145:原石は光り輝き、異常な光を放つ
「あらん? そのラーマンは少し違うわねん」
「青いラーマンと言うのは、見た事が無い色だな?」
「ああ、こいつは俺の相棒の嵐影だよ。こう見えて強いんだぞ? オークなんて一撃で倒すんだぜ? しかもさっき俺を庇って、オークキングの渾身の一撃から守ってくれたんだ」
その言葉に驚くヴァルファルドとジェニファーは、信じられないと言った驚愕の顔で話す。
「冗談だろう!? 普通の獣や人間、いや、巨滅級だってそんなの食らったら爆散するぞ?」
「マジ?」
「ええ、大マジよん? 大体ラーマンがオークを一撃で倒せるなんて、聞いたことも無いわん。黄狼や熊なら倒しているのを見た事があるけどん」
「ええ?? 嵐影、お前本当に強いんだなぁ」
「……マママ」
「そう言えばあの時、俺を守るために、体がハリネズミみたくなってたよな? あれも嵐影だけの特技か?」
「……マ~」
「そうなのか~。ありがとな! お前がいてくれて、心底助かったと思うよ」
その様子を見ていた二人は、顔を見合わせてさらに驚く。
「まさか……ラーマンと会話出来るのか?」
「嘘でしょ……それじゃあ、まるでお伽噺じゃないのよん」
「ん? ああ、なんか珍しいみたいだな。でも俺だけじゃないぞ? 屋台のオヤジもラーマンと話せるって言ってたし、たまに居るみたいだぞ、そう言う人」
「そ、そうなのん? 知らなかったわん」
「ナガレと居ると、常識って何なんだろうと思い始めるな……」
遠くを見つめる二人を見て、あらためて流は言う。
「それはそうと、二人とも今日は本当にありがとう。あのままなら確実に死んでいたよ」
「アハン♪ それは後で、まとめ返して貰うわよん。ベッドのな・か・でとかねん?」
「「「ガヴォッホッ」」」
どうやら壱も精神力を削られるほど、ダメージを受けたようだった。
「き、気にするな。それにだ。そのうちお前が俺達を助ける日も近いだろうと、今日確信した」
「また大げさな。俺は二人の戦いを見て、足元に届くかどうかって愕然としたばかりだぞ?」
「ふっ。それでも確かにアイツは手加減をしていた。それは俺達と戦っていた時もそうだったから分かる。それは何故か分かるか?」
「いや、そこまでは――」
その時オークキングが、ここの所在を聞いた後の事を思い出す。
「あ、いや。そう言えば言っていたな。騒ぎを大きくしたく無いと」
「だろう? だからあいつは手加減して遊んでいたのさ。無論俺達も本気で戦っていない」
「アハン♪ もし本気で殺りあったら、この一帯は灰燼と帰すでしょうねん」
「そいつはまた、随分と思慮深いこって」
「だから王に成れたんだよ、ただの暴力だけでは王には成れない」
「なるほどね……」
ふと見ると、オークが湧き出ていた箱は強い光こそ無くなっているものの、今だ起動しているのが分かる様に、箱の内部がうっすらと緑色に発光していた。
「まずはコレをどうするかだが……。俺は動いている以上、この街を守護する者としては破壊すべきだと思うが?」
「そうねん、ミーもその意見に賛成だわ。でも、調べる必要もあるのよねん。仕方ないわん、ヴァルファルド、付き合ってちょうだい?」
その意味を理解したヴァルファルドは、ため息交じりに交渉する。
「はぁ~。仕方ない、終わったら一杯おごれよ?」
「アハン♪ 交渉成立ねん。じゃあボーイ、悪いんだけど両ギルドへ行ってこの事を話して来てくれないかしらん? それと冒険者達はそのままこの周辺で待機をお願いしてきてねん」
「あぁ、それとナガレ。ギルドから領主の館へ連絡も入れておいてくれ、あまりにも危険な代物だから、俺達はここで状況が落ち着くまで待機する、とな」
「それなら俺も残ろうか?」
二人は顔を見合わせ呆れたように話す。
「おいおい。これだけの戦闘をした後だ、ゆっくり休め」
「アハン♪ それにボーイばかり働かせたら、先輩冒険者として情けないでしょ?」
「「さあ~行った行った」」
二人はそう言うと、流を手で追い返す仕草をする。
「そっか、悪いな。じゃあそうさせてもらうよ。本当に今日はありがとう! じゃあ行って来る!」
「壱:ほんま今日はありがとさんなぁ。この借りはいずれまた……」
嵐影を連れて帰る流の肩には、二人を呼びに来た得体のしれない不思議な物が乗っていた。
そんな流達を見送る二人は、自然と口から言葉がこぼれる。
「ヴァルファルド、貴方なら一人でアイツと戦って右腕を斬り落とせるかしらん?」
「無理だな、しかも戦って実感したが、装備が桁違いに力を持っていた。最低でも、あれは伝説級だろう」
「そうよねん……。ミーも召喚獣を駆使すれば、もしかしたら何とかなるかも? って感じだわん。アイツはそう言う存在だわん」
「ああ、それをナガレは一人でやりきった。いくら手加減されたとは言え、それは異常な事だ」
「ええそうねん。だからこそ、アイツも我を忘れてボーイを殺しに来たんでしょうねん」
既に入口より出て居なくなった流を見送った二人は、しばらくそのまま入口を見つめるのだった。
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