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1-1 灰色の男の生い立ちとこれからのこと

4/26 文章の行間を微修正。5/4 文章の内容を微修正。名前にルビ。

 俺、干支神えとがみつかさが18歳になったある日、俺の唯一の肉親であった祖父が亡くなった。


 正直、あのガタイのいい健康そのものの爺さんが死ぬなんて直前までまったく思わなかった。急に呼ばれて、爺さんがベッドの上で、もうこれが最後の会話だと言われたときはドッキリかと思ったくらいだ。これからのことをよろしく頼む、そして俺を一人にしてすまないと、息を引き取る最後の瞬間まで謝って、眠るように息絶えた。祖母は俺が物心つく前に亡くなっているらしく、見たことがない。これで俺は正真正銘の天涯孤独だ。


 両親も俺が5歳のときに遭った事故で死んだ。いいのか悪いのか、俺だけがその事故で生き残ってしまい、大けがはしたものの命は助かったんだ。大けがをして入院した先の病室で、これからどうなるんだろうと考えていたところに、爺さんが駆け込んできた。これが祖父との初めての出会いだった。正直、そのへんの記憶がかなり怪しい。両親の死去、事故のショック、これからのこと、いろいろなものがぐちゃぐちゃでよく覚えていない。


 よく考えてみれば、祖父はおかしな人間だった。山奥にあるでかい屋敷に身の回りの世話をしてくれる人たち数人と住んでいたんだが、何をしていた人なのかがまったくわからない。時々どこかに電話していた印象しかない。今思えば、あれは俺に祖父がやっていることをできる限り隠していた結果なんだと思う。


 それはさておき、祖父からの話で、祖父は母さんの父親で、母さんは祖父の一人娘だったことがわかった。ただし、俺の両親の結婚に祖父は反対だったらしく、ほとんど勘当状態で家をでたため、病室で会うまで1回も実家に帰っていなかったらしい。孫が存在していることを知ってはいたが今まで会ったことはなかったとのこと。そして、これからはここに一緒に住んで、自分を家族として接してほしいと。

 

 病院を退院してからは、じいさんの屋敷で生活をするようになった。ある程度、日常生活が落ち着いた段階で、専用の家庭教師みたいなのをつけてくれて勉強を習った。周りに学校なんてなかったから、屋敷に毎日通ってくれているみたいだった。おかげで、世間一般の常識やら知識やらを得ることができた。


 それと同時に、しばらくしたら突然、男たるもの強くなければならないとか言いだして、武術?みたいな先生もやってきた。ただ、今思えば、武術も習ったんだけど、他にも自衛隊のサバイバル訓練のような感じのものもあって、なんだか謎だったような気がする。山の中を20㎏くらいのサバイバルグッズと念のための保存食を背負って1か月山籠もりみたいなこともした、食料や寝床は現地調達とかどうなんだろう。いや、先生には感謝しているんだけど、世の中いつ何が役に立つかわからないからな、うん。



 祖父が亡くなってすぐ、弁護士の人がやってきた。


 その弁護士の人が言うには、祖父が俺宛の遺言を残していたらしい。

正直、最初は新手の詐欺かなんかかと思ったが、最初にいろいろ説明を聞いて、本当の弁護士なことを証明してもらい、これから会話する内容を撮影してもかまわないとまで言われたところで一応信用することにした。その夜、ネットで弁護士検索したり、名刺の住所や電話番号が本当かどうかを試したりしたのは内緒だ。


 その弁護士の人は、祖父に昔お世話になった人らしく、相続やらの手続きに関して全部を代行してくれるとのこと。とても助かる。後日、まとまった内容は報告にくるらしい。


 そして最後に、祖父からの手紙を渡して、他に何か困ったことや相談事があったら名刺に書いてある携帯電話にいつでも電話してほしいと言って、帰っていった。詳しいことは手紙に書いてあるからと。


 じいさんが残した最後の手紙、これには一体なにが書いてあるんだろう。

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