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ブラック&ホワイト  作者: 芋太郎
第0章:プロローグ
4/80

第4話:初任務(?)

*不定期更新です。基本13時に更新してます。

 その後、2人が帰ってくるのをテレビ見たり、喋ったりして待ったが、2人ともどうやら用事が長引くようなので、解散ということになった。


「じゃ、私帰るね。明日からよろしくね、大斗」


「そうだな、まだ何するかわからないけど」


 俺の反応に「ふふ」と笑うと、日暮は帰っていった。


「さて、俺も帰るか」


 バッグを肩にかけ、立ち去ろうとするが、一歩踏んだところで、バッグを思いっきり掴まれた。


「何すんだよ」


「掴んでる」


 悪びれもなくホワイトは言う。

 その態度に少々イラつきながら、口を開いた。


「わかってるわ。てか、解散じゃないのか」


「そうだね。で、尋ねるけど、どこに帰ろうとしてるの?」


 発せられた疑問に疑問が浮かぶ。


 何を言ってるんだ、こいつは。


「どこにって、家にだよ。しばらく帰ってないしな」


 至極当然の解答だ。


「無いよ」


「は?」


「解約しといたから。代わりにあなたはここで暮らしてもらいます」


「...はぁ?」


 本当に何を言っているんだ?

 いや、家が解約って。そもそも他人の家を勝手に解約なんて、できるもんじゃないだろ。


「できるよ」


「なっ」


 こいつ、心を読んでやがる...!


「裏社会の怖いところだよねぇ。そういうのもできちゃうんだよ。ささ、キミは向こうの部屋ね」


 そう言うと、ホワイトは奥にあるドアを指差し、俺の体を強引に押す。


「おい!冗談だろ!な、ちょ、押すな...!」


「ほら、入った入った。可愛いjkと同棲なんて幸せ者だよ?あ、キミの私物は諸々置いてあるからね。あと、呼んだらすぐ来てね!じゃ!」


「ちょ」


 にこやかに言い放つと、ドアを勢いよく閉めた。


 俺はドアにもつれかかる。

 今の一瞬でドッと疲れが押し寄せてきた。


 大学は夏休みだからまだ良いが、家解約って...。


 両親が死に、不幸が続き、命を狙われ、信頼できるかどうか怪しい組織に入り、家を勝手に解約され、良くわからんことは良くわからんまま...どうなってんだよ...。


 考えに耽っていると、眠くなってきた。うとうとしていると今度は、微かにシャワーの音が聞こえてくる。


 あー、そういや同棲って...。


「......」


 可愛いjkと同棲...。


 想像が膨らむ。


 確かに顔は良いしな。それに俺となんか距離感が近い気もする。これは、もしかするともしかするのでは!


 ああ、あんなことやこんなことを。


「大斗くん」


「ホワイト、いや、美月」


「大斗くん」


「美月...」


 2人は甘い恋の虜に...。


「大斗くん」


「はっ!?」


 頬が冷たい感触に襲われ、体がビクンと跳ね上がる。

 後ろを振り向くと、エプロンをつけたホワイトが立っていた。


「朝だよ、起きて。あと、臭いからシャワー浴びて」


「く、臭い...」


 微妙に傷ついた。

 どうやら、寝落ちしてしまったらしく、そのせいでシャワーも浴びてない。この夏でそれはマズい。


「すまんな。今入ってくる」


 立ち上がると同時に腹の虫が鳴った。


 ヤバい恥ずかしい。そういや、昨日何も食ってねぇ。


 美月は、恥ずかしがる俺の顔を見て、少し笑った。


「ご飯、できてるよ。シャワー浴びたらおいで」


 天使か。


 俺は「ありがとう」と照れながら言うと、シャワーを浴びに行った。着替えとかその他備品は、何故か俺の部屋にあるので困らない。


 もう怖さとかない。逆に全部やってくれるのがありがたく感じるまである。


 シャワーをとっとと浴びて、居間のようなところに戻ると、朝食が置いてあった。


 トーストに卵にトマトとレタス。普通の朝食だが、これが美味い。というより、なんか特別感がある。


「美味しい?」


「ああ、癪だが美味いよ」


「癪ってなんだよー」


 ホワイトは少し頬を膨らませた後、直ぐに朝食に手をつけたかと思うと、今度はスマホを取り出して、俺に突き出した。


 そこには大きく『依頼』と書かれていた。


「これ。最近とある半グレ集団が色々やらかしてるから、この地区を見回ってくれって来たんだ。前金はもう貰ってるから、今日の18時から0時くらいまで、よろしくね」


 そんなこと言ってまた朝食に戻った。


「伝えるだけ伝えとくの精神やめた方がいいぞ。なんで俺が警備とかするんだ?」


「うーん、交流のためかな。昨日会えなかった虚と裕樹も行かせるから」


「あー、そういう。とでも言うと思ったか。大体、そういうのって俺たちの仕事なのか?警察とかいるだろ」


 そう言うと、ホワイトは少し考えた後に真面目な顔になった。


「信頼の問題だよ。私たちはこの街の人から信頼されている。そしてその信頼関係は守っていかないといけないんだ。それに、警察だと捕まえるだけ捕まえて、後は終わりって感じだからね。一発痛い目に合わせないといけないんだよ」


 なんか意外と真剣な考えがあった。

 でもそのセリフの中に1つ気になるものがあった。


「『一発痛い目に合わせる』って、喧嘩するってこと?なら無理」


「はいはい、それは起きた時現地で決めてくださーい。じゃ、よろしくー」


 強引に話を落とされ、ホワイトは言及から逃れるようにアジトをあとにした。


「あいつ...」


 こうして俺は、初任務として、究極的に治安の悪い夜の街へ繰り出すことになってしまったのだ。










*面白いと思ったら、高評価していってくれると嬉しいです。

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