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ブラック&ホワイト  作者: 芋太郎
第2章:十一編
71/80

第71話:実戦訓練

*不定期更新です。基本13時に更新してます。

 始まった。


 まずやらされたのは持久走だ。これがマジでやばい。最初からやばすぎる。


 内容としては、普通の持久走。サンドラさんが「止め」と言うまで続く。


 しかしこれが、全く言わない。全然言わない。これっぽっちも言わない。結局何キロ走った?多分15以上は走った。


 ヘトヘトだ。一応俺はこれまでずっと寝てたわけだから、体力もないわけで、正直これが終わった瞬間死ぬかと思った。


 てか、これは俺だけじゃない。美月を抜いてほとんどの奴が死にかけてた。先輩なんて吐いてた。極道組はリタイアして、こっぴどく扱かれてた。


 終わりだよ。もうできっこない。そんな弱音吐いたら殺されるから吐かないけど、実際無理だ。これ以上できない。


 しかし、無情にもサンドラさんの指示が出てしまう。


 次に行われたのが、銃撃訓練だ。ただの射撃訓練。これはそんなに難しくないはずだったけど、厳しすぎる。


 そもそも俺は前々から銃がへたっぴだ。真ん中を10発連続で当てろとか死ぬかと思った。


 結局それをクリアできたのは美月と虚だけ。虚は得意だし、美月は化け物だから、まあ驚きもしない。クリアできなかった俺たちは、明日の持久走で走る距離が増えた。終わりだよ、何もかも。


 そして地獄の射撃訓練が終われば、次に待っているのは実戦を模した模擬戦。これはシルバー式に則ったルールだ。ただ、今回はペイントガンとかいう武器が追加されている。そして、対戦相手はローテーションで変わる。


 裕樹先輩や虚が他の参加者と闘い、勝敗が決まっていく。そしてとうとう俺の番が来た。


 俺の相手は日暮だった。


「久しぶりだね。本気で戦うの」


「ああ、そうだな」


 日暮に負けて悔しかった日が懐かしい。あの日は夏休みの終わりと、俺の大学生活の終わりの日。


 当時は負けて苦い思いをした。しかし今は違う。


「今度は勝たせてもらうぞ、日暮...!」


「岸辺に奇襲された時は恥かいたけど、今回は私も強いってところ見せないとね...!」


 お互いに構える。今回は銃もあるから、戦い方の幅が広がるな。


 更にステージも違う。この地下施設、隠し扉がまだあるみたいで、その先になんと撃ち合いできるスペースがあるのだ。そこで戦う。


「始め」


 瞬間、俺が前に出る。日暮は距離を取るように後ろへ下がった。俺は銃が苦手だし、撃たれたらほぼ確であたっちまう。ここは近接戦闘に持ち込むべきだ。いつもと同じだけど。


「オラッ!!!」


「...!」


 ナイフを横に振ると、日暮は無言でそれをかわした。


 流石、元祖師匠なだけある。全然攻撃が当たる気がしない。


「そんな単調な攻撃だと、サンドラさんに勝てないぞ!」


 突きをかわすと、今度はこちらに銃口を向けてきた。


 その瞬間、体が動く。そして、打ち出されたペイントボールを避けることができた。


「なるほど、反応が良くなってるな」


「お陰様だな...!」


 そこからペイントガンの撃ち合いに発展した。


 遮蔽を使っての撃ち合い。実戦によく似ている。


 多分後片付けとかヤバいだろうけど、まあ...気にしないでおこう。今は戦闘に集中だ。


 さて、どうしたものか。


 このままだと、ジリ貧だ。そもそも、銃が下手くそな俺にとっては、この撃ち合いそのものが不利状況だ。なんとかして近づかねばならない。


 ...考えてもわからん。


 遮蔽を利用して上手く背後を取れるように動くしかない。


 視野を広く保っていけ...!


 その時、1つの不安要素が頭をよぎった。


 日暮からの銃撃が止まった。そんなことないだろ。弾幕をはらなきゃ近づかれる。


 では何故止まった?


「...!」


 後ろを振り返り、瞬時に撃つ。


「いないっ!?」


 背後から来てるものかと思ったが、そこにはいなかった。


 瞬間、背後から気配を感じた。


「やば!?」


 反応し、横に身を翻すことで背後からの銃弾を避けることはできた。しかし、この避け方は隙が大きい。


「ブラフかよ!?」


「引っかかったね!」


 ナイフによる突きが飛んでくる。これは避けられない...!

 でもこれで終わってられるか!


 俺は身を翻し、ナイフを急所から外した。そしてそのまま、腕を掴んで引き寄せる。


 しかし。


「やるね」


 その言葉と共に、一発の銃弾が放たれた。


 それは俺の心臓をしっかりと撃ち抜いていた。


「勝負ありだな」


 サンドラさんはそう言うと、俺たちを別室に通した。


 呆気ない。呆気なさすぎる。


 それなりに強くなっていたと思ったけど、こんなもんか...。


「ま、私はこれでもサブリーダーだからね。後輩には負けてられんわ」


 そうか、そういえばサブリーダーだったな。コードネームもサブだったし。


 そこで俺はふと疑問に思った。


「なんで日暮はシルバーに入ったんだ?」


 言った瞬間、デリケートな質問だと気づき「答えなくてもいいけど」と慌てて付け加える。


「いや、言うよ。仲間だし、大斗にも協力して欲しいしね」


 協力?


「私も例に漏れず孤児だった。聞いた話によると母さんがストレスで死んで、後を追うように父さんも死んで、親戚にも預けられなかった私は、孤児院に預けられた。でも、私は一人じゃなかった。何故なら、大切な家族が...妹がまだ残ってたから」


「聞いた話?」


「記憶障害で忘れたの。ただ、覚えているのは、妹がいたということ。そして、火事が起きた当日に、妹が消えたこと」


 孤児院...火事...。


「それって...」


「うん。多分、クロウの仕業だと思う。妹はクロウに連れ去られた可能性がある。私はその後、シルバーに引き取られた。そして、名前も見た目もわからない妹を探すためにここまできてる」


「それが日暮がシルバーにいる理由か」


「そういうことになるね。私も知らないことだから、どうやって見つけるんだって話だけど。もしかしたら、死んでるかもしれないし。でも、私は生きていて欲しいと思ってる。クロウにいても、敵として戦うことになっても、私は生きていて欲しい」


 そう言うと、日暮は笑みを浮かべた。


「ま、なーんも知らないけどね。だから、あんたも妹に関することわかったら、私に知らせてよ」


「おう、見つかるといいな」


「そうだね」


 やはり、シルバーにいる人は皆、相応の過去と見合った覚悟が備わっている。


 日暮のためにも、これからの訓練、しっかり頑張らないとな。


 俺は心の中で、そう思った。

*面白いと思ったら、高評価していってくれると嬉しいです。

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