355:おふろの妖精
「あらまぁ、随分ときめ細かい綺麗な肌ですわねぇ」
「ほんとだ……まるで雪のよう……きれい」
「神々しいほど眩しいです、姫!!」
「は……へ?」
プロのメイドによって、いつのまにか脱がされていた美琴。そのなんの違和感もなく、着物を脱がされ、さらにいつの間にか下着姿になっていた。
もし流がいたらこう言うだろう。「なぜ下着だけ今風なんだ!? 解せん!」と。
気がつけば薄いブルー地に、白い花が刺繍され、一部はレースで織られたデザインがカップを彩る。
下もお揃いであるらしく、薄いブルーの生地に、サイドのリボンとウエストのフリルが眩しい。ただデザインが……。
「ミコト、あなた意外と大人なのね……」
「あらまぁ~! わたくし、そういうデザインは初めて見ましたわ。ス・テ・キ」
「姫! あたしに負けずにヘンタイですね!!」
「ぇ、ち、ちがッ!?」
「「「すっごいアダルトなデザイン!!」」」
美琴の言い訳を聞く耳持たず、三人は目を輝かせて突っ込む! もし流がここにいたら迷わずこう言うだろう。
上から下までジックリと見回した後、真顔で「美琴。おまえカップに盛りすぎ」……と。
「いやあああ!! 見ないでぇぇ」
「と、言われてもねぇ……」
「そうですわよ。もうねぇ……」
「姫! すでに『スッ裸』です! 『すっぽんぽん』です!!」
「あ……ホントだ……って、いつの間に!?」
すでにプロのメイドの手により、本人も気が付かない間に剥かれた美琴さん。
そのままガクリと膝を落とすと、「もぅ好きにして」とうなだれる。それを両腕を抱えるように、セリアとイルミスが持つ。
もし流がいたらこう言うだろう。「あれだ! ロズウェルだ!!」と。
美琴さんは連れ去られる宇宙人のように、力なく浴槽へと向かう。
そんな後ろ姿に身悶えるLは、いつの間にか自分が美琴を姫認定していることに、頬をゆるませニヤけるのだった。
やがて観念したのか、美琴もペタペタと歩き出す。その理由は……。
「わ~!! 近くで見ると、とっても綺麗なお湯だね!! しかもとても香りがいいよ♪」
「それに色が凄いよ。見てよ、青紫に発光している。うちの浴槽でも、こんな贅沢なモノは見たことないよ」
「龍人の里でも無いですねぇ。あたしも感動です」
「ふふ。喜んでいただけて嬉しいですわ♪ さ、そこのかけ湯をしてからお入りなさいな。お肌がプルプルになりますわよ」
全員はかけ湯をしてから浴槽へ向かう。美琴は別にしなくてもいいのだが、なんとなくだ。
まだ恥ずかしいので、美琴は一番最後に向かう、が……。
「うぅ……みんな何であんなにスタイルがいいのよぅ」
前を行く三人は、驚くほどスタイルがいい。特に妖艶とも言えるイルミスは、くびれと丸みの調和が魔性とも言えよう。
Lは美琴と同じくらいの年齢の割に……いや、ありえないほど艶めかしい。きっとアレが流の趣味なんだと思うと、こめかみがピクリと動く。
唯一あの中で、セリアのみが普通だ。そう、あの二人と比べるとだ。だから普通の娘以上にスタイルがいい。金髪から伸びるスラリとした裸体は、同性でも釘付けになるほどに美しい。
そして全員胸が大きい。驚くほどだ。美琴は思う。「肩こり大変ですね?」と。
え、自分? これ以上魅力を振りまいたら、死者もよみがえるからダメよ。と自分に言い聞かせる。強く言い聞かせる、うん。
だが美琴とて確かに美しい娘だ。生前は千石も、そして今は流ですら惚れるほどに。
だが、残念なことに控えめな二つの丘は、自己主張を忘れたかのように両手に収まる。うん、収まる。ジャストサイズだ。
きっと後一年生きていたら、肩を痛めるほど見事に成長しただろう。きっと違いない! そう妄想する幽霊は、なぜか楽しくなる。
「はぁ。恥ずかしいなもぅ……でも。ふふふ、私が誰かとお風呂に入るなんて、考えたこともなかったなぁ。友達……か」
思わずそんなことが口からこぼれる。白い床にぼんやり映る自分の姿に、恥ずかしさを感じながらも三人の後を追う。
「もぅ、ミコトったら早く来なさいよね! L、分かってるわね?」
「ん~。あぁ! 伯爵いいですかね?」
「ふふふ。ええ、よくてよ。怪我はしないようにね」
突如セリアとLが美琴のそばまで駆け寄る。幸運な事に、この浴室は滑り止めされているようで滑らない。
そんな事を思っていると、二人は美琴に抱きつく。
「え!? えッ!? なに??」
「ひゃぁ、冷たい!! でも、Lは足をお願いね」
「アヒャ、了解だよ~。さぁさ姫。お覚悟を!!」
「「せ~の! 友になろう♪ 星百合の誓いはお風呂から♪♪」」
「キャアアアアア!?」
二人は美琴を抱きかかえると、勢いをつけて浴槽へと放り込む。
それは見事に放物線をえがき、浴槽の中心部へと落下する美琴。その様子を楽しげに見つめるイルミス伯爵。
美琴の粉雪のような、白く美しいからだが浴槽へ落ち、溶けてしまうのではと思うほどの湯しぶきが舞い上がる。
つぎの瞬間、美琴が落ちた場所が発光すると、小さな妖精たちがどこからか現れた。
楽しげな音とともに、美琴が落ちた場所で躍る妖精たち。すると美琴がプカリと浮かび、湯の上に女の子座りをする。
その頭には光る花かんむりが、ちょこんと乗っており、それを見たセリア達は「やったね!!」と大喜びだった。
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