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底辺だって良いじゃない!

作者: 0024

「おらー、3番台出ないわよー!」


「おいそろそろ帰るぞ」


 ガンガンとパチンコ台を叩く彼女に俺は声を掛ける。


「ちょ、ちょちょちょ待って~、今月3万負けてるのー! 取り返さないと帰れないー!」

「吸い取られるだけだ、さっさと終わらせろこのパチンカスが」


 俺は彼女――大空(おおぞら) 十和子(とわこ)の頭をドツく。


「うぇ~~~ん、後生だからあと1回!」

「死ね」


 彼女の背を蹴飛ばす。いや、勿論軽くだけど。


「ひ~ん、このDV男! ヒモ! ごく潰しー!」

「DVでもねえしお前、後半全部ブーメランだかんな? とっとと働けクソニート」


 そう、この女、逆ヒモっつうか、俺んちの居候である。

 日銭も稼がずこうして俺の金でパチンコをするクズ女なのだ。


「あーあ、万次郎(まんじろう)くんのせいで今日も赤字だぁ~!」

「どの口がそれ言えんだよこのアホ」


 パァンパァンパァンと3発軽く往復ビンタを食らわせて、本日のパチンカスは強制終了。


「はー怒鳴ったらお腹空いた。ご飯食べよご飯」

「俺の金でな」


 全く、どーしよーもねえ女だ。


「今日何食べるー?」

「お前その台詞だけだと彼女が何か作ってくれるみてーに聞こえっからムカつくな」


 なのになんで付き合ってるのか。


 ――まぁ、うん。察してくれ。


「へへへぇ、あたしの手料理食べたいー? 食べたいー?」

「黒コゲのデス料理なんざ誰が食うかボケ」


 俺は辛辣に言い放つ。コイツの料理、食えたもんじゃねーからな。

 それから尋ねる。いつもの問答。


「つか、マジでお前働く気ないん?」

「働いたら負けって言うじゃん」


 それを言って良いのは、某ニートアイドルと、かつて話題になった父つぁん坊やだけだ。

 お前みたいなクソニートパチンカス女は、きちんと労働にいそしめ。


「え~やだ~~~働くと疲れる~~~」

「誰だってそうして生きてんだよ」


 全く、もう。


「あたしだって働こうと頑張ったけど~~~、世の中と政治と野球が悪いの~~~」

「野球は悪くねーよ。飲み会で話しちゃいけない話題の事になってんじゃねーか」


 どうして、こう。


「分かった、じゃあ働く! 自宅警備する!」

「世の中ではそれを引きこもりってんだ、覚えとけ」


 コイツには、甘やかしちまうんだろうな。


「い~も~ん、万次郎くんがあたしを捨てるまではず~~~~っとニートするも~~~~ん」


 もにゅん。


「う」


 その様子に十和子がニタリといやらしい笑いを浮かべる。


「はっはっは、生まれ持った良い顔とEカップは役に立つなあ」

「てめぇ……この底辺女が!」


 全く、本当に、男って奴も、どうしようもない。


「底辺だっていいじゃな~い、こうして楽しく話せていれば、それで人生は上々だよ~」

「よくねーし、自分の人生を謳歌してるトコ悪いが、その人生は俺に依存し過ぎなんだからな」


 そう言うと急に十和子は真剣な顔になる。


「大丈夫。依存してるのは自覚してるから」

「なお悪い」


 言いつつ、許してしまう俺も同罪かね?


「まぁそのうち万次郎くんには返すよ~、倍返しで!」

「期待してねえけど、自分の食い扶持くらいはどーにかしてくれ」


 そうして今日も俺たちは、クソみたいな会話を繰り広げつつ食事に行くのだった。


(終わり)

ども0024です。


なろうでの短編はちょっとぶり、アホな会話劇を思いついたので投げときます。


どうしようもないクズ女って書いてて楽しいな……。

彼氏もなんかこう、駄目人間感としては同類。


ダメ人間同士の愚かだけどなんか楽しい生き様が好きです。

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