170:【最終話!? 待っていろよ魔王! 俺達の戦いはこれからだ!!】
驚いた〆は、思わず声を高くする。
「古廻様! 何時からそこにおいでに!?」
「まあ待て〆よ。まずは心配かけてすまなかった。そして皆もな。盗み聞くつもりは無かったんだけど、ここはドアが無いだろう? だから歩いている最中に後っちゃんの声が聞こえただけさ」
「古廻はん、心配しましたで~。ま、すぐに元気になるとは思ってましたけど」
「フム。ご回復、真によろしゅうございました」
「何だよ、お前達まで大げさな」
「大げさなもんかい。いいかい坊や、あんたは下手したら死んでたかもしれないんだよ?」
「まったくがよ。美琴は超強力な妖刀ぜよ……だから一時封印をし――」
そんな前鬼の言葉に被せるように、流は真っ直ぐとその目を見据え静かに話す。
「前ちゃんの気持ちは嬉しいよ。でもな、美琴はすでに俺の半身も同様なんだ。その自分の半身すら使いこなせなくては、この世界で生き抜くのは無理だろうさ」
「ぐぅ……。そう言われると言葉もないがよ」
「だがねぇ坊や、もう体験したから分かると思うけど、美琴ちゃんと同調すればするほど『死』に近づくよ? それは分かっているのかい?」
「ああ、それは理解している。今回の件も、俺が未熟な事で起きた事だと言うのがな」
「そう、かい……。ハァ~……。そこまでの覚悟があるなら、うちらも覚悟を決めようじゃないか。ねえアンタ?」
「……そうだちゃな。やれやれ、気楽な依頼かと思ったら命懸がよ」
その言葉を聞いて流は疑問に思う、なぜそれが命懸なのかと。
「おいおい、それは俺だけだろう? なぜ二人がそこまでの覚悟を決める?」
「何故って坊や……」
「オイ達の依頼者は誰かを忘れちゅうか?」
二人の鬼の夫婦を見ると、ジットリと額に冷や汗が浮き出ている。
そしてそれらを静かに見る三兄妹、それは言葉じゃなく存在その物が死の化身だった。
もし前鬼と後鬼じゃなかったら、普通の人間なら間違いなく心臓が鼓動を止めるだろう。そんな凶悪な殺気を見た流は、呆れるように三兄妹へと注意する。
「あ~。ったくお前らな、俺の師匠達に何かをしたら俺が許さないからな? その不穏な空気を、醸し出すのは今すぐやめろ」
そう流が呆れながら言うと、張り詰めた空気が一気に霧散する。
「あ、いえ、別に威嚇するつもりは無かったのですが……すみません」
「フム。申し訳ありません、思わず不穏な態度をしてしまいました」
「堪忍なぁ。僕もそんなつもりはなかったんやけど、思わずな」
そんな三人の謝罪を受けて、鬼の夫婦も額の汗を拭いながら生きた心地を味わう。
「ふぅ~。いや、その気持ちは分かるさね。ねぇアンタ?」
「ああ。オイ達も三人の立場だったら、同じようになるがよ」
「そっか、お互い分かってくれて良かったよ。それじゃ今後どうするか考えようぜ?」
その後、長時間にわたり話し合いが続く。途中で三度ほど、アルルギルがお茶を交換し、ジ・レが用意した軽食をつまみながら、深夜になっても終わらなかった。
多様な意見、それを否定する意見、また新たに考案される方法。それを否定する根拠等々、喧々諤々な議論の後に、ようやく道筋が見えて来る。
「――よし、ここまではいいな?」
「はい…………。それが……古廻様のご意思ならば…………最大限に尊重致します」
「ありがとう。ならば俺は『悲恋美琴と死ぬ』事にする」
流の本気の宣言を受け取り、沈痛な表情でその話の続きを全員で聞く。
「とは言っても、それは失敗したらって事だからな? もちろん俺は死ぬつもりも無いし、『どんな事になろうと、生き残る』って決めている。だからいいな? この結果について、前ちゃんと後っちゃんへの懲罰は絶対に許さない、絶対にだ!!」
「ガキんちょ……」
「坊や……」
「はい……承知、致しました……」
流の突然の死亡宣言に、重苦しい雰囲気が場を支配する。
〆は止めどなく涙を流し、壱は〝くしゃり〟と首の部分が萎れ、参は眉間に深いシワを掘り込み目を固く閉じる。
鬼の夫婦はいた堪れないのか、握った拳からはジワリと血が滲んでいた。
「〆、壱、参。お前達には、これまで俺のワガママに付き合ってもらって、心底感謝している」
流は一人一人の目を見ながら、短いながらも濃厚な関係に思いを馳せる。
そして三人を心に刻むように、じっくりと見つめる。
お調子者だが常に傍にいて、流の心を一番理解していた壱。
辛辣だが、二人のバランサーとして裏と表から尽くしてくれた参。
そして……何時も自分を一番に考え行動し、無償の愛を捧げた〆。
そんな三人を心底愛おしく思いながら、流はとても優し気な表情で言葉を続ける。
「今まで本当にありがとう、そして…………」
『さようならだ』
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