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125:領主の館にて~久しぶりの面々

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あなたの優しさに万雷の拍手を、そしてその一手間に心より多大な感謝を!

 ――流が謎のリゾート空間を満喫している頃、トエトリーの領主の館ではバーツより近況報告がされていた。


 メンバーはトエトリー領主・クコロー伯爵・商業ギルドのバーツの三人と、遠隔通信魔具の目玉から、ヴァレリア公爵・イグニス教皇。

 そして冒険者ギルドからは王都のマスターのアダムズ名誉伯爵と、トエトリーのギルドマスターのアリエラが参加していた。


 その驚愕の内容に、参加者は何度か同じ質問を繰り返すほど、今回の報告はあまりにも常識外れだった。


「――と言うのが今回起こった一連の事件の内容です」

「バーツが言う事だから間違いは無いのは分かるが、何度聞いても信じられないような話だねぇ。本当に一人でそんな事をした……いや、出来たのかい?」

「ええ。確定情報ですよ、ヴァレリア様」

「ククク、実際教団内部の内通者共も根絶やしの最中だ。あのファイルは役に立っている。間違いなく侍の功績と言って良いだろう」

「イグニス教皇の役に立てて良かったよ。あんたの所は特に念入りに不純物を取り除かないとな。時にアリエラは、何時こっちへ戻って来るんだ? リットンハイムがウチに来て泣いていたぞ?」


 バーツに困ったように言われたアエリアは、王都の冒険者ギルドへ今後の対応と、トエトリーへの敵対勢力に対し、かく乱工作を目的として出張していた。

 そしてため息交じりに答える。


「フン、まったくリットンハイムにも困ったものね。このぐらいサッと処理をしなさいよね! 帰ったら再教育だわ」

「すまないの~、わしがもっとシッカリとしていれば、アリエラちゃんに世話をかけずに済んだんだがの~」

「気にしないでアダムズ。貴方もその年で本当に良くやってくれているわ。今回のこればかりは二人で力を合わせて、早急に対応しないと、何時馬鹿共が邪魔するか分からないしね」


 馬鹿共と言う言葉に、アリエラは侮蔑の感情を叩きつけるように言う。

 その様子を黙って聞いていた、トエトリーの領主である子爵は、数度頷いた後にゆっくりと話し出す。


「ふむ……大体の内容は分かった。我がトエトリーも殺盗団の残党処理はあらかた終わったとは言え、まだまだ不安定な情勢だ。しかしその巨滅の英雄の侍は、まるで神話そのものじゃないか?」

「はい子爵様……。私が肩を並べて戦ったあの侍達と、話を聞くと本当に似ていると思います……」


 一緒にいるアダムズは見えるが、アリエラは昔を懐かしむような表情になり、両腕で自分を抱きしめる。

 魔具の向こう側で、感極まる様子の声で答えるアリエラを想像したクコロー伯は、アリエラの過去を思い出すように話す。


「神話大戦の英雄のお言葉は、どんな歴史書よりも重いデスネ」

「ククク、本当にクコロー伯の言う通りだ。我が教団も、新たなページに神話を記載する日も近かろうか」


 二人の言葉に全員が頷き、その後トエトリー子爵がバーツへとたずねる。


「それでバーツ、侍がトエトリーに移住する事が決まったと報告があったが?」

「はいその通りです。子爵様に報告した通り、ナガレはお屋敷街の幽霊屋敷の悪霊を払い、そこに住んでいます。また今回の報酬として、商業ギルドへの協力支援金の義務を放棄する事にしました」


 その報告で驚く面々。


「なんと!? バーツも思い切った事をするデスネ」

「クコロー伯の言う通りじゃの~。まぁそれが一番ええがな」

「フン、リットンハイムは何をしているのかしら!? もぅ、バーツばかりにいい恰好させて! せめて酋滅級くらいあげなさいよね!」

「ククク、そう憤る事もあるまい。侍はそれほど地位には固執しておらん」

「妾もバーツの英断が正しく思うぞ? 何せこれから金がいくらあっても足りん」


 頷く一同に不敵な笑みを見せて子爵は言う。


「だからこそのトエトリーと言う訳だ。このみやこを国の中心とも言える程に成長させた先祖に万雷の拍手を、そして現在を支えるお前達に多大なる感謝を」


「「「勿体なきお言葉」」」


「うむ……して、王都の馬鹿共は動きそうか?」

「頭は愚鈍ですからの~。アリエラちゃんがかく乱してくれているお陰と、今回のファイルで裏切り者が分かった以上、信頼できる人材の確保が進んでいますじゃ」

「ただ王室子飼いの冒険者達が、少しきな臭い行動も取り始めています。内通者を潜り込ませていますので、何か行動があれば私へと報告がすぐに上がります」

「そうか……。引き続き牽制とかく乱を頼む。して、教会の方はどうか?」

「ククク、こちらも信徒が二度と騙される事の無いように、大司教以下、教義を徹底して再教育をしています」


 その報告を聞いてトエトリー子爵は満足気に頷く。


「ヴァレリア公爵の方はどうか?」

「はい、妾の方も『演習と称して』準備は整いつつあります」

「ルートはどうなっている?」

「そちらも抜かりなく、妾の特殊工兵部隊が秘密裏に工作中です」


「体制は整いつつある。あの忌まわしい『ガラクタ』を滅ぼす機会はこれが最後だと思え!!」


「「「ハッ!」」」


 子爵のげきに全員起立し、胸に右手を当て頭を下げるのであった。

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