死にたがりの領主の息子2
11才になった俺だが、兄は忙しそうにしている、原因を調べると作物が年々減り、戦争の準備で皆が物資を送ったりしているがこの領地の現状では何も出来ないらしい、兄が何かをしようとしても父から後任を任されて居ないから出来ない事が多いみたいだ。
自分に出来ることを探しつつ死ねそうなら死のう、そう決めた俺は目立たない服を探し領地の探索を始めた。
でこぼこな道を重そうな台車を押すババアとジジイが目に入った、ちらちらと此方を見る、老人は嫌いだ直接言うやつもだが電車で座ってる時に此方をちらちらと見る奴は余計に嫌いだ、無視したら口撃が来ることなんて良くある…仕方無い、嵌まっていた台車の車輪を力いっぱい浮かせ台車が少し進む勢いを無くさないうちに後ろに周り全身を使って押しなんとか坂を登りきったが、こんな場合でも老人は何かとぐちぐち言うことがある逃げよう。
適当に迷ってると多分畑っぽいのを見つけたがさっぱり分からない、何となく土を触ってみる作物は土が悪いと育ちも悪いらしいが素人には分からない、そして俺は少し畑を歩き落ちた、たまたま畑の下に空洞があったようだ上から土がこぼれ落ちてくる、生き埋めか…加護のおかげで苦しさは無い。
目を開けると綺麗な月が見えた…夜かどうやら埋まった場所とは別の所の様だ、服に染みが着いているどこかで洗わなくてはメイドに迷惑だ、井戸が無いか人に聴こうとしたら何回も何人も逃げられた、気まぐれの勇気を出したのに…死にたい…。
だが井戸を見つけた確かロープを引けば良いはず、とりあえず引いてみるが重い…だが頑張れ俺汚れた洗濯物はそのままだとめっちゃ怒られる…そして目の前に桶っぽいのがぶらぶらと揺れ中身は水だ!俺はロープから手を離し桶を両手で掴む、引っ張られていた力が消え水がいっぱい入った桶は重力に従い井戸に戻る、一瞬の浮遊感の後俺は井戸に落ちた…。
体が揺さぶられ目を覚ます、目の前には怖い禿が居た、何処だここ…、状況を把握した村の女性が井戸を使おうとしたら重く男連中で無理矢理引いたそうだ、すると俺が上がってきた、運が良かったなと言われた、ふむ禿は良いやつかだが恥ずかしかったので適当に言い訳して逃げ帰った。
あれから3日何やら傭兵達が領地に居る、アンデットが居るか知れないから兄が雇ったそうだ、アンデットも見当たらず何も無くてつまらないだとか道が歩きづらく疲れるだとかただ文句を言ってるらしい、雇われて仕事が無いなら仕事を探さないと怒られる、暇してたらクビだろ。
歩きづらい道でも歩きやすくしたらじゃないとクビな独り言が誰かが聞いてたらしい、傭兵が道を整えているやはり社会人としてクビは嫌だよな。
side主人公の知らない世界
とある老人
あの日は街に買い出しに行きその帰りに台車の車輪が嵌まってしまいまして困っていたら、坂の領主の息子様が何故か居て何度か見てしまい、息子様が此方に来て不敬と咎められるかと思い震えていると息子様は難しい顔をしながら車輪を持ち上げて下さり更に台車を坂の上まで押して何も言わずに消えてしまって、更には後日傭兵さん達がしっかりした道を作り、傭兵さんに聞いたら息子様が命じたみたいじゃないか、あの難しい顔は領民の事を色々考えて下さってたみたいじゃ。
とある禿の農民
あの年は作物が育ち辛くなっていた、どうやら巨大もぐらの大群が畑の下に巣を作っちまった、巨大もぐらは土地を食い付くすか満腹になるまで移動しない、今の土地じゃ満腹何て無理だって思ってたんだが、ある日俺は畑で指輪を拾った確か領主の息子の指輪がその時は何故だ?ってなったが次の日わかったぜ。
井戸から領主の息子が出てきたからな、そっと指輪は返したががめてたのがバレなくて良かった、何故井戸にって聞いたら何か畑が土が水が必要とか自分で井戸にとか早口で喋るから学の無い俺には聞き取り辛かっただが息子様が何をしたかわからねえが、何と畑から巨大もぐらの大群が消え、作物はめっさ育つし、井戸の水も飲んだら若返る位旨いとか噂になっていた、息子様すげえよ。
とある道具屋
禿から聞いたらしいな、あの日からだ糞不味い水で作ったゲロ不味いポーションが糞旨い水で作ったゲロヤバイポーションになったのは。
ゲロヤバイポーションが何かって?ゲロ不味いポーションは頑張っても飲むのはきつく擦り傷が治るとか薄皮1枚はるとか戦場じゃ飲まずに死ぬのを選ぶ奴が居るぐらいだ、だがゲロヤバイポーションは飲み過ぎんだよ、旨いマジで旨い更には回復効果も凄い指位なら生えるそのせいか飲み過ぎると吐くんだよ、なのに旨いから飲んじまうヤバイよあれは。
なんでそうなったかって知らねぇよ領主の息子様が何かやったって噂だが何をどうすればこうなるか調べた奴が居るが誰も解らねぇ、息子様に直接聞いた奴が居たらしいがあの難しい顔が更に難しい顔になって井戸に入った位しか聞けず、知らんって言われ教えては貰えなかったらしいよ、1つ確かなのは息子様すげぇよ。
とある傭兵
この領地に来たのは良かったか悪かったかで言うと悪いな、アンデットが出たって聞いて来たのに居ねぇし、愚痴ってたら働いてないものはクビにするって領主の息子様が言ってたそうだ。
おっと領主の息子様と言っても侮ってはいけない貴族の息子様は場合によったら大人よりヤバイ傭兵程度を処刑するのに汚い傭兵が視界に入ったからって理由があった位だ。
こんな所で死ぬのはごめんだ、どうせやることもない道作るか…。
とある貴族の息子
最近は跡継ぎとかより現状の領地経営がヤバイ、アイツにさえ愚痴ってしまった、僕の物になる土地が無くなるとか冗談じゃない何とかしないとって思ってたんだが。
伸び悩んでた作物がいきなり育ち、畑の巨大もぐらが消えたと思ったらアンデットが沸いた噂がたち、アイツは井戸に落ちたとかで拗ねてるし、アンデット退治に雇った傭兵は何故か道を作り整えるし、ポーションは何かヤバくなるし。
まぁ結果良しだ無いよりましだろうで送ったポーションがここの名産になり畑は例年の倍以上、でこぼこ道は整えられ商人が馬車で行き交いしやすい、それに貴族の息子が凄いって噂がたち僕に意味の分からない質問をしに来る奴が増えた、アイツが井戸に落ちたのは知ってるが11才だ何が出来るかとか知るか!!
とある貴族の奥様
王都で旦那様と共に夜会に参加してみたら旦那様に媚びうる奴が多くて不愉快だわ、旦那様はずっと前線に居たのよ、領地で何があったか知らないけど何かしたとしたら私の息子ちゃんにきまってるわ、お土産は奮発しましょ。




