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TS魔王の配信道  作者: ヤカン侍
8/10

7話

今日は配信をお休みして渋谷に来ている。収入が入ったことで配信用のカメラが買えるようになったのだ。ちなみに渋谷に来るのはこれが初めてだ。一度は来たいと思っていたのでこれを機会に行くことにしたのだ。


休日という事もあって人が多い。インドアの我にとってこの人混みは少々疲れる。


すれ違う人たちからなんかミられている気がする。なんだろうか。我の格好が変なのか?まぁ別にオシャレな服を着ている訳では無いがそこまで変な服装はしていないつもりだ。

実際我の服装はダボダボした無地の黒いパーカーにスキニーパンツというシンプルな格好である。楽で動きやすいため外を出る時はだいたいこの格好で出る。


そんな心配をしているが実際は、


(うわぁ……すげー美人のひとがいる?!)


(モデルさんとかかな。)


アリスの完全な杞憂だった。前世が魔王であり嫌われている存在であったため人から好意を抱かれることに関してまるで慣れていないのであった。


とりあえず、事前に調べていた店に行こうと歩いていると、清潔感のある服装をした男性に話しかけられた。


「すいません、ちょっとお時間よろしいですか?私、こういうものなのですが…アイドルとかって興味ありせんか?」


そう言って名刺を渡される。どうやらアイドル事務所のスカウトらしい。


「申し訳ないが、我…じゃなくて私はそういうのに全く興味が無いんだ。他の人をあたってくれ。」


こういうのは長引くと面倒になると思った我は早々に話を切り上げ、その場を立ち去る。

そして、しばらく歩いていると今度はスーツを着た男性に話しかけられた。


「お姉さん、芸能人とかって興味はありませんか?」


「ない。」


今度は立ち止まることなくキッパリと一言だけいい、立ち去る。我はアイドルやら芸能人は大変そうなイメージしかないのでなるつもりは微塵もなかった。

その後もさらに何人かにスカウトされ、我は若干イライラしながら早歩きで店に向かう。そんな我に追い打ちをかけるかのように、また話しかけられた。相手が切り出す前にさっさと断るとこにした。


「私はアイドルにも芸能人にもなりたいとは…「お姉さん僕と一緒にM-1で優勝を目指しませんか!」、どんな勧誘だ!相方を探してるなら絶対にここではないだろう!養成所やらネットの掲示板で探せ!」


全く世の中にはこんな勧誘があるとは、さすがに疲れたな。ちょっとそこのベンチで休憩してから行くことにしよう。

幸いにも時間はあるため自販機で飲み物を買い、ゆっくりしてから行くことにした。


「や、やめてください!!」


我がちょっと一息ついていると、少し離れたところで女性の怒ったような声が聞こえてきた。

そこにはガラの悪い2人組の男性と怯えた様子の女性がいた。


「そんなこといわずにさぁ、俺らと遊ぼうよ。」


「そうそう、お姉さんも暇でしょ?ちょっとだけでいいからさ。」


「ですから、さっきから嫌と言ってるじゃないですか!こ、これ以上しつこくしたら警察呼びますよ!」


どうやら、2人組のの男性にしつこくナンパされているようだった。女性が携帯を取りだし、電話をかける素振りをするが2人組は慣れた手つきで女性から携帯を奪う。


「おっと、危ない危ない警察なんか呼ばれたら面倒くせぇからな。ほら、携帯返して欲しかったら遊んでよ。」


「か、返してください!」


「あ〜もう面倒くせぇ。いいからいくぞ!!」


そう言って男性は女性の腕を掴み無理やり連れていこうとする。


「い、痛い!離してください!だ、誰か!」


女性が周りに助けを求める。しかし、周りの人達は女性から目線を外し、その場から去ってしまう。女性が絶望したような顔をする。


――仕方ない我が助けてやるか。


「おい、何をしている。」


「あぁ?なんだテメェは?それともお前が俺たちに付き合ってくれるんのか?」


「生憎、私はお前たちのような頭が悪そうで品のないやつは好かんのでな。振られたのならさっさと諦めろ。」


「テメェ!黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!」


2人組の片方の男が胸ぐらを掴もうとこちらに手を伸ばしてくる。その腕を掴み捻りあげ、持っている携帯を取り返す。


「痛デデデ?!」


「全く沸点の低いやつだな。」


「このクソアマァ!!」


もう1人の男がこちらに殴りかかってくる。それを避け、相手の懐に潜り込み、相手の腕を抱え込んで一本背負いを決める。


「かはっ?!」


「これに懲りたら同じような真似はするなよ。」


前世のような魔法は使えないが生身の戦闘も得意な我に掛かればこの程度造作もない。呆けている女性を連れその場を離れる。


「ほれ、携帯だ。今回は災難だったな。」


「本当にありがとうございます!なんとお礼を言っていいか。」


「別に気にするな。お互い特に怪我もないんだからそれでいいだろう。」


「いえ、ダメです!なにかお礼をさせてください!」


このまま立ち去ろうと思ったが、女性が頑なにお礼をすると言って聞かない。真面目な人だな。別にお礼なんかなくてもいいのに。しかし、お礼と言われても特に思い浮かばない。いや、折角だしダメ元で聞いてみるか。


「そこまで言うんだったら一つだけ。こう見えても私は配信者をしているのだが、配信用のカメラを買おうと思ってななにかオススメとかないか?」


「そうなんですか?!実は私も配信しているんですよ!配信用カメラならこの近くにオススメあるので案内しますよ!」


「自己紹介してなかったな私はアリスという。」


「アリスさんですね。私は月城 四葉と言います。四葉と呼び捨てで呼んでください。ちなみにクローバーって名前で活動してます。」


なんと偶然にもこの女性も配信者だった。真面目なひとの印象だったため少し意外だった。店に着くまで軽く四葉と雑談する。どうやら四葉は登録者10万人程いる配信者だった。そして、配信でのあーだこーだを話していうちに店に到着する。


「このカメラなんかオススメですよ。一眼のような高画質のなカメラなので表情だったり物がすごく見えやすいですよ!」


「ふむふむ。なるほど確かに良さそうだな。……よし、これに決めた!」


四葉のオススメということもあり、案外あっさり決まった。これで次の配信からみんなが待ち望んでいる顔出し配信ができる。


「今日はありがとう。四葉のおかげでいい買い物ができた。」


「いえ、私の方こそ今日は助けて頂いて本当にありがとうございます!!」


その後、四葉とは連絡先を交換し、その場で解散になった。今日は渋谷という街を初めて歩いたが色々な経験や友達もできたし楽しかったな。いつか四葉とコラボできる日ガくるといいな。

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