表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

395/539

394:石頭は未来の俺? 【100万の瞳に感謝!!】

みな様のおかげで、ついに骨董無双も超・大台に乗ることができました!!

詳しくは、後ほど活動報告にてご報告させていただきます!!

ありがとうございまっす!! (´;ω;`)ぅぉぉぉん

 ジト目が突き刺さる背中をかばうように、流はエルヴィスの元へと向かう。

 どうやら橋番に、エルヴィスは通行を拒否されているようだった。


「どういう事だ!? 私はそんな話は聞いていないぞ!!」

「い、いえ。ですからエルヴィス様はその……お家を出奔(しゅっぽん)されたと聞きまして、もし来たら追い返せと」

「誰がそんな根も葉もない事を言った!? 私は今でもアルマーク商会の嫡男だぞ!!」

「ワシじゃよ」


 憤怒の表情でエルヴィスは声のする方を睨みつける。が、すぐにその表情は困惑に変わる。なぜなら……。


「お、お祖父様! どうしてここに!?」


 見れば橋の欄干(らんかん)から下の川へと、釣り糸を垂らす男がいた。

 その男は深く三度笠のようなものを被っており、それを右手で取るとエルヴィスの馴染みの顔だった。

 

 頭はハゲあがっているが、白いヒゲを仙人のようにたくわえ、口には煙管(キセル)をくわえている。

 目は感情が薄くガラス玉のような瞳をしており、褐色の肌は老人とは思えないほど艷やかだ。

 その煙がゆらりと天に昇るのを見つめながら、農夫のような衣服で孫に話す。


「どうしても何も、ここはアルマーク・フォン・リッジ……ワシの町じゃからな」

「それはわかりますが、お祖父様は館から出てはいないと聞いていたのですが?」

「フン。そう思わせたい奴らが、ワシをここに軟禁しておきたいのだろうさ」

「そうだったんですか……って、それよりどういう事ですか、私が町へ入れないと言うのは!!」

「キサマ、あの子はどうした?」

「っう。そ、それは……」


 エルヴィスは理解する。祖父のリッジが何を言わんとしているかを。


「す、すみません。あいつはまだ見つけられていなくて。ですが、この近くにいるとの情報は得ています」

「馬鹿者。そんな事は百も承知じゃ。それでどうするのじゃ? 約束では、あの子も連れてくると言うておうたろうが」

「それは……で、ですがお祖父様! 今はあいつよりも重要かつ、緊急事態なのです! ここでは話せないので、町への滞在許可を!!」

「ならぬ!! 商人は約束が全て、よもや忘れたとは言わせぬぞ?」

「しかしッ!」

「しかしも案山子(かかし)もないわ、馬鹿者が……」


 ため息を吐きながらリッジはそう言うと、欄干に置いてあるティーセットから一対のカップを持つ。

 その風体に似合わず、優雅にソーサーをつまみ赤い茶を楽しむ。背後の絶景とその仕草。そしてマイセンのカップ(・・・・・・・・)がよく似合っていた。


「ん? ちょっと失礼。なぁ爺さん、そのカップはマイセンじゃないか?」

「……ん~? なんじゃヌシは? ……ん? んんんんッ!? お、お主! コレがなんだか分かるのか!!」

「あ、あぁ。そりゃ分かる。そいつはマイセンのカップだろう?」

「そうじゃ! この神器はマイセンと言う! なぜお主はそれを知っているんじゃああああ!!」

「うわぁッ!? そ、そんなに食いつかないでくれよ! 説明するから落ち着けって、な?」


 カップを静かにティーセットの上に戻すと、流の両肩を思いきり前後にゆする。

 視界がガックンガックンと揺れたことで驚く流は、なんとかリッジを落ち着かせる事に成功する。


「むぅ、すまぬ。よもやお主のような若者が、マイセンを知っているとは思わなんだでな」

『わぁ……このお爺ちゃん、流様と同じ匂いがするよぅ』

「俺もそう思った。爺さんは未来の俺か? こんにちは未来の俺。どうぞヨロシク」

「なにッ!? ど、どこから声が……まさか、その日本刀からか!?」

「そうだ、こいつは悲恋美琴。俺の相棒にして伴侶(はんりょ)だ」

『は、伴侶だなんて!? 恥ずかしいなぁもぅ』


 リッジはその光景を見て驚く。


「なんと言うことだ……お主は一体何者じゃ?」

「俺はエルヴィスの友で、この日本刀の主だよ。それにしても当然のように日本刀と言うかい」

「はっはっは! それは当たり前じゃわい。日本刀はこの国を救った侍の持ち物として、一部には有名な物だからな」

「なるほどねぇ。今ならその意味も分かると言うものか。なぁイルミス?」


 遅れて後ろからやって来たイルミスへ、流は同意を求めた。彼女は微笑を浮かべながら、右手をあげてこちらへと来る。

まるでペチェニアの花が咲いているような笑顔だ。魔性すぎる。


「あらまぁ~リッジじゃありませんの。お久しぶりですわねぇ?」

「……フン。今日はその姿(・・・・・・)か。ま、なんじゃ。久しいのイルミスちゃん。相変わらず美しいわい! どうじゃな、久しぶりにその美しい美体をよ~っくと見せてはもらえんかのぅ? ほっほっほ」

「『うわぁ……本当にそっくりぃ……』」

「待て、キミタチ! 俺はあんなんじゃないぞ!? たぶん!!」


 ますます突き刺さるジト目を背中に受け、流は涙目になる。そんな流の勇姿を見つめる、猛将・ルーセントの瞳は実に優しげだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ