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ブラック&ホワイト  作者: 芋太郎
第1章:虚実編
34/80

第34話:ベルフィールド傭兵団

*不定期更新です。基本13時に更新してます。

 俺の怪我は酷かったが、2週間もすれば治った。どうやら俺は、治るのが早いらしい。


 退院後、俺はすぐに、一ノ瀬組の本家へ足を運んだ。


 約束通り、俺は一之瀬組に預けられることとなったのだ。


 入院の間、襲われるかどうかだけが心配だったが、シルバーのメンバーと一之瀬組の一部にしか病院の場所は教えておらず、また、セキュリティもシルバーの拠点と同じくらい頑丈なため、襲われはしなかった。


 しかし、前をうろちょろする不審人物はいた。武器の所持も見られたため、敵だろうとのことだ。


 そいつには逃げられてしまった。しかし、敵がいたということは、病院の場所が何故だか割れてしまったということだ。


 情報が拡散している...?だとしたら何故。もしかして、誰かが横流しに...。


 信じたくない。ただ、周りも疑わないといけないみたいだ。


「じゃ、たまに遊びにくるよ、大斗くん」


「ああ、いつでも来いよ。って俺が言うセリフじゃねえか。まあ、待ってるぜ」


「じゃあね」


 送ってくれたホワイトは手を振って帰って行った。帰り際の表情は、心無しか、何処か寂しそうだった。


「さ、行くか」


 目指すは亮吉さんの部屋。


 とりあえずあいさつだ。


 いつもの手順で一ノ瀬亮吉の部屋に入ると、これまたいつもの態度で亮吉さんは待っていた。


「今日からお世話になります、朝霧大斗です。よろしくお願いします」


「ああ」


 亮吉さんは適当に返事をすると、俺に座れと合図を送った。


 お言葉に甘えて対面の座布団に座る。テーブルの上には茶菓子と緑茶が淹れてあった。


「今日からシルバーの代わりに、私たち一之瀬組が、俺と実を匿うわけだが、お前ら自身の実力も上げておきたいと考えている」


「え?」


 あれ?守ってくれるんじゃ...。


「甘い考えをしているな?確かに私たちが守るとは言ったが、護衛対象も相応な実力を持っておかないと、万一に不測の事態が起きたときの対処ができん。それとも何だ?その不測の事態が起きても、お前は戦わないっていうのか?それなら死ぬだけだぞ」


 た、確かにもっともだ。俺もある程度強くなっとかないと、一之瀬組でも対処できないということになったときに、むざむざと死ぬだけだ。


 そうならないようにしてくれると助かるけど、まあいつそういうトラブルが起きるかわからない。


 闇病院の位置が何故だか割れているのが、本当に情報の横流しによるものだったら、身近に俺の身を狙う奴がいるかもしれない。


 一之瀬組の誰か、もしくは...考えたくはないがシルバーのメンバーの誰か。


 その仮説が本当なら、いつ何時襲われるかわからないことになる。


 その時のために強くならねばならないのは、確かにそうだ。


「私たちも尽力する。ただ、お前の力も上げたい。そこで、だ。前々から言っていたことを、お前にしようと思っている」


 言われて思い返す。前々から言っていたこと、そして、俺を強くすること。


 思い出した瞬間、体から温度が一気に引いて行った。


「私の孫、火花に稽古をつけてもらうように言ってある。明日の朝10時からだ。集合場所は稽古場。遅れるな」


「は、はいぃ」


「それと」


 まだあるの?


「私たちだけじゃ戦力が足りないと思って、丁度日本に来たある女とその部下を用心棒としてここに住まわせる。一応言っておくが、無礼な真似はするなよ」


 ある女?もしかして美少女とか?いや、部下とか言ってるし、美少女じゃないかも...。美少女に部下がつくイメージあんま無いし...。


 じゃあ、美女か...!


「ある女と部下とは、誰です?」


「それは」


 その時、亮吉さんの言葉を遮るように、襖が開かれた。


「邪魔する」


 声が出ない。

 なんだ、この威圧感...!


 その女はブロンドの短い髪をした、50代ほどの見た目の人だった。後ろには7人ほどの屈強な男がいる。


 それなのに、男よりもこの女の人の方が、存在感というか、圧迫感がある。誰だ一瞬でも美少女だの美女だの言った奴。


 見ただけでわかる、強者の雰囲気。


 その女の人は、ビビる俺のことを一瞥したのち、亮吉さんの方を見た。


「こいつが例の男か。実とやらは何処に」


「実は別室にいる」


「そうか。で、このガキはどれぐらい強いんだ?見るからに弱そうだが」


「見た通りだ。まだまだ未熟。だが、伸び代はあると見込んでいる」


「ジジイが言うなら確かだな」


 女の人はそう言うと、俺の方を見た。


 身長も体格も普通の壮年の女性って感じなのに、デカい。いや、デカく見える。俺が小さいのか?ってくらいデカく見えてしまう。


「ガキ」


「は、はい」


「この写真にいる男、知ってるか?知ってるなら言え」


 すると、1枚の写真を出してきた。


 そこに写っていたのは、気怠そうな顔をした、無精髭の4、50代位のおっさん。


 残念ながら見たことがない。


「こいつは間宮良吾。元同胞なんだが、団を抜けた。それだけならお咎め無しなんだが、こいつが馬鹿野郎でな、間宮はクロウに行きやがった。まあ、引き抜きにあって、こいつ以外もあっちに行ったやつがいるが、こいつが1番厄介だ。あたしたちは、この腐れ外道をぶっ殺しにわざわざ日本まで来た。知ってる情報はなんでも吐け。じゃないとお前をブン殴る」


 こっわ。


 でもこの人の情報なんぞ知らない。


「し、知りません...」


「.........」


 女の人は俺のことを凝視している。


 怖すぎる。気絶するぞマジで。


 女の人は、しばらく俺の目を見た後、短いため息を付いた。


「嘘吐きは目を見りゃわかるが、お前は嘘を吐いていないな。わかった。お前の仲間にも伝えておくが、何かわかれば即刻私に教えろ。いいな?即刻だ。即刻じゃなかったらブン殴るからな」


「は、はい。即刻伝えます」


 震えた声でそう言うと、やっと俺から目を離してくれた。


「後は天宮阿修羅か。あいつはすぐ見つかるだろ。な、ジジイ」


「ああ。あいつはこの辺で半グレまとめて好き勝手やってる。お前が何とかしろ」


「言われなくてもやるさ」


 また俺の方を向いた。


「私はベルフィールド傭兵団の総団長、サンドラ・ベルフィールドだ。目的達成まで、お前と実の護衛として、今日からしばらく世話になる。よろしく」


 差し伸べられる手。


 俺は「よろしくお願いします...」と震える手を伸ばした。

 しかし、手を握ると同時に、凄まじい力が加わる。


 え?死ぬ?これ。


「...あの?」


「なんだ?」


「い、痛いです。離してくれませんか」


「自分で離せばいいじゃないか。私は力を緩めてるつもりだぞ」


 嘘こけ。


 なんだこれマジで離せねえ。


 俺があくせくしていると、サンドラさんは「ふん」と鼻を鳴らして、投げるように手を離した。


「貧弱だな。今度、お前を含めたシルバー全員の訓練をしてやる。覚悟しとけ」


 そう言って、男を連れて出て行った。


 呆然と立ちすくむ俺。


「お前も、自分の部屋に戻るが良い」


 そう言われるまでしばらく立っていた。


 ああ、終わる。


 明日は火花さんとの稽古だ。きっと明日だけじゃなく、しばらく続くだろう。それに、いつかわからないけど、あの人に殺される日が来る。


 俺は死ぬほど重い足取りで、指定された自室に戻って行った。





*面白いと思ったら、高評価していってくれると嬉しいです。

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