登校にて
はい。どうもはじめましてヌタウナギです。
完結目指して頑張って書いていきたいと思います!
では第一話どうぞ!
.....はっ!
ふと目が覚める。
そこは、見飽きるぐらいによく知った天井。
....まぁ、そうだよねー。女っ気の「お」の字もない俺が、朝起きたら見知らぬ天井、朝チュンでウキウキわくわくなラッキースケベタイムなことなんてあるはずがない。...そう。現実とは、、、、無情なのである。
どうせ今日は休みだ。昨日遅くまで魔法少女見過ぎたんだよなぁ。ゆっくり二度寝に勤しもう。どれどれ今は何時かなぁ?
午前8時05分
お!平日だったら、今頃死ぬ気で急がなければ行けないが、だがしかし、今日はまだ日曜日だ。...日曜日だったはずだ。うん!俺、間違ってない!...でも、ちょっと気になるから曜日を確認しておこう。
「え?」
思わず、声が漏れた。
月曜日 午前8時07分
おぅふww。平日でしたね。てへぺろー。....じゃねぇよ!!後、8分で遅刻だわ!!
いや待てよ。これは時計がちょっと頑張りすぎちゃって1日早く時間を指しただけじゃないのか!?
....そういや昨日サザ◯さん見たわー。超見てたわー。てか時計が頑張りすぎるって何だよ。日ごとに指す時間が変わる時計とか存在価値皆無じゃねぇか。
転びそうになりながらも、階段を駆け下りてリビングに着くと、そこにはいつも通りの美味しそうな朝食と置き手紙がある。
ぼんやりとする意識の中で、置き手紙を開く。
そこにはこう書いてあった。
「おっはょー!!ゆうくぅん!よ〜く眠れたかなぁ?いやぁー。7時50分ごろに起こそうと思って部屋入ったんだけどね〜。ゆうくんってば、すっごく気持ち良さそうな顔して寝てるんだもーん。ゆっくり寝させてあげようと思って、起こしませんでしたー。ねぇうれしい?うれしいよね?やだー!あたしったらほんと気がきくいい女!あっ!朝ごはん作っといたから食べてねー。今日の味噌汁はこだわったんだよー!隣の山田さんからいただいたお味噌使ったんだ〜。じっくり味わって食べてね!後、ゲームしたりアニメ見るのはいいけど、夜中に気持ちの悪い声出すのやめてくれる?ほんとに気持ち悪いからやめてね☆!sp.貴方の愛するおねぇ様!夏菜子より。」
やべぇ。一瞬で意識が覚醒したよ。姉に対する怒りと呆れで。
あのアホ姉貴、spはセキュリティポリスだろうが、正しくはpsでプレイステーションである。
あっ!やべ時間!!俺は、スピーディにそして味わいつつ朝食を済ませる。....うん。やはり、姉の料理は美味い。流石、料理専門学校通ってるだけあるな。時折時間を忘れそうになるも、休む事なく準備を進めた。
家を出るなり、全力で駆け出した。
そういえば、自己紹介をしていなかった。
俺の名前は、中島雄二。
父親が石油王になりたいとかほざき出し勝手に旅に出て、母親が父の抜けた家を支えるために家に帰らず働き続けていることと、
クレイジーな父親によって幼い頃から、川に突き落とされたり、3歳にして富士山の頂上まで登らされたりなどとした結果、頑丈すぎる身体を手に入れてしまったことを除けば普通の高校二年生だ。他二つが強過ぎるため、普通と判定していいのかわからないが、普通でありたいと願う。
自己紹介をしているうちに学校まで4分の1の道のりが過ぎた。もう間に合わないかも知れないが可能性はあるため、足は休めない。
「ゆうー!!」
「!?電!」
後ろから凄い速さで追いついてきたのは、
大きく開いた目、長い睫毛、整った顔立ち、少し焼けた褐色の肌に、ショートの髪、ソプラノ調の高い声、
そして男子用制服をきた男の娘。幼馴染の磯谷電卓だった。....正直、俺はこいつが苦手だ。理由は後でわかる。
「ゆう!お前も遅刻か!仲間だな!あっはははは!!」
「おい!電!笑ってる場合じゃねぇぞ!てかお前....」
電卓の足元に目を向ける。
「何で三輪車乗ってんだよ!!!」
「お?乗ってくか?」
「乗らねぇよ!馬鹿!」
「なっ!馬鹿て言う奴ほど馬鹿なんだぞ!!」
「お前は小学生か!!」
....彼はうちの父に負けず劣らずの性格破綻者なのだ。
先ほどまで笑っていた電卓がいきなり真剣な表情を浮かべる。
「....なぁ。ゆう。流石の俺も笑ってられないくらいに時間がやばくなってきたぞ。」
「うっわ!!マジか!やっぱ、間に合わないか。くそー!」
「なぁ。ゆう....やっぱ乗ってくか?」
「急いでる時に何で速度落とさなきゃいけねぇんだよ!!」
「....少し考えてくれ。ゆう。お前は家からここまで全力で走ってきたんだろ?」
「そうだけどそれがどうしたんだよ。」
当たり前の事を聞いてくる電卓に少し苛立ちながらも、返事を返す。
「俺はお前が家を出た少し後に家を出て、今お前に追いついている。頭のいいお前なら、どっちの方が速いか分かるよな?」
「!?電....お前!!」
...盲点だった。こいつ...言動や行動は馬鹿そのものだけど、もしかしたら賢いのかも知れないな。
「ふっ!いいぜ。後ろ乗れよ!」
「サンキュー!電!恩にきるぜ!!」
俺は電の漕ぐ三輪車に飛び乗った。
「いっけぇぇぇええ!!」
「うおぉぉぉぉおお!!」
電は三輪車を全力で漕ぎ始める。
こ、これは!!
「すっげぇ!すっげぇ速いよ!電!」
「どうだ!間に合いそうか?」
「まだだ!!速さが足りない!!」
「そうか!!まだ行くぞ!ギアチェンジ!!」
電がまだまだスピードを上げていく。これなら間に合う!!
「おい!ゆう!曲がるぞ!!しっかり掴まっておけ!」
「サ、サーイエッサー!!」
曲がり角をグインと曲がる。
曲がり角の先には、
「マジ....かよ.....!」
そこには看板と一人のおっさんが立っていた。
看板には、
『下水道工事中』
「くそったれぇぇええ!!」
もう.....ここで終わりなのか。ここで終わってしまうのか。そうだよな。そもそも寝坊した俺が悪いんだよ。自業自得さ。ははは。焦ったところで何もかも無駄だったんだよ。.....あれ?なんかおかしい。....は!?
「おい!電!何でスピードを落とさねえんだ?」
「ここは俺の道じゃ!!!俺の道を歩く奴らはみんな敵じゃ!!!ボハハハ!!!」
あぁ!!ダメだこいつ!!早くなんとかしないと!!
「?あぁ!君たち!ダメだよー勝手に入ってきちゃー。ここは通れないの!ごめんね!」
「邪魔だー!!どけぇえ!!」
「ヒッ!?」
「ダメだ!!おっさん避けろ!!」
ドンッッ!!!
「ぶげらっ!!」
「おっさぁぁぁああんんん!!!!」
こいつおっさんはねやがった!?
「おい!お前何おっさんはねてんだよ!!」
俺が電卓に怒鳴る。
「ふっ!」
すると、あいつは俺の方を向き親指を立てて、
「good job!」
「何がgood job!だよ!!そんな血走った目のgood job!なんか見た事ねぇよ。」
「おっさん。...ふっ!いい奴だったよ。」
「殺すな!!まだ生きてるから!!」
「チッ!!生きてやがったか!!」
「確信犯!?」
「おい!そんなことより、ゆう!!もうすぐ着くぞ!」
おっさんをそんなことで片付けんなよ!!...とはいえ、残りは56秒。足りない!
「電!どうしよう!時間が足りねぇ!!」
「くそ!だったら!裏山から入るぞ!!」
「は?おいちょっと待て!ほんとやめろ!」
「いっけぇぇぇええ!!」
「ちょ!おま!!」
俺の抑制にも動じず、馬鹿は森の中に突撃する!
「痛い痛い痛い痛い!!!顔に木当たってる!!いってぇ!棘刺さった!!」
「フハハハハハハ!!フハハハハハハ!!間に合う!!これなら間に合うぞぉおお!!」
マジで痛い!洒落にならんくらい痛い!!ていうかなんなんだよこれ!なんで俺、三輪車に二人乗りして登校する羽目になってんの?おかしいだろ!!だから俺は嫌なんだよ!!こいつと居るといつの間にかこいつのペースに巻き込まれて、俺まで馬鹿になってしまう!
「もう着く!もう着くぞ!ゆう!」
「馬鹿!?お前そこ崖だ!!」
「こっから跳ぶ!!うまいこと着地しろよ!!」
「無茶言うな!!」
ダメだ!それはダメだ!!こっから学校まで高さマンションの3階ぐらいあんだぞ!!
「行くぜぇぇええ!!」
「やめろぉぉおお!」
崖がだんだんと近づいてくる。やばいやばいやばいやばい!!
「アイキャンフラァァァァァァイィィイイ!!」
「ぬわぁぁぁああ!!」
ドンッ!
「ぐぇ!」
カエルみたいな声が出てしまった。
「ふっ!」
シュタッと華麗に着地する電卓。
「きゃー!」「えぇえ!?」「空から人が降ってきたんだけど!?」「は!?これがラピ◯タの!!」
様々の声が聞こえる。良かったぁ!!親父に鍛えられてて!今だけ言うぜ!サンキュー親父ぃぃい!!
「ふぅ。なんとか間に合ったな。ゆう。」
こいつ!!もし俺じゃなかったら死んでたぞ!!
「....」
「お?どうした?ゆう。嬉しくて言葉も出ないか?あははは!」
「そらぁ!!」
「ごぶっ!!」
俺の奥義回し蹴りが、電の顎にクリーンヒットした。
うーん!やっぱりヘッタクソだなぁ。。。
第一話でヒロインが登場しないという不祥事wwこれは楽しみだぁ。
御読みいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いします。