215:昔の思ひ出
その後二人に、これまであった事を話す。それに二人は流石に驚いたようで、唸り、頷き、驚愕した。
そして最後は美琴を見ると、やっぱり記憶のダブリがあると認識したようだ。
「あぁ、確かにオイにもあるがよ。なるほどなぁ……時空神とは驚くぜよ」
「そうだねぇ。しかしよくもまぁ~、魂だけでそこまでしたもんだよ」
「だろう? 俺も驚いているさ」
そんな話をコテージのダイニングルームでしていると、三兄妹が戻ってくる。
どうやら上手くいったようで、なぜか〆が得意げな顔をしていた。
「古廻様、この〆は貴方様のご期待にこたえ、しっかりと修繕してまいりました!」
「……嘘だな」
「なッ!? ど、どうしてそれを!!」
「どうしてって、後ろを見てみろよ」
〆はそっと後ろ見る。すると〆に魂から凍らされたメイドたちや、使用人が壱と参へ涙を流し感謝していたのだから。
そんな感謝を一通り受け取った二人はこちらへとやって来て、アイスコーヒーをオーダーしつつ席に座る。
「おい愚妹め。また変なことを言ったんじゃないやろうな?」
「フム……邪魔ばかりしおってからに」
「くぅ、ぬかりましたか。やはり兄上達を滅してしまえばよかった」
「「オイ!!」」
などと物騒な会話を普通にしている兄妹を見て、呆れるように溜息をはきつつ、流は今後の予定を話し始める。
「ったく、〆はもう少し破壊と殺戮いがいの事も覚えような?」
「うぅ、そんな物騒な女じゃありませんのに……」
「せやで古廻はん。毒婦、傾国の女狐もつけてもらわんと」
「フム、まだ足りませんぬな。そこに残虐、非道、異星人も添えて」
「チョ!? 失礼にも程がありますよ! だいたい、私だって修復しようと思えばなんとでも……(ボソ」
まるで泥棒が泥棒しないから安心してね! と宣言するように、信頼度六%ほどの何かをボソリと呟く〆。
「まぁいい。今回の修行は大幅に失敗はしたが、結果は力が大幅増強したと言ってもいいだろう」
「ええ、それは間違いないかと」
流はそれに一つ頷くと、続きを話す。
「そこで、だ。今の一日の最大運搬量が、どれほど増えたのかが気になる。一度、異怪骨董やさんへ戻って調べてみようと思うんだ」
「そうですね、それがよろしいかと」
「フム、ではそのように手配します。セバス」
「承知いたしました」
セバスは一礼すると部屋を出ていき、異怪骨董やさんへと向かう。
その間に流れは久しぶりの元の体での食事と、風呂を堪能し生き返った幸せを噛みしめるのだった。
「あ゛~気持ちいい……。そう言えば美琴の家で風呂入らなかったな……別に痒くもなかったし、フシギな体だったなぁ。ん? あれは……」
遠くの海では、嵐影が泳いでいた。しかし頭に何かを乗せているのが見える。どうやら銀色のモフモフが乗っているようだ。
「だからアイツ、さっき頭の上でモゾモゾ動いてたのか。ラーマンって動物を引き寄せる魔力でもあるんかね?」
そんな事を思いながら、嵐影を見てほっこりと過ごし風呂を出る。
夕暮れのビーチは心地よく、トロピカルジュースを飲みながらぼーっと考える。
「時空神と『理』か……。アイツら俺がこうなるって知っていた感じだが、それでも不確定な未来なんだろうな」
『ええ、だから時空神もある程度の未来しか予想が出来なかった。彼の話ですと、最初の時間軸らしいので』
「そこだよな、だが過去へ来ることは視えていた……か。なんだかさ、お前の家に行って分かったんだが、どうも妙な感覚がある」
『それは?』
「ん~……なんと言ったらいいのか……。俺が死んで、最初にお前とどこで会ったか分かるか?」
『えっと……離れでしたっけ?』
「やっぱりな。違うんだよ、最初に会ったのは時空神が落ちた井戸の前だ」
『えええ!? 火事場の井戸の前で?』
「そうだ。そこからお前が俺を呪い殺すように……いや、呪い殺そうと見ていた」
『こわッ!? やだ、なにそれコワイ!!』
「幽霊が幽霊、しかも自分を怖がんな!」
『だ、だって……井戸の中からって……前に見た映画みたいでやだぁ……』
どうやらこの幽霊、ホラー映画好きであるらしい。
「まぁお前がホラー好きなのは分かったが、その時お前に言われた事がある」
『……それは?』
「あれは確か……そうだ、こう言われたんだ……『いつも一緒に居てくれるって約束を忘れたの』とな」
『それは……え、一体どうして私はそんな事を?』
「さぁな。ただあいつ、刀照宮美琴は俺を知っていた感じだった。それがどうにもひっかかる」
『ですね、でも何で私はそんなことを言ったんだろう……』
二人はそれからしばらく考えるが、答えは出ずに日が落ちた地平線を見つめるのだった。
やがて流れの元へ赤髪の青年執事、アルルギルが現れた。
「御館様、お待たせいたしました。準備が整ったとの事ですので、いちど異怪骨董やさんへお戻りください」
「お? 了解だよ。いつもありがとうな、アルルギル」
「なんの、貴方に仕える楽しみも出来ましたし、これからどうなるかも興味がございますれば」
ふと……この赤髪の執事、アルルギルの事が気になった流は何気に質問をする。
「なぁ、お前は人形と呼ばれる存在は知っているのか?」
「そうですね、直接は知りませんが噂では知っておりますね」
「どんな感じなんだ?」
「そう……ですね……。あれは人の悪意を吸い込んだ物だと聞いております」
「悪意か……、それはまた厄介な物を背負っちまったんだなぁ」
「ええ、それが暴走の引き金になったのかも知れませんね」
その後すこし話してから、久しぶりの幽霊屋敷へと向かうのだった。
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