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1-12 灰色の男はファンタジーな生き物と出会う④

4/26 文章の行間を微修正。

 激しく降る雨の中に、ぽつんと置いてある段ボール箱。何故か、すごい気になる。縁側の窓から外に出る。うひゃー、けっこう雨が強い。さっさと見に行こう。


 急いで駆け寄って、段ボール箱を覗いてみると、中には子犬が一匹うずくまっていた。


「なんだよ、ひとの家の前に犬を捨てていくなんて常識考えろよな。しかもご丁寧に箱に『捨て犬です、やさしいひと拾ってください』ってなめてんのか。しかも、まだ子犬じゃねぇかよ、雨の日に捨てるとか、正気かよ。こいつを捨てたやつはぜってーろくな死に方しないぜ。」


「うわっ、よく見たらボロボロなうえに、泥だらけじゃねえか、生きてる……んだよな?ほんとに最近の世の中はどうなってんだ、くそったれめ。まぁ、見つけちまったもんはしょうがないか。こんな雨の中で、このままにしておいたら死んじまいそうだしな。ごめんな、本当ならまだ親に頼って、親と一緒に生活してるはずなのに、人間の都合でこんな扱いを受けて。」


 子犬の見た目はひどかった。毛並みもくしゃくしゃだし、ところどころに泥もついている、さらにこの雨だから、さらに追い打ちになってずぶ濡れだ。急いで段ボール箱を持ち上げて、箱ごと子犬を家の中に運ぶ。


玄関に段ボール箱を置いて、中から子犬を抱き上げる。自分が汚れるとかなんて考えてられん。


「んー、体温と息はあるから生きてはいるな。でも、犬ってこんなに体温低かったか?結構やばそうな感じがするな。この時間じゃ、もう病院あいてないだろうし、まいったな。とりあえず、雨に濡れた体をバスタオルで拭いて、毛布でくるむか?あとは暖房くらいか?ちくしょう、誰だよ、こんなにちいさいのにひどいことするやつは。」


 子犬を抱えたまま、階段をダッシュで駆け上がって2階まで行くと、タンス部屋から使えそうなタオル一式が入った真空パックを引っ張り出す。そのまま真空パックされたタオル一式を担いでダッシュで風呂場に向かう。38度設定で蛇口を捻ってお湯を出しながら、風呂場の床に子犬を寝かせる。


「ちょっと待っててくれよ、すぐにきれいにしてやるからな。」


 タオルを2枚取り出してお湯につけ、タオルで子犬についた泥をぬぐう。すぐに1枚のタオルが真っ茶色になったが、汚れたタオルは風呂場の床に放置して、すぐにもう1枚のタオルで身体をぬぐう。今度はそんなに汚れなかった。


「よし、だいたいこんなもんか。あとは目が覚めたら改めて風呂で洗ってやればいいか。」


 乾いたタオルを使って、子犬の身体についた水分を丁寧にふき取る。タオルを3枚使ったところでだいたいの水分が拭えたと思う。さらに新しいタオルで子犬を包んで、そのまま抱きかかえて、リビングへ向かう。リビングに行くと、先ほどまで干していた毛布を1枚子犬に被せて床に寝かせる。

 

「あとは暖房器具でもほしいな。確か2階に電気カーペットがあったはず。」


 再び階段をダッシュで駆け上がって、タンス部屋から電気カーペットと座布団セットを引っ張り出して1階のリビングに戻る。


「濡れた体をタオルで拭いた、よし。ついでに風呂で洗うまでバスタオルでくるんでと、よし。毛布かけてと、よし。おっと顔の周りだけはしっかり開けとかないとな、よし。野生の生き物だからあんまり温めすぎてもだめだよな。電気カーペットを弱設定にして座布団敷いて、その上に毛布の毛玉お化けをのせてと、よし。こんなもんかな。あとは、目が覚めたらメシか。って、犬って何食うんだ?犬なんて飼ったことないからドッグフードなんてないぞ。まぁ、ネットで調べるか…」


 実家にパソコンなんてないからスマホを取り出して検索をかける。犬の食べ物は?っと。ネットで調べれば、素人でも専門的なことがすぐわかるんだから、便利な世の中だ。


「ふむ、今家にあるものだと水分補給でトマト、キュウリ。あとはゆでてつぶしたジャガイモってところか。起きたら食欲があるといいんだが。トマトのヘタはのどに詰まる可能性があるから取って与えることか、キュウリもそうするか。ゆでたジャガイモは適当につぶして、粗熱をとっておくか。猫は熱いのだめだというし、犬も一緒だろう。人間じゃないから塩での味付けとかはいらんな。」


 俺はそうつぶやくと、子犬が起きたときに食べることができるように、早速調理にかかるのだった。





 …………あっ、カレーの鍋を見るの忘れてたわ。しかも、まだルー入れてねぇわ。

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