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取り決められた日常
取り決められた笑顔と痛み
取り決められた運命に
取り決められた命
それが何かを知った気でいたはずの僕の
何も知らない空白ともいえる十三年目の夏
胸の奥の、多分心というものが軋れるのは感じた
だけど血も出なければこれが痛みなのかさえわからなかった
ただ毎日、気にもかけていなかった呼吸が凄くしにくいんだ
息がうまく出来ない
酸素を吸って二酸化炭素を吐く
ただそれだけの事
でも僕はただそれだけの事さえもいつ覚えたのかがわからない
それが当たり前の事なのだろうか
じきに周りがみえなくなった
笑い声も好きな音楽も、何もかもが雑音に感じて仕様がない
見えるもの、聞こえるもの全てが僕が隠す奥底に鋭い刃となって突き刺さる
多分、苦しい
多分、悲しい
多分、僕は辛かった
夏なのに暑さもよくわからない
去年は煩わしかったはずの蝉の声は頭の奥でよくわからないリズムで絶望を刻んだ
ずっと鋏を見ていた
鋭く銀の匂う鋏を
気づいたら腕に感情を切り刻んでいた
血が出たけど痛くはなかった
寧ろ気持ちいいともいえる感情が芽生えた
友達かわからない人が心配だと言っていた
僕はずっと心配だった
君が僕の友達なのかって
そして何もわからない僕はいつも通りの生活をする事にしたんだ
本当の僕を知らない母さん
本当の僕を知らない先生
本当の僕を知らないクラスメイト
本当の僕を知らない先輩
本当の僕を知らない部活の顧問
本当の僕を知らない街
本当の僕を知らない世界
本当の僕を知らない僕
それでいいんだ、だって僕は本当なんてよくわからないんだから
僕が友達だと思ってた人は、僕が前とは随分性格とか雰囲気とか
色々変わったと言っていた
そうなのかもしれない
変わらないと、あのままの僕だと窒息していた
変わったって本当の僕が感じるもの何も変わらなかったけど
そしてだんだんとどうでもよくなってきた
何故だかわからないけど眠くて眠くて仕方がないんだ
ちゃんと受けてた授業も、楽しいはずの休憩時間も給食も放課後も
眠くて眠くて仕方がない
家に帰ったって僕の居場所はない
あるのは僕がつくりあげた僕だけの心
そうだ何もない、早く寝なきゃ
そして朝、眠くて眠くて仕方がない
早く学校に行かなきゃ、でも
眠くて眠くて仕方がないんだ
授業ちゃんと受けないとテストで良い点がとれない、でも
眠くて眠くて仕方がないんだ
授業中にお喋りをする事もなくなった
休憩中に廊下に出る事もなくなった
給食中も学校が終わってもどうしても眠いんだ
どうしちゃったんだ
わからない
そして大人の意味を忘れた頃
死ぬという事を考えたんだ
生きることも死ぬことも何もかもわからなかった
考えもしなかった
そして十三年目の冬を越える




