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あと1メートル世界に近づけたなら  作者: しゅんしゅん
第1章
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第2話『大きい机と小さい椅子と』


 瑠璃はつないでいる手と逆側の手を天井にかざした。すると、まばゆいばかりの白い光が、手を握り合う俺たち兄妹を包んだ。

 体が熱くなった。頭と心臓がが締め付けられたような感覚が俺を襲った。吐きそうだ。

 次の瞬間、光が消えた。そこは、確かに「エルフ」なんかが住んでいそうな森であった。

 木と木の間から光が差し込んでいる。明るい感じの森。あっちこっちから、聞いたことのないでも、綺麗な鳥のさえずりが聞こえる。なんとも異世界のテンプレートのような森。

「驚いた?」

「あぁ、もちろんだ。部屋からこんな森に一瞬で移動してしまうなんてな」

 驚いたているのは事実だが、俺は落ち着いたトーンで言った。

「この森はね、精霊たちが住んでいるの」

 でしょうね。そうとしか思えんよ、こんな雰囲気の森なら……

「おぉ、そうか。じゃあ、俺をその精霊たちに会わさせてくれるんだな?」

 完全に求められているであろう台詞を完璧に言ってやった。

「いいえ、会わせられないわ」

 本日二度目の 

 

 は? 

 

 なんでだよ! なんでなんだよ! 精霊の森……みたいなところに連れてきておいて、ずっと会いたかった精霊に会えないとかどうよ……がっかりだ

 ……取り敢えず、会話のキャッチボールを繋げる。

「ん? 精霊に『会わせられないってどういうことだ?」

「精霊を肉眼で見るのは無理、訓練がいるわ」

「じゃあ、なんで瑠璃は俺の目に見えているんだ?」

「それは、私がエルフ、つまり妖精だからよ」

「ん? 妖精と精霊って違うものなのか?」

 精霊とか、妖精とかってゲームやら漫画やらで、かなり使い古されていると思っていたが、違いがあったとは驚きだ。

精霊は無理だけど、妖精であるエルフになら会えると、瑠璃は俺をフェルナ村というエルフの村に案内してくれた。その道中に精霊と妖精の違いについて説明を受けた。

 ごちゃごちゃしていて分かりにくかったから3つにまとめてやろう。

1.訓練なしだと、精霊は目に見えない。しかし、妖精は目に見える。

2.精霊はマナを生み出せるし、魔法も使える。妖精は、マナは作れないが精霊の力を借りて魔法が使える。

3.精霊は存在できる場所が存在するが、妖精はどこにでも行くことができる。

 以上だ。

 

 こっちの世界に来てから20分ほど経過した頃だろうか。特になんの問題もなく、俺と瑠璃はフェルナ村に到着した。直後、俺と瑠璃は村長である「シャルル・エルシャ」という老人の元へ向かった。

 村の周りは木の柵で囲まれていてかなり小さい印象をうけた。家が10軒ほどで、あとはほとんど畑。村長の家は村の入り口のゲートから真っ直ぐに伸びる道の先にあった。

 コンコン、と瑠璃が扉をノックをした。すると

「やっと来ましたか。待っておりましたぞ」

 いかにも村長らしい声がドアの向こうから聞こえた。

「じい、入りますよ」

 瑠璃は扉を開けた。そこには、耳こそ尖っているが、普通の爺さんがいた。

「おお、ルノア様! こちらが『カエデ様』ですか!」

「えぇ、私の兄のカエデよ」

 ルノア様って……瑠璃のことか?

「こんにちは! シャルル・エルシャさん! はじめまして!」

 挨拶は大事だ。ルノア様について考える前に、俺は元気よく挨拶をした。 

「はい、はじめまして。カエデ様。ルノア様もカエデ様もどうぞ中にお入りください」

 俺は、瑠璃に手を引っ張られ、村長の家のダイニングに連れて行かれた。

 ダイニングには、大きめの机と明らかに小さな椅子が2つあった。

「どうぞ、お二人共椅子にお掛けください。私は立っておりますから」

 普通は、若いものが立ち、老人が座るというにするべきところだろうが、今回はお言葉に甘えた。……それにしても小さな椅子だ。

「カエデ様、ルノア様からお聞きになっていますか?」

「何をですか? シャルル・エルシャさん?」

「シャルルで結構。ええと、その様子だと聞いていないみたいですね……素質の話ですよ」

 第3話は明日、21時頃投稿の予定です。

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