第1話『始まりは告白だった』
なんか書いてみたいな〜。的なノリで書いた作品です。(「つまらない」という評価、前提で(笑)楽しんでいただけたら幸いです。
物語の始まり、っていうのは大抵何らかの事件から始まる。俺の場合は、高校2年生の夏、かなり衝撃的な告白から始まった。それも、可愛い可愛い妹からの告白。
俺の妹は、黒髪、美人(可愛い)、兄思い……とまぁ、自慢の妹である。
ある日そんな妹に部屋にお呼ばれするという、舞い上がってしまいそうな一大イベントが発生した。
妹の部屋のドアを開けると
「いらっしゃい、お兄ちゃん」
という声と、甘い香りに出迎えられた。妹の部屋は相当綺麗に整理されていて、もし、「理想的な女の子部屋大賞」があったら間違えなく上位入賞するだろう。こんな風に、妹の部屋に見とれていると、
「あ、あのねお兄ちゃん……」
可愛い妹がこれまた可愛らしい声で俺に言う。
「わ、私ね……」
なにか非常に言いにくいことを言おうとしている、ということだけは伝わってくる。
「なんだ、瑠璃? もしかして、お前俺のこと好きなのか? 愛の告白か?」
「ふざけないで! 真剣な話なの!」
ハイハイ、わかってますよ!
愛の告白な訳ありませんもんね!
……言わずともわかるだろうが、瑠璃とは、俺の妹の名前である。
「改めて言うから、ふざけないでね」
「わかったよ」
「そ、それじゃあ言うね」
愛の告白でなくてもいい、ドンと来い!
「わ、私、エルフなの!」
ああ、エルフ、エルフねぇ……
は?
何を唐突に! 愛嬌に拍車がかかって遂にうちの妹は天然不思議ちゃん属性を手にしてしまったか!? 残念ながら俺は天然不思議ちゃん属性には萌えないっ……!
……とりあえず俺は、話に乗ってやることにした。
「エルフって、あの妖精のか?」
「うん、まあ一般的にはそう、でも正しくはちょっと違う」
正しくはちょっと違うっていわれてもなぁ……わからん。
「まあ、なんでもいいんだけど、瑠璃がエルフってどういうことだ? なんで、今、俺にそれを言ったんだ?」
疑問が口を出る。
「なんで今、お兄ちゃんにこんな『告白』をしたのかは、いずれわかるわ」
「いずれわかる」とか、初めていわれたぜ。こんな台詞漫画とかアニメとかの中だけとばかり思っていたぜ。
瑠璃は続ける。
「私がエルフだっていうことに意味なんてない。ただ、事実だということ」
事実ねぇ……正直者で定評のある妹の言葉だ。瑠璃の表情からみても真剣な言葉だ。信じ難い、信じ難い……でも、どうやら、妹は天然不思議ちゃん属性を手に入れたわけではないようだ。
それだと、俺の頭の中にはクエスチョンマークが大量発生することになる。
「なあ、瑠璃は俺の妹なわけだろ? ってことは、親は一緒なわけだ。なら、俺もエルフっていうことか?」
まず、第一に現れたクエスチョンマーク。純粋な疑問。
「いいえ、お兄ちゃんはエルフではないわ。でも、素質はある」
なんだ、素質って? 気になるな。 ……それより、まずい可能性に気がついた。
俺がエルフでないということは親が違うということだ。俺は真相を問う。
「……って言うことは、俺の両親と、瑠璃の両親は違うっていうことか?」
もし、これが本当なら、悲しい。
「大丈夫、私とお兄ちゃんの両親は一緒よ」
ほっ、これを聞いて俺は、胸をなでおろした。がっかりせずに、悲しまずにすんだ。
「それなら良かった」
しばらくの間、俺は妹に「エルフ」についての質問をし続けた。どんな質問をしたかは、後々語ることにする。
エルフという言葉は、「アルビノ」のもとになっている……白く華奢な手が俺に差し出された。握って、と妹は言う。俺だってまだ思春期だ。やはり恥ずかしさもある。が、俺は妹の手を握った。
「握ったはいいが、一体、何をするんだ?」
「私がエルフだってことを口で言うだけじゃしっかりとお兄ちゃんに理解してもらえないでしょ? だから、連れて行くの」
「エルフ」そして「連れて行く」という言葉で察した。
人生ってのは面白いもので、どれだけ平凡な日常を送っていても、いつ、何が起こるかわからない。
お待ちかね、異世界である。
2話目もぜひ。