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あと1メートル世界に近づけたなら  作者: しゅんしゅん
第1章
3/4

第3話『素質』

そういや、さっき瑠璃が素質とかなんとか言ってたよな…… 

「……素質ってなんの素質っすか?」

 質問と同時。ドンドンドンっ

「シャル爺! いないのかぁ」   

 玄関の方から、ノックの音と、小学生ぐらいだろうか、男の子の声が聞こえてきた。かなり焦っている声色こわいろであった。

「少し待っていてください。ルノア様、カエデ様」

 といって、シャルルは玄関の方へ歩いていった。

「なあ、シャル爺。ルノア様が言ってた『カエデ』ってのは、もう来ているのかい?」

 ダイニングは、家の奥に位置しているが、焦っている少年の声は大きく丸聞こえである。しかし、シャルルの声は小さくて聞こえなかった。

「会わせてくれるか?」

 という言葉を最後に、突然、少年の声がえた。あまりに大きな声にシャルルが何かを言ったのだろう。

 それから3分ほど立った頃だろうか。再び少年の声が聞こえてきた。

「なんでだよ! シャル爺!」 

 バンっ……扉の閉まる音がした。シャルルが戻ってきた。 

「すいませんな。少し邪魔が入ってしまったようで」

「いや、別に俺は、邪魔だとはおもってませんよ」

 瑠璃は、少し苦しそうな顔をしている。

「さっさと話を進めたくて、申し訳ない」

「あぁ、『素質』の話だったな」

「はい、そうでございます。カエデ様には、『治癒』の魔法の素質があります」

「治癒の魔法ってあれか? ベホマズンとかそんな感じか?」

 シャルルはベホマズンって? と言わんばかりの顔をしている。

 すると瑠璃が

「ええ、そうよ。そんな感じ。……今から私が今回の話を説明するわ」

と言った。

 

 エルフとは、精霊の生み出す治癒のマナを利用した魔法が使える妖精のこと。

 

 隣町では病が流行し始めている。その病というのが厄介で、エルフの出せる治癒魔法の威力ではどうも打ち勝てないそうだ。現在は感染が徐々に広まり始めていて、現在は潜伏期間、この期間に何とかすればよいとのことだ。

 そして、瑠璃やシャルルが言うには、俺にはその魔法を使う素質があるらしい。しかも、エルフより強力な魔法を発動できるレベルらしいのだ。


「……つまり、俺に助けを求めているわけだな?」

「ま、まあそうなるわね」

「で、魔法を使えるようになるにはどうすればいいんだ?」

「やはり、精霊に力を借りる以上は精霊を可視化できる訓練が必要なの。期限は明日」

 ものの1日で精霊が可視化できるなんて仰天ぎょうてんだ。

「どうせ面倒な訓練なんだろ?」

「まあ……」

 やっぱりな。短期間で普通の人間が出来ないような無理難題を片付けるときの手順ほど面倒なことはない。それぐらい俺でも分かる。……でも、俺は言ってやった。

「じゃあ、やってやるか」

 動機はいとも不純。みんなを助けて、ちやほやされたい。町の英雄としてたたえられたい。そんな感じ。

「では、カエデ様。アルタール・フェルナへ」

 アルタールとは、なんとか語で祭壇という意味らしい。

 

 俺と瑠璃とシャルルは森の中を進み祭壇へと向かった。祭壇へと続く道は、こちらの世界にやってきてからフェルナ村につくまでの明るい雰囲気とは打って変わって薄暗い雰囲気だった。あゆむごとに涼しさが増してきた。遂に、

「寒くないか?」

 寒さすら感じるほどになった。

「もう少しだけ辛抱しんぼうして」

 右足と左足を交互に前に出す。道端に群生している小さな紺碧こんぺきの花たちを見つけた。まるで体感温度をそのまま反映したかのような色だった。寒さを感じるようになってから少し歩いた後、急に視界が開けた。

「ここがアルタール・フェルナでございます」

 そこには、人が一人座れるぐらいの大きさの石でできた板状のものが置かれていた。

 周囲は、神聖な空気に包まれていた。

「カエデ様にはここで『瞑想めいそう』をしていただきます」 

 瞑想をしている間、自分の思う「精霊」を想像し続ければ良いらしい。

「その間私が、イメージを送り続けるわ」

 俺のイメージと瑠璃のイメージが重なったとき。つまり、正解の精霊の姿をイメージ出来たとき俺は、精霊を可視化できる。……というシステムだそうだ。

 ちなみに、ここアルタール・フェルナでは精霊の加護でイメージの送受信ができるようになっているそうだ。

「それでは、初めてくだされ」

 俺は、1時間弱ぐらいの間精霊の姿をイメージをし続けた。

 可愛らしい、所謂いわゆる、フェアリーのような姿。もふもふっとした、猫のような姿。光る虫のような姿。

羽の生えた葉っぱのような姿。 うさぎのような姿(今のはほんの一部)……一時間も同じことについて考えていると頭がどうかなりそうに思えてくる。ただただ苦痛。記憶という辞書を引いて、引いて、引きたくって……大概たいがい出尽くしてしまった。

 そして、ハッと気がついた。もうこれ以外にないと思った。

「犬の姿!」

 大声で叫んでやった。

「正解っ!」

 瑠璃も大声で返してくれた。

「目を開けてもいいわ。お疲れ様、お兄ちゃん」

 なんとまあ、とんでもない速さで精霊の姿をイメージしてしまったカエデ。素質ってこういうことも含まれるもんなのかねぇ……

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