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135:商売神級

「無論こんなデマは俺が許さんし、即座に手を打ってからここへ飛んできた。が、問題はアルマーク商会が本拠地にしている場所だ」

「と言うと?」

「……王都だ」


 バーツの話だと、アルマーク商会は国内に三つある「商業神級」の称号を持つ商家だと言う。

 前当主の時までは慈悲深く、地域に好かれる商売を心掛けていたが、代替わりした途端真逆な方針に転換したらしい。


 そのやり方は一言で言えば「卑劣」で、やった者勝ちと言うグレーゾーンを平気で突っ走り、さらにはブラック的な事も、王都の憲兵に手を回し行っていると言う。

 

 そのアルマーク商会を王家は「御用商人」として登録しており、様々な特権を有する商家だった。


「――と言う奴らだ」

「なるほど、かなり厄介な相手ですね」

「ああ、そして問題はもう一つある。奴らは『王都の商業ギルド本部そのもの』だと言ってもいい」


 流は先日バーツが言っていた事を思い出す。それは商業ギルド本部と、トエトリーが敵対しているような感じであったと。


「つまりはトエトリーからすれば敵……と言う事ですね?」

「その通りだ。今回のような脅しは常に発生しているのだが、本来はそれをギルドが取り締まる。俺はお前を特に目をかけているから、こんな事が無いように十分に気を付けていた。が、ナガレが不正をしていると騒ぎ出した事により、少々後手に回ってしまった。スマン!」

「何を言っているのですか、仮にあんなのが百人来ようが問題はありませんよ。ただ今回のように権力を背景に、搦手(からめて)から来られると面倒ですね」


 向こうの世界も、こっちも既得権益と言うのは困った話だなと流は思う。

 しかしよく考えて見ると、自分もその中の一人なんだと思うと心の中で苦笑いをしつつ、バーツが何故ここまで自分を優遇してくれるのかと思いながら、今後の展開を考える。


「商業ギルド本部は以前よりトエトリーを敵視している。先日も話したが、規模で言えばこちらが莫大な生産力を誇るからな」

「その実質トエトリーが本部と言う事に我慢がならないと?」

「その通りだ。だからウチが何かをしようとすると、本部権限で横やりを入れて来る事が多い」

「なる程、ね。いっそ潰してしまいますか?」

「なッ!?」

「はは、冗談ですよ。今はね」


 バーツは思う。これは冗談でも何でもない、この人物なら本当にそれをしてしまうのだろうと。


「ふぅ。ナガレ……根拠は無いが、お前ならやってくれると言う風に思ってしまうな」

「またまた御冗談を~」

「それこそ『今は』ってやつだな?」


 二人はニヤリと口角を上げると、今後の対策に移る。

 丁度その時、メリサが露天から飲み物と軽食を買って来た。


「ナガレ様。今回は大変でしたね」

「お、メリサか。わざわざすまないな。それに飲み物まで悪い、うちは水しか無かったんだよな、助かる」

「いえいえ、はいどーぞ♪」

「まったく、ギルドマスターの俺よりナガレだなお前は?」

「そ、そんな事無いですよ! ちゃんとギルドマスターの分もありますよ、ほら!」


 顔を真っ赤にして言い訳をするメリサ。それをニヤニヤしながら見るバーツ。

 そんな二人を見ると、さっきの騒動も忘れるような気持になる。

 

 ふと気が付くと、メイドが気絶した男をチンピラの元へと蹴り上げて、空中散歩をしていた瞬間だった。


「それで今後だが、どの程度までスパイス……いや、今はコショウに絞った方がいいな。それを仕入れられる?」

「そうですね、一日三百キロが今の所限界ですね。そこに色々な個人的に使う品も含まれるのと、カレーを販売する材料もあるので、もっと少なくなります」

「ふむ……。今は俺が食い止めているが、いずれは王都の特権を使い邪魔をして来るのは必然。出来れば奴らが手を打つ前に、当初の計画を実行に移した方がいいだろう」

「となると、一日の輸入量を増やす事が課題ですね」

「ああ。だが出来るのか?」


 流はしばらく考える。出来るのは間違いが、流が異界を超える力を今よりも自由に使いこなせるようになれば、一般物も今よりは自由に持ち出しが可能となるはず。

 さらに力ある道具にしても、異界骨董屋さんの神々も納得するだろう。


「出来る……と、思います。しかし多少時間がかかるかもしれません」

「そうか、ファンの計画に間に合えばいいのだが」

「分かりました、一度家の者と相談をしてからバーツさんに報告します。それとカレーの販売は一時中止し、コショウのみを販売する事にします」

「うむ、それがいいだろう。今は出来るだけ迅速に国中にコショウをばら撒き、奴らが邪魔する旨味を無くせばこちらの勝ちだ。どの道お前は何があっても、奴らの下へ降る事は無いのだからな」


 そうバーツは言うと、メリサが買って来たコルコの実のジュースを飲み「美味い、な」と一言呟くのだった。

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