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ブラック&ホワイト  作者: 芋太郎
第1章:虚実編
40/80

第40話:始まりは突然に

*不定期更新です。基本13時に更新してます。

「では、またお会いしましょう」


 高橋さんが少しやつれた顔をしながら、車に乗って去っていった。


「なんか、疲れてたな」


「そうだねー」


 話があると言っていたが、それで疲れたのか。


 美月と共に屋敷の中に入る。


 こいつは今日ここで泊まるらしい。3日後に作戦となれば、まあここにいてもらったほうが良いだろう。


 それより、さっきのことだ。


 俺の考えが正しいなら、こいつはいつから実のことが怪しいと思っていたのだろうか。重蔵さんに言われていた時からか、はたまた、救出後か。救出前は無いだろう。それがわかっているなら、実のことをもっと警戒していたはずだ。


 何にせよ、こいつのこと、少し侮っていたのかもしれない。底知れないものを感じる。


「3日後頑張ってね。あ、あと、ちゃんと実の動向は逐一チェックしないとね。でもまあ、一之瀬組の誰かが見張っててはくれてるけどねー」


「そ、そうか」


 用意周到だな、マジで。


「何か疲れたなー。お腹も空いた...し...」


「?」


 ホワイトの動きが止まった。


 何があったんだ?と思い、ホワイトの前方を覗くと、俺の動きも止まった。


「美月か、久しいな」


 目の前にいたのは、サンドラさんだった。


 サンドラさんは名前を呼ぶと、俺たちの方に近寄ってきた。


 や、やばい。あの情報言わないと死ぬ...!


「あ、あの、サンドラさん!」


 前に出ると、サンドラさんは「何だ」と言って、見下した。


「ま、間宮良吾のことですが、内のメンバーの、虚ってやつと2度交戦してました!えーっと、虚との戦闘時に3階から飛び降りたと言っていましたが、生死は確認できていません。奴は、クロウから依頼を受けた組織に顔を出しています!もし生きているなら、そいつらを辿れば見つけられるかと...」


 必死に説明するも、俺を見下す冷徹な瞳は依然変わらない。


「あの騒動があったんだ。死体があれば報道されるだろうが、あいつが死んだなんてニュースは一度も無い。それに、あのバカがそんなんで死ぬとは思えない。その組織の情報を言え。すぐにでもぶち壊す」


「は、はい!」


 俺が言おうとすると、ホワイトは震える声で「大斗くん」と呼んだ。


「ここで言ったらダメだよ。実に聞かれてるかも」


「た、確かに」


「この人は信用できるから、作戦時の戦力になってもらおう。でもまさか、いるとは思ってなかったよ」


 ホワイトがめちゃくちゃビビってる。


 珍しいけど、こんなん誰でもビビるわ。

 つーか、こいつはサンドラさんのこと知ってんのか...?


「師匠、話は別室でしましょう。聞かれたらまずいので」


「し、師匠!?サンドラさんが!?」


「私だけじゃないよ。日暮も虚も裕樹も、みんなサンドラさんから色々教わってる」


 マジかよ...。知らないことだらけだわ。


「何でも良い。場所を変えるならさっさと行くぞ」


 俺たちはサンドラさんを連れて、家の前に出た。


「では、話します」


「待て」


 ホワイトが話そうとすると、サンドラさんは静止させた。


 すると、ホワイトは覚悟を決めたような顔を浮かべて俺の方を見た。


「大斗くん、目を瞑ってもらえるかな。あと、これから起きることに突っ込まないでね。大斗くんが痛い目に遭うから」


「は?どういうことだよ」


「良いから」


 謎に語気を強めて言い放つホワイト。

 俺はそれを渋々承諾すると、目を瞑った。


 なんだってんだよ、マジで。


「美月」


「はい」


 声しか聞こえないが、剣呑な雰囲気っていうのは伝わる。


「お前、これまで色々ヘマをやらかしたそうじゃないか。終いには依頼者も殺した、と」


「...はい」


「それについては、一之瀬のジジィとは話がついたそうだが、あたしとの話はまだついていないな。ま、話すつもりはないが...」


「わかっています」


「だろうな。お前とはシルバーを再結成するときに約束したからな。もし失敗したら...」


 その瞬間、バシンという大きな音が鳴った。


 それには思わず俺も、目を開けてしまった。


 開けた視界の先には、暗い顔で地面に尻餅をついたホワイトの姿があった。


 頬が腫れている。


「ちょ、ちょっと、それは流石に」


「大斗くん...!」


「だって、お前...!」


「良いの。約束したのは本当だし。私も私なりのケジメをつけないといけない」


 その言葉に、何も言い返せなかった。


「ガキ、やり過ぎだと思ったか?」


 サンドラさんが俺の頭をがっちりと掴んで睨みつけた。


「失敗を繰り返し、結果依頼者が死んで、そのケジメにビンタ一発食らわせて、それに対してやり過ぎだと思ったのか?」


「それはっ」


「甘いことを吐かすな。人間誰しも失敗をするし、その失敗を繰り返すもんだ。だがな、裏で生きる奴らの失敗ってのはは、誰かの死を意味するんだ。それを繰り返すようなバカが存在して良いわけないだろ?失敗して死んで、また失敗して死んで、そんなのただの死神だ。でも、人間ってのは失敗を繰り返す生き物だから、どうしてもやっちまうことがある。なら、どうすれば良いか」


 顔が近づく。


「単純なもんでな、失敗に痛みを加えれば良いんだよ。そうすりゃ失敗して人が死ぬことが無くなる。だって痛いのは嫌だろ?」


「...」


「本来なら、お前にもやってやりたいところだが、残念ながらその約束をしたのは美月だけだ。許してやる」


 そう言うと、サンドラさんは俺の頭から手を離し、顔も離した。


 言いたいことはわかるし、もっともだろう。でも、俺はこの人が苦手だ。一番苦手かもしれない。怖いし。


「さあ、話せ。今、あたしは機嫌が悪いんだ」


「話します」


 腫れた頬を押さえながら、ホワイトは立ち上がった。


 大丈夫かよ...。


 痛みを抑えながらも、ホワイトは全てを話した。


「なるほど、ガキにしては良い作戦だ。そうだな...。ガキの作戦に乗るのは癪だが、乗ってやる。お前の護衛も1つの目的だし、バカの間宮がその組織にいるなら、やる価値はあるだろうからな」


「あ、ありがとうございます」


 ホワイトが頭を下げた。


 この人、怖いし苦手だけど、物分かり良いし、意外と協力してくれるんだな...。


 この人が参加するってことは、連れてきた屈強な傭兵も参加するということだろう。正直、頼もしい。


「で、もし実がスパイだったらどうするんだ」


「捕らえます」


 そう言うと、サンドラさんは強い眼光でホワイトを睨みつけた。


 ホワイトはそれでも、目を背けることはなかった。


「フン、それを言えるうちはまだ安心だな」


 意外な言葉だった。


 てっきり、仇なすものは殺せと言うかと思ったが...。


「護衛対象の内1人を殺すわけにはいかないしな。ま、痛めつけてはやるが」


 サンドラさんは拳を鳴らして、タバコに火をつけた。


()()()()()()()()()。私はこれからバカ2号を探しに行く。おい、行くぞ...!」


 そう言うと、背後から傭兵が出てきた。何処にいたんだよ...。


 てか、高橋さんと知り合いなのか。と考えると、高橋さんが話してた相手って...。


 そりゃ、疲れるわな...。


 まあともあれ、これで戦力が増えた。ありがたいことだ。


 3日後の作戦、気を引き締めねえとな。




 その日の夜。全員が寝静まった頃。


 一之瀬邸の前の門番が全員音もなく倒れた。


 代わりにそこに立っていたのは、どこかの制服を着た若い男女と、大柄の男。そして、不気味な微笑みを浮かべる女だった。


「いやあ、夜の戦闘とかひっさしぶりだわー!米軍にいた頃を思い出すなあ!ハッハッハ」


「黙ってください。聞かれたらどうするんですか」


「それはそれで良いんじゃない?ソリス君が硬すぎなんだよ」


「あなたはもっと緊張感を持ってください、ジョン」


「ヘイヘーイ」


「フフ、賑やかで良いですね。でも少し静かにした方が良いですよ」


女がそう言うと、メガネをかけた男、ソリスが頭を下げ「申し訳ありませんでした」と謝った。


「いいんですよ。さ、行きましょうか」


 12人の人間が、一気に音もなく屋敷の敷地に入る。


 そして、ある程度踏み行ったところで、何かを構えた。


「この辺でいいでしょう。皆さん、ピンを抜いてください」


 女が指示し、一斉にピンを抜き、投げつける。

 その瞬間、大きな爆発が起き、屋敷が一気に燃えた。


 燃える屋敷の炎は延焼を続け、瞬く間に広がっていった。


 その景色を見て、ジョンと呼ばれた男は、ただただ笑った。


「さあ!久しぶりの戦争だあああ!」








*面白いと思ったら、高評価していってくれると嬉しいです。

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