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魔法の学び。

「わかった。私は反対しない。しかしシルフィーナが同意しない以上、協力もできない」


「そう。頑固なお兄様がそう譲歩してくれるのなら、それでいいですわ」


 エヴァンジェリンはそういうと、その場を立って。


「わたくし、もうすこし他の方々とお話ししてまいりますね。お兄様とお義姉様はひとごみが苦手ですものね、もうすこしここで桜を眺めてのんびりなさったらいいわ。この場所、ほんとうに景観がすばらしいですし」


 そうにっこり微笑んで去っていった。


 残されたシルフィーナたちは、とくにシルフィーナの方は、準聖女という言葉にずいぶんと身構えてしまっている様子。

 心ここにあらずといった状態の彼女に、


「ねえ、シルフィーナ。私の聖女。君をひとりじめしたいのは山々だけれど、それでも君が聖女として働きたいと思うなら、私は協力を惜しまないよ」


 そう優しく微笑むサイラス。


 その言葉に目を白黒させながら、それでも、と思い返して。


「わたくし、自信がないのです。わたくしの中に魔法の力があるのはわかっています。子供の頃それが暴走して大変だったことも、思い出しました。でも……」


「怖い、のだね?」


「ええ。また暴走して、今度は誰かを傷つけてしまうかもしれない。そう思ったら怖いのです」


「ふふ。シルフィーナらしいな。私は君がまた倒れてしまうんじゃないかとか、そちらのほうを心配してしまうのに」


「旦那様」


「だったら、学べばいい。君は自分の中に眠る力を制御できるよう、学ばなくてはいけないね」


「でも」


 もう貴族院に通う年でもない。本を読んで独学するのにも限度がある。

 実際、いろんな本に手を出してはみたけれど、どうもその言葉の意味が実感できなくて。

 理解が進まなかったのだった。


「家庭教師をつけてあげてもいいけれど、きっと君にはそれではものたりないだろう。知識には限界がある。魔法を使う感覚を学ぶためには良い導師が必要だ。市井にはそこまでの人材はいないだろうし」


 どうしたものかと思案するサイラス。


(いえいえ、ものたりないなどと申しません、家庭教師でいいので魔法の基礎を学べれば)


 シルフィーナはそう声をかけようとおもうけれど声にならなくて。


「そうだシルフィーナ。君、魔道士の塔に通ってみるかい? あそこの導師ならきっと」


 目を輝かせそういうサイラスに、ちょっと引いてしまったシルフィーナ。

 それに対して答えを出す前に。


 エヴァンジェリンがいなくなった事で周囲に人が集まってくるようになったことから、サイラスとの話はとりあえずそこで打ち切られた。


 今まではロックフェラー公爵家のエヴァンジェリンがいたからか、近寄ってくるのをためらっていた貴族たちによって囲まれ、あいさつ攻めにあうサイラス。


 当然シルフィーナも一緒になって笑顔を振りまいて。


 今期一番となる盛大な婚姻パーティは日が暮れるまで続き、幕を閉じたのだった。

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『白蓮の魔女。』 同じ世界のお話です。こちらももよろしくおねがいします♬
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