遠い霊 ~toilet~
僕はホラー映画が苦手だ。
けれど、苦手ということは何度か見たことがあるから苦手だと言える。
年齢が上がるにつれて、何度かそれを克服できているんじゃないかと、怖いもの見たさというよりも、自分の成長を確認するように映画をレンタルする事がある。
もちろん頻繁じゃない。ニ、三年に一度といったところだろうか。
流行りの海外ホラー映画や、僕と同じ世代が体験するような和風ホラー映画をたまには見ていないと、会話についていけなくなったり、その場の空間を共有できない自分がなんとも惨めに感じるから。
その映画を友達と見ればいいんだろうけれど、ホラーが苦手な自分を周りに悟られる事にも恥ずかしさがあって、結局見るときは誰もいない時に部屋の中で一人となる。
映画中にキッチンへ食べ物や飲み物を取りに行かなくてもいいように、部屋の中にはコンビニで買ったポップコーンやコーラを用意して準備万端としている。
準備している理由は、映画の途中にキッチンやトイレに行く自分がホラー映画よりも苦手だからだ。
ホラー映画が苦手というよりも、それを鑑賞する事で時間の経過と共に発生する生理現象の時が辛い。
どうしてこれほどトイレに行くことが苦手なんだろう。
煌々(こうこう)と電気を点けていればいいだろうけれど、それでも暗い部分は存在する。
そこから何か得体の知れないものの存在を感じ取ってしまったらどうしようという癖が幼少の頃から抜ききらない。
おそらく、その癖のせいで僕はホラーが苦手なのかもしれない。
幼少の頃、夢遊病のような記憶が一度だけある。それはトイレまでの間にある襖と障子を自分が破いたという記憶だ。
僕は夜中に起きだして、きっとトイレに行きたかったんだろう。けれど、その日はテレビのロードショーで海外ホラーを放映していた。
そのせいか、夜中に起きだした僕は、トイレに行きたいけれど行きたくない衝動との戦いからか、襖や障子の敷居の間に座りこみ、両手で襖を破いていた自分がいる。トイレに近い障子は特に破いていた。
それだけトイレに行く事が怖いことでの葛藤から起こった事だろうと、今さらながらの記憶もある。
その記憶の朝、オネショしていた事と、障子を破いていた事で母親に叱られたから、なおさらホラー映画との相性が悪いと感じた。母親には幸い、それ以降に叱られた覚えがない。
きっと夢遊病となるまでの恐怖は克服したのだろう。
昔から便所という場所は幽霊が出やすいようなイメージがある。
田舎の実家はボットン便所だった。そして下を覗くと暗闇に濁濁としたものが溜まっていき、排泄したものが真っ直ぐに落ちるとお尻に跳ね返ってきたこともあった。
底が以外と深くない油断のできない場所。今でこそトイレと呼ぶが、昔のあれは便所と呼ぶのがふさわしい空間に思える。
その頃の便所の中から小窓を眺めれば、季節によって生えている緑が窓の端から僕を覗いている。風によって草たちの音が擦れ合う。それが昼間ならいい。
夜は、何かの『気配』と感じてしまう。
静まり返った中で排泄したものの音がいつもより違うタイミングだったらどうしよう。小窓から草の擦れる音と違う音が聴こえてきたらどうしよう。それほどまでに便所という空間は僕を臆病にさせる。
父親にトイレが長いと叱られた事もあった。叱られた記憶は一度きり。きっと僕がボットン便所が苦手という事を理解してくれたんだと思う。
映画鑑賞をする僕。今日は調子がいい。それは後半に近づくにつれて発生する生理現象がやってこない。
そんなに生理現象が嫌なら飲み物を飲まなければいいだろうと言われるかもしれないが、90分以上ある間に飲み物を口にしないのは結構つらい。せめてお菓子を食べる事でそれを抑えたい。
僕は、今回乗り切った。全てを鑑賞して、映画だけの怖さだけを堪能して、それ以外の恐怖を味あわずにすんだ。
映画で感じた恐怖の真っ最中にトイレへ行くこともなく、余韻が薄らいだ頃に気分を変えてからトイレに行くことができる。
そう、それは映画を見終わって20分くらい経過しただろうか。二時間ぶりに感じる生理現象。トイレに行きたい。
すでにこの20分間で見たばかりのホラー映画の事を忘れそうになるほど僕の恐怖心は和らいでいる。今なら恐怖に足がすくむことなく、するべきことを終わらせるであろう。
そのように自分を奮い立たせながらトイレに向かう僕。その時、長くなることも考えてMP3オーディオプレーヤーをポケットに入れる。
廊下の電気を付ける時には僕の腕は完全に伸びきっている。少しでも早く光を壁中に反射させたいためだ。
廊下の両壁に両手をつかなくても真っ直ぐ歩ける。僕はどうやら成長している。
目的地であるトイレはもう目の前。
その中に電気が点いていないことは指で丸をつくったような隙間が暗いことで理解できる。左手にあるスイッチをONにすると、その丸い隙間はトイレの中が光で照らされていることを教えてくれる。
よし、大丈夫。何も起きない。起きるはずがない。
これほど怖がっておきながら、僕は幽霊などに遭遇したこともないわけで、何に怖がっているのかもわからない。
きっと今日のホラー映画とトイレを繰り返せば、僕の中にある恐怖心は何も根拠のないものとなり、僕は大人になれる気がする。
僕はトイレのドアを開けた。
そのトイレは勿論水洗である。しっかりウォシュレットも付いている現代のトイレ。便所という呼称が似合わない水洗トイレ。
最後に使ったのも僕であるため、便座も蓋も上に上がっている。
その瞬間感じたもの。それは僕の尿意が便意へと変化したこと。早くこの場から退散できると思っていたが中々思い通りにはいかない。成人してからの僕の克服劇は便座を下げてからではないと進まないらしい。
僕は静かに便座を下ろす。そして入ってきたドアへ振り向き、デニムを膝あたりまで下げると、腰を下ろした。
静かだ。それはそれで早く終わらせる事ができる。それに、静かでなければならない。音が聴こえてくる理由がない。もしも音が聴こえてきたら、それは何者が奏でた音だろう。
この家に今僕はひとりだ。交際している彼女が来る予定もない。せいぜい音がするとすれば携帯電話の着信音だろう。けれど、その音が鳴る可能性は頭に入れているので突然の着信音にも動揺しないように心の準備はできている。
跳ね返らないトイレ。それは素晴らしい。
昔のような得体の知れないものがお尻に触れる感触。それはもう皆無だと言えるだろう。
僕のお尻に感じるものはウォシュレットの水圧。それも僕の意思で発射することができる。
タンクの横についているレバーをひねることにより、僕はやっとこの空間から自由になれる。
どうだ、大したことはない。僕はやっと成長したんだ。
その流れるものは過去の恐怖心だと言わんばかりに渦を眺める僕。完全に流れ終わり、水の音も聴こえなくなり、過去の僕との決別。あとは入ってきたドアを開けるだけ。それで僕はひとつ大人になれる。
口角を上げながら、過去の自分へさよならするべく、ドアのノブを掴む。けれど、それはあってはいけない気配があった。
ミシ……ミシ……。
僕の部屋はそんなに狭くない。
それは都内でも賃貸を借りれるほどの賃料であるにも関わらず、ここは内陸の県。1万円代の家賃がある中、僕は6万円の家賃で借りている。
それはひとりで住むには勿体無いほどの広さ。その空間の中で、ミシ……ミシ……と音がする場所は限られている。
少し前まで部屋の中で筋トレをしていた。そして同じ場所で。その筋トレ中の衝撃は、フローリングの老朽を早めてしまったかもしれない。
唯一部屋の中で軋む音がする場所。そこを誰かが歩いている気配を感じる。それは明らかな不法侵入者であり、僕は恐怖よりも怒りに近い感情が湧き上がる。
カタン!
それは明らかな気配。
この侵入者は僕の部屋の物を落とした。
それを推測するのであれば、玄関近くに置いている彼女との写真立て。物が少ない僕の部屋から何か音がするならばそれくらいしか思いつかない。
けれど、僕は今、不利な立場にいる。
外にいる存在に対しての対抗手段がない。
いつから侵入していたのだろう。
もしも、僕が水洗トイレを流す前からであるならば、コイツは僕がトイレに居る事を明らかに知っている。
それは僕が現れた時に、どんな武器を持って待ち構えているのであろうかと考えてしまう。
けれど、もしも侵入してきたのが、水が流れてタンクに溜まった後であるなら、この侵入者は僕の存在を知らない。
そもそも灯りを点けているのに侵入してくるコイツ。それは僕と対峙するそれなりの覚悟の者。それならば、僕を驚かすために現れた学友か、それとも僕の彼女がそっと入って来たのか。
色々な推測は出来るが、もう少し様子をみたい。だから、僕は静かにトイレの鍵をひねる。
カ……チャ……。
この音は僕がトイレに鍵を掛ける音。
気づかれたか? 僕はここに居ますよと教えてしまったか?
その答えはものの数秒でわかるはず。トイレを開けようとするか、存在を知ってすぐに逃げ出すか、知り合いであれば声を掛けてくるのではないかと。
「フフ……フフフ……」
女?
そんな、この侵入者は女?
けれど、すごく不敵な笑みを声として上げている。
僕の彼女はそういったタイプではない。むしろ脅かすようなことはせず、すぐに声を掛けてくるようなタイプ。
それなのに、ここに居る女は、僕をあざ笑うように笑みを零してきた。それは僕に対して怖がっていない。
目的は何?
ズズズ……ズズ……。
何の引きずる音?
まるで着物でも引きずるような。どうしよう。この侵入者は明らかに怪しい。
僕がもし声を上げたら、コイツはどんな行動に出るのだろう。
僕の口を封じる? 逃げる? ……困った。
携帯電話を持ってきていればよかった。
でも、これだけ気配を出しているのに僕へ何もアクションをおこしてこない。ということは、僕の存在に気付いていない?
部屋中の電気を点けているのが良かったのかもしれない。もし、トイレだけだったら、隙間からトイレの灯りが漏れている事に気付いて、僕がここに居る事がとっくにバレていただろう。
けれど、キッチンと廊下、部屋全体が明るければ、トイレの灯りは目立たない。
その時、少し離れた僕の部屋から聴こえてくる着信音。
その着信音は交際している彼女からの着信音。
タタタタタタ……。
走った! 僕の携帯電話の着信音に向かってコイツは走った。
着信音も消える。コイツは僕を狙っているのかもしれない。
僕はいつまでここで息を殺していればいいのだろう。もしも僕を狙っているなら、僕は危険な目に合うかもしれない。
そもそもどうして狙われる理由がある?
何も悪い事をした覚えもない。
変な出来事に巻き込まれた覚えもない。何者なんだ!
気を静めよう。
コイツの目的はわからないが、僕との接触を求めている者かもしれない。そうだとして、僕は存在をコイツに知らせるべきか。
ペキ……ペキ、ペキ! ベキ! ベキ!! ……ちょ!
コイツ、何してる?
折れる音は、携帯電話?
外部との連絡を絶った?
初めてコイツに悪意を感じた。いったい僕にどんな恨みがあるんだ。
ペタリ……ペタリ……ペタリ。
足音……裸足? 廊下を裸足で、こちらに近づいている。何をする気だ!
僕の部屋に残っていたポップコーンの残骸やコーラの残りから、僕がこの空間にいる事を知って、飲食した者が行きやすいトイレに気付いて近づいてきた? 僕には危険が迫ってる?
ドン!
う!
声が漏れそうだ。コイツ、とうとうトイレのドアに手を当てた!
ドン! ドン! ドン!
あああ……どうしよう。コイツは僕を狙っている。
どうしてコイツは声を出さない!
僕に用があるのなら声を出せばいい!
ガチャ……ガチャ。
ドアのノブを回している。もう僕がここに居ることがバレた。
ガチャ……ガチャ。
どうする、声を掛けるか?
もう僕の居場所はバレたんだから、交渉の余地くらいはあるだろう。
僕は意を決して声を上げようとする。
バリン! バリン!
「ぐぉおぉぉ……ぉおぉぉ」
何だ? 唸り声? 誰か窓から侵入してきた!
ズザッ……ズザッ……。
何か引きずっている。重くて、鈍そうなもの。感覚のない足?
ああ……ひとりじゃない……何人もいる。
ズザッ……バタン! ズリ……ズリ……。
倒れた。でも引きずりながら……立ち上がった?
何なんだ? 何が起きているんだ? さっきまでの女はどこいったんだ? MP3……これ、ラジオ機能が付いてるはず。何か情報が……。
【……ガガ……では、すでに都市部は壊滅し……ガガ……郊外へ……】
壊滅? 何? こいつらが原因?
【……ガガ……自衛隊による防衛に……ガガ……限界が生じ、海外からの……ガガ】
何かとてつもなくまずい事が起きている! こいつらは一体……。
「あ! あ! 助けてくれぇ!」
誰か僕の部屋にいる! いつから? 助けって、どんな奴ら?
「ギャ……ガッ! あああ!! ギャアアアア!!」
ガジ……ガジ……ビシャ……。
って、何されている? まさか……まさか……食べられて……。
どうしよう、さっきよりまずい状態だよ! ここは出ない方がいい! 完全に立て篭らないと!
ウーーーーーーーー!
え? 何の音? 外で人が走り回っている音。
ドゥォン!! ドゥオォォン!!
え? ちょ、ちょっと! 爆発? え? もしかして外にいるやつらを殲滅するため?
僕! 死んじゃうよ!
ウーーーーーーー!
ぅわあ!! すぐ近くだ! ラジオ!!
【……ガガガ……我ラ……ガガ……精神ヲ強メ……ガガ……陛下ノタメニ……ガガ……敵ハ】
は? 何? このラジオ! 戦争?
どうなってるんだ? さっきまでいた奴らは?
ドゥォン!! ドゥオォォン!!
どうなってんだよ!! 外は……いったい……何が起こっているんだよ! え? 地震?
ドオオオオオオン!! ドオオオオオオン!!
え? ちょっ! わあああああ! ドアの外が崩れている音!
ガガガガァン!
あああ……僕は生き埋めになる……。
僕はここでどれだけ生き延びれるか考えた。
幸い水には不自由しない。
タンクのレバーを少しひねり、水が出てくるか確認した。出た。僕の命の源。
水さえあれば、一先ずの心配は無くなる。僕はまだ正気を失わないでいられる。
何日ここにいるだろう。世界はどうなっちゃったんだろう……。MP3は電源が切れた。外の音がしない……収まったのかな。
「ココニハイナイ。アッチダ」
え? 誰の声? すごく棒読みな話し方。
「ミアタラナイ。ハヤク、ニンゲンヲ、ショウメツシナケレバ」
人間を消滅? なんだこいつら!
便座に座っていた僕。その拍子に、トイレの蓋が便座の上へ倒れてきた。
パタン……。
あ! しまっ!
「ココダ。ミツケタ」
僕は頭を抱えながらしゃがみこんだ。
すると真上にはトイレの壁から壁へ貫く穴が通過した。一瞬で空いた穴は指が入るかどうかの大きさ。その穴を覗いてみようと思った僕。
ゆっくりその穴に顔を上げながら近づくと、その穴から侵入してくる物体。
それは骨を感じるような細長い指先。少なくとも指と思っていた。長い。とても長い。まるで虫についた細長い足のようなものが穴からトイレへ侵入する。
関節は一つしかないようで50センチほど入ると途中の関節は折れ曲がり、トイレ中を確かめる。
先っぽには目のような物が機敏に動いている。この関節が僕の方に曲がったら、僕は見つかってしまう!
僕はその長細い骨のような存在を、関節を中心に左右を鷲掴みした。
ベキッ!
僕はその関節を折った。
「キュウラァァァアアア!」
声なのか叫びなのか区別のつかない呻きがトイレの外で高く響く。
僕は明らかな攻撃を得体の知れない相手に仕掛けた。
僕を襲おうとした未確認生物。僕は奴らを怒らせたはず。もう一度穴を空けられたらとき、僕の体に風穴が空いてしまうかもしれない。
僕は攻撃か防御が出来る物を探した。
握ったものはトイレを掃除するブラシとタンクの蓋。話にならない。
今にも風穴が空くのではないかいう恐怖でおかしくなったのかと思いながらも、ブラシを便器の中に捨て、持ち替えたのはトイレの液体洗剤。
僕は、すでに空いている穴に洗剤の先端をあて、その洗剤を強く握った。
「キュルギュリュリュルラアアアア!!」
苦しんでいる。
どうやら穴の真ん前に近づきすぎて体中に浴びたようだ。
シュー……シュー……。
それは何か溶けるような音。
僕は、こいつらに勝ったんだ! 得体のしれない生物にこの限られた空間で勝利したんだ! 液体洗剤は幸いにもストックがある。これならもう一度戦える。
僕はトイレの中でタンクの蓋と液体洗剤を構え、歴代の勇者のように仁王立ちしていた。
さあ、この扉を開けて戦うんだ!
僕は洗剤を握る手の小指と薬指でトイレの鍵をつまむと、それをひねり、開錠させた。あとはドアのノブを握り、この閉ざされた空間から飛び出すだけ。
僕に襲いかかり、僕を押さえ込もうとすものは全て成敗する。
そのようなローマの剣闘士を思わすスパルタクスのような気概が、僕の心に湧き上がった。
全ての恐怖を体験した僕は、その恐怖を乗り越え、その敵に一矢報いて、僕はこの世界の英雄になれる気分がした。
僕のトイレを囲んだ見えない霊たち。
すぐ近くにいるようで遠くに居る霊たちの暴走を静めるべく、僕はその正体を確かめてやらんとばかりにノブを握った。
その時、僕の耳に聞き慣れた音が響いた。
ピンポーン。
「ねえ! 私! 電話出ないけどどうしたの?」
現れた新しい霊。
その気配に臆せず、僕は勢いよくトイレから出た。
どれくらいトイレにいただろう。
無限に流れる水を飲み、お腹を下してもそれを跡形もなく消してくれる場所。
僕にとってトイレは一番神聖な場所なのかもしれない。
そして、新たに僕を惑わそうとする恐怖の対象がいる。それはこの部屋の外に待っている。
僕は負けない。
もう一枚だけ扉を開ければ、僕の中にある恐怖はきっと過去のものになるだろう。
液体洗剤を左手に持ち代える。
右手にタンクの蓋を握り締める僕は、高く持ち上げて、僕の心を閉じ込めた最後の扉の鍵を開いた。
洗剤で相手の目をつぶし、陶器の蓋を振り下ろすのに躊躇いは無かった。
僕を叱りつける恐怖の対象は、僕の意思で倒せるから。
障子を破いても叱られなくなった。
トイレが長くても叱られなくなった。
けれど、その人たちを隠す便所はもうない。
だから、僕を暗闇から襲おうとする霊は、小さくして、流してしまわなければならない。
霊が遠くなれば、僕の住む暗闇には現れないだろうから。
―了―