンデレも良いけど……

もう少し…優しく……ゆっくり……

話してほしいな」


 ツインテール幼女なSABIちゃんは、さらにプンプンして言います。


「私は!ツンデレじゃないわよ!!

 アンタ達みたいにスッとろく話すのが苦手なだけよ!」


 そこで、大人美人なWABIちゃんが、私達に笑顔で簡単に説明してくれます。


「要は――とにかく逃げて下さい。それで、孤立した敵が居れば倒して下さい。

 作戦としては『いのちをだいじに』と捉えて頂ければ良いかと…」


 そのWABIちゃんの説明を聞いた私とココロちゃんは、「わぁ!わかり易い!」とか「流石、WABIちゃんですね!」と言って喜びます。


 それを見た幼女のSABIちゃんは、大人なWABIちゃんの方を向き、言います。


「ちょっと!WABIちゃん!!

 私の仕事を取らないでよ!!戦術は私の役割よ!!」


「そう言われましても……肝心の使用者様に、作戦が伝わらなければ元も子もありません。

 ワタクシは、SA型……失礼……“SABIちゃん”よりも語彙の柔軟性には欠けますが、平易な説明をするのは得意でございます。要は『役割分担』かと」


 それを聞いたSABIちゃんは、さらにプンプンします。

少々死語ですが、言うならば「激おこプンプン丸」です。


「私の語彙は、ヒノモトのアニメ100年分の『ツンデレ口調』の平均値を取った、ツンデレ口調の集大成的な語彙よ!?

 あんたの堅苦しい“いにしえのAI 口調”よりも、ぜんっぜん分かりやすいんだから!!」


「しかし、お言葉ではございますが、SA型……失礼……“SABIちゃん”がおっしゃる……」


 と言う感じで、ヒノモト最強の戦闘AI WABISABIの二人が喧嘩を始めたところで、私達は、再び敵さん達を発見します。


 瞬時にSABIちゃんが索敵結果を報告します。


「敵カラクリ(アンドロイド)2体!

前方100m!接近中!

撃破しなさい!!」


 続いてWABIちゃんも言います。


「敵は軽機関銃と散弾銃で武装。

接近に伴い、ワタクシが敵エイムシステムをハッキングし無効化します。

 よって、正面から撃破可能です」


 喧嘩しながらもサイバー戦までこなす賢さは、

流石戦闘AIです。私にはそんな器用な事は出来ません。


 

 優秀な二人のWABISABIのお陰で、ココロちゃんと私は分担して、簡単に敵さんを倒す事が出来ました。


そして、敵さん2体を倒し、また走り出したところで、ココロちゃんが私に言います。


「流石に…… 疲れてきちゃったよ……

それに……

スク水のお股が……擦れて……」


 私は、霊倭新鮮組フレッシュギャングさんの機銃掃射を避けながら返事をします。


「確かに、もう30分は走りっぱなしですし、休憩が必要かもしれません。

 スク水のお股にはついては……ノーコメントでお願いします」


 と、私達が疲れて来たところで、拡声器の大きな声が聞こえて来ました。


「アイドル共!!聞こえているか!?」


 私達が振り向くと、ひときわ派手な違法改造トラックの屋根に乗った霊倭新鮮組フレッシュギャングの男の人が、拡声器を構えてます。


彼の違法改造トラックには、鉄板や、カラフルなネオンや、機関銃がゴテゴテ付いています。


 さらに、その車体側面にデカデカと赤く描かれた『天誅』という文字の雰囲気も合わさって「フルアーマーデコトラ」と呼べる感じです。


 そして、その——「フルアーマーデコトラ」の彼は、拡声器をハウリングさせながら続けて言います。


「我々、討幕の志士!

霊倭新鮮組の志を阻む行い!!

美少女アイドルの貴様らと言えども、許されざる行い!!

 よって!ソビカの国家元首様の名の下、ヒノモトの安寧の為、貴様らに天誅を下してやる!!」


 それを聞いた幼女のSABIちゃんが呟きます。


「隣国の国家元首の名でヒノモトの安寧を語るとか……。

あいつらの政治理念……全く理解できないんだけど……」


 大人のWABIちゃんも呟きます。


「おそらく、あの方達も理解は出来ていないかと存じます。

暴走した政治活動集団の成れの果てと言えます」


 私は、その「フルアーマーデコトラさん」に向かって叫びます。


「あなたの言ってる事は、よく分かりませんでしたが!!

市民の安全を脅かす、あなた達が犯罪者さんである事に変わりはありません!!

 ですから、ともかく!さっさと投降してお縄について下さい!!」


 私の話を聞いて、フルアーマーデコトラさんは「ガハハ」と笑い、言います。


「笑止千万!!

 ならば思い知るが良い!!

 キチク芸能社からパクった…じゃなかった…借り受けた、この最終兵器の異様を!!」


 そう言って、フルアーマーデコトラさんは、アタフタとトラックの屋根の上から降りて、荷台に向かいました。


 私がその様子を見てると、私の後ろから声が聞こえて来ます。


「すまない。待たせたな」


 そこには、息を切らせたプロデューサーさんが立っていました。


 私は、喜色満面に言います。


「プロデューサーさん!!??」


 でも彼の顔を見たその瞬間……

私の胸は「きゅん」どころか「ズギューン」って感じになってしまい、顔が信号機よりも真っ赤になってしまいます。


 やはりこれは……心不全!?


 てか、私の顔!熱すぎ!!


 やっぱ、私、死ぬの!?!?


 ——という感じで、死を意識し始めた私を他所に、プロデューサーさんは質問します。


「ヤツらは何をしてるんだ?」


 顔が茹でダコ化して行動不能の私に代わり、WABIちゃんが説明します。


「現時点では、詳細は不明ですが、

敵の霊倭新鮮組フレッシュギャングは、『最終兵器の準備中』だそうです」


「最終兵器?……ってなんだ?」


 とプロデューサーさんが言ったと同時に……


 デコトラの箱型の荷台が、昼間のような明るさでスポットライトに派手に照らされます。


 そして、ゆっくり荷台の扉が上方向に開き……

スモークと共に、蛍光レッドの塗装が輝く、カッコいいロボが出て来ました。


 そのカッコいいロボのコックピットには、先程の「フルアーマーデコトラさん」が乗っていました。


 そして、彼はドヤ顔で言います。


「ふははははははははは!!

政府の犬共!恐れおののけ!!

 これが!キチク芸能社の最新鋭パワードスーツ!

——『美少女殺し(アイドル@バスター)』だ!!」

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