自己紹介
俺と香乃花が通うことになった才領学園は中等部と高等部がある。そのほとんどの生徒が登校の際、転移魔法を使い、学校の敷地内で一か所だけある転移用ポートに転移するシステムを使って登校している。
俺と香乃花がこの転移用ポートに来たのは学校説明会に来た時以来だ。
「改めて来るとなかなかいいところですね。」
「そうだな。そういえば香乃花は朝楽しみだとか言っていたけど緊張はしてないのか?」
香乃花は極度の人見知りだ。俺が初めて香乃花に出会ったときは会話ができるようになるまでに実に一か月以上もかかった。そのため新しい学校生活に期待する半面、香乃花がクラスメイトとコミュニケーションをとれるのかが心配どころだ。
「ま、まあ緊張はしてますけど頑張ってみます!」
そう言った香乃花の顔は蒼白だった。
「あっ!まずい!」
「どうした香乃花、何かあったのか?」
「は、はい…実は今日の朝7時50分から客人室に俊成様とくるようにと校長から言われていたのを今思い出しました。」
「まずいぞ!もう5分も過ぎてるじゃないか!」
「はい、すみません!!」
俺たちは客人室に急いで向かった。そして客人室の扉を恐る恐る開けてみると中でエメラルドブルーの瞳に綺麗な金髪の中年男性が待っていた。
「お待たせしてしまい、申し訳ございません!私の不注意でございましてどうか俊成様だけは…!」
「ははは、いいよ全然。古江俊成くんと瀬戸香乃花さんだね。僕は校長のロンピード・ジュリアだ。君たちの担任が先ほどまで職員会議でね。もう来るから少しの間ここで待ってなさい。」
そういい終わるか終わらないかというときに扉をたたく音が聞こえた。
「どうぞ。」
「失礼します。遅れてしまい申し訳ない。私は古江くんの担任教師の宮野幸四郎だ。担当教科は魔術理論だ。一応クロノスのS級隊員だよ。今日からよろしく!」
「そして私は瀬戸さんの担任を務めるクレア・ジェイクよ。私もクロノスのS級隊員で担当教科は回復術。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします。」
若干緊張したのか香乃花が助けを求めるようにこちらをチラチラ見てきた。
「あと一つだけ言っておくことがある。古江くんの事情を知っているのは僕、校長、ジェイク先生に副校長の4人だけだ。ほかの先生はもちろん、生徒にも君のことを伝えてないよ。」
宮野先生は俺に確認をとるかにそう言った。
「伝達事項はこれくらいにして、今日君たちには軽く自己紹介をしてもらうから少し考えてくれると助かるわ。」
香乃花はこの話を聞き今度は涙ぐみながら横目でこちらを見てきた。そんな香乃花を俺は見てられなかった。
「香乃花、肩の力落としてやれよ。」
「はい、頑張ってみます。」
俺たちはそれぞれの教室に向かった。俺が2組、香乃花が5組だ。俺は教室に入るまでの間に自己紹介のシュミレーションを行った。先生の指示で教室に入るとそれまで静かだった教室がざわざわしだした。
「この度才領学園に編入することになった古江俊成です。皆さんとは仲良くなりたいと思っています。よろしくお願いします。」
「じゃあ古江は後ろの空いている席に座ってもらう。」
俺が席に向かう途中女子が俺のほうを見てひそひそ話していた。そんなに俺のことが嫌だったのか!?




