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143:剛腕と漆黒

――流が外のオークと戦い始めた頃と同時刻、壱は冒険者ギルドへと着いていた。

 途中までは空を飛んでいたので、子供がアレなに? と指を差されるくらいだったが、ギルドの前に降り立つと、やはり騒ぎになる。


「壱:はあ~体は疲れて無いんやけど、あの化け物と会うと思うと心が疲れるなぁ……。古廻はんも酷な事を言われはる」


 ギルドのウエンスタンドアを「押して」入ると全員が注目する。


「お、おい、あれは一体何だ?」

「折紙? なのか?」

「誰かの魔具か、魔法生物か何かだろう?」

「「「ひゃっは~! ここは通さね~ぜ!!」」」

「壱:うっさいぼけが!! そこをどかんかい!!」

「「「ヒィィィィ」」」


 そんなハートフルな会話の後、壱は流の使いだと言い、串焼きをエルシアに渡そうとした時だった。

 急速に広がった流から見たら強者の気配、まさかと広範囲に気配を探る。

 すると商業ギルドの方からこの気配が濃厚になっているのを感じると、エルシアに串焼きを押し付けるように渡し、BAR★ハッティンへと急行する。


「壱:ジェニファーちゃんはおるか!?」

「あらん? 貴方は……確かボーイのおつきの方かしらん?」

「壱:そうや! 今、得体の知れない強者が商業ギルド周辺に湧いたはずや! 頼む! いきなりこんな事を言っても信じてもらえんかも知れへんが、僕を信じて古廻はんを救ってはくれないやろうか! この通りや、頼んます!!」


 壱は折紙の頭を器用に曲げ、ジェニファーに懇願(こんがん)する。


「あらん……ま、いいわよん♪ 何やらボーイがただならぬ事態のようだし。ねぇ、貴方も行くんでしょ、ヴァルファルド?」


 カウンターでエールを呑みながら、壱を珍しそうに見ていたヴァルファルドは、残りを一気呑みすると、カウンターへと打ち付けるように木製のジョッキを置く。


「無論だ、面白そうな話じゃないか。それに丁度今日は仕事帰りで得物もあるしな」


 そう言うとヴァルハルドは壁際にある大剣を一瞥(いちべつ)する。

 二人は支度しようとした、その時だった。ギルドのドアを押し入り、そのまま転がる傷だらけの冒険者の男がいた。


「何だよ、レイムの奴じゃねーか。ドアの開け方も忘れたのか?」


 馴染みの顔のマヌケな登場に、爆笑に包まれるギルド内は、レイムの次の言葉で凍り付く。


「ち、違うんだ! お前ら頼む、聞いてくれ!! 今商業ギルド前でオークが倉庫から大発生して収拾が付かねー!! 大至急応援を寄越してくれと商業ギルドより伝令だ!!」

『『『何だと!?』』』

「どうして直接連絡を寄越さなかった!?」

「分からねえ! 連絡をしようとしたが、魔具が作動しないと言ってた!」

「壱:やっぱり何かあったんや……」

「これで確定情報になったわねん。通信魔具の妨害に、この様子……。ただ事じゃないわん、急いでボーイの所へ向かいましょん」

「ああ、では行くとしよう」


 ジェニファーはバーカウンターから出ると、そのままギルドカウンターへ向けて叫ぶ。


「ミー達はこれから商業ギルドへと向かうわん! かなりヤバメの敵もいるみたいだから、あなた達はオークを中心に殲滅なさい! それとミャレリナ、リットンハイムによろしく言っておいてねん♪」

「分かりましたニャ、ご武運を!」

「アハン♪ ありがと。では行くわよん」


 外に出るなり二人は魔法で身体強化をし、助走をつけたかと思うと近くの壁を足場に隣の建物の屋根へと上る。

 そのまま商業ギルドの方角へ一直線で走り抜ける。


 そんなジェニファーのシルクハットの上には、壱が乗っていた。


「壱:あんたら凄いな」

「アハン♪ この位は当たり前よん?」

「まぁ屋根が抜けないかだけが心配だがな」

「んま!? 失礼しちゃうわん」

「はっはっは、お互い様だろ?」



◇◇◇



「――とまぁ、こんな訳よん?」

「壱ぉ……すまな……い」

「壱:何言ってまんねん、僕こそ傍におらんですんまへん」


「「そんな訳で」」


「後は俺達に」「お任せなさい♪」


 突如現れた二人にオークキングは目を疑う。そこに居たのは紛れも無く知った顔だったからだ。


「貴様は『アームストロング』か!! な、何だその気色の悪い恰好は!?」

「んふ♪ ちょっと~。その名前で呼ぶのやめてくれないかしらん? ミーは美の化身、ジェニファーちゃんとして生まれ変わったのよん! そう言う貴方も随分と偉くなったものねん、昔はジェネラルだったと言うのに」

「ブルルル。時とは残酷だな……そこまで醜くなるとは、な」

「んまあああ!! 失礼しちゃうわん! 美、これこそ究極の美そのものよ! ね? ヴァルファルド!?」

「え? あ、ああぁ。まぁ、何と言うか……」

「んもぅ!! 二人とも御仕置が必要ねん!!」

「え゛なぜ俺まで!?」


 豚の王に美醜を嘆かれ、そのやり場の無い怒りは、ジェニファーの怒気を力に変えて魔力を練り上げる。

 その様子を見てオークキングは、落ちた腕を拾い上げ切断された腕に接続すると、腰に戻した王笏を光らせあっという間に治す。


「おい、ジェニファー。アイツは治療まで出来るのか?」

「みたいねん、昔はそんな事は出来なかったはずだけどねん」

「ブルハハハ。それが王と言う存在だ、よもや忘れたとは言わぬだろう?」

「やっぱり王滅級か、やれやれ。アフターファイブがいきなりの死地に早変わりとは、な……」


 一瞬の沈黙……直後、三者が同時に動き出す。

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 特に☆☆☆☆☆を、このように★★★★★にして頂けたら、もう ランタロウ٩(´тωт`)وカンゲキです。

 ランタロウの書く気力をチャージ出来るのは、あなた様だけです!

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