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5話:思ったより鬼畜でした

5話:思ったより鬼畜でした


「まずどこから話そうか……」

「アキだけ遅れてきたのにも理由があるんでしょ? そこから教えて」

「そうだね。まずは女神の……アイリスの話をしよう」


 そうして僕は、姫が女神の力を利用しクラスメイトを召喚したこと。

 僕は女神のミスにより掴みそこなわれ、みんなと同じに召喚されなかったこと。

 自分で扉を開けて、女神のアイリスに会って友となり力を作って貰ったこと。

 最後に、みんながいる場所に転送してもらったことを話した。

 全部話し終わった後、内容に不満があったのか、肩の上にいた女神が実体化して文句をいう。


「ちょっと待つのじゃ!

 その説明だと我の話が抜けているのじゃ!」

「ちゃんと説明するつもりだよ、アイリス落ち着いて」

「嘘じゃ! ずるいのじゃ! ちゃんと我を説明するのじゃー」


 ぷいっとそっぽを向く、手のひらアイリス様に『ごめんね』といいながら頭を撫でる。

 『そんなんで機嫌が良くなると思ったら大間違いなのじゃ』と小さな声で呟いているが、手は跳ね除けられなかった。

 むしろ、『罰としてもっとなでるのじゃ』なんていう始末だった。


「えっと……アキ? そのかわいい生き物はなに?」

「我は女神なのじゃ!」

「あはは……この人はこの世界の女神アイリス様の分身のようなものだよ。

 本人曰く【手のひらアイリス様】だって。

 ちなみにアイリスはこの世界の知識を僕に教えてくれるんだ。

 元々は僕のスマホだったんだけど、改造した結果こうなったんだよ」

「突っ込んだら負けってことね。

 それで、女神様、私はアキの幼馴染で灯と申します。

 女神様のことは、どの様にお呼びしたらいいでしょうか?」

「うむ、そうじゃの、アイちゃんと呼ぶことを許すのじゃ」

「アイリス? どうしたの?」

「うるさいのじゃ! 我も女の子の友達が欲しいのじゃ。可愛く呼ばれたい時もあるのじゃ!」

「怒らないでよ、アイちゃん」

「お前はアイリスと呼ぶのじゃ! アイちゃんって呼んでいいのは、アカリだけなのじゃ!」

「あはは、アキに妹ができたみたいだね。

 よろしくね、アイちゃん」

「うむ、よろしくなのじゃ。でも! どちらかといえば我の弟なのじゃ。そこは譲れないのじゃ!」

「そこは、どっちでもいいから話を進めよう」

「わかったのじゃ」


弟と認めさせ上機嫌になったアイリスは僕の肩を降り灯の膝の上に座り『ここがいいのじゃ〜』と甘えている。

灯もアイリスの頭を撫でて『気持ちいいですか?』なんて聞いている。

アイリスの答えは『悪くないのじゃ!』だった。完全に子供である。


さて、ここからは僕がどのように計画を建てているのかを語っていくことにしよう。


「じゃあ。話を進めるよ」

「うん」

「進めていいのじゃ」

「まず、王と姫は俺達を元の世界へ返す方法は調べるつもりはない。

さらに、微妙な力を持った奴らから殺すんじゃないかな?」

「えっ何で!?」

「可能性は高いのじゃ」

「まず召喚できる人数が決まってることが1番の要因かな? アイリス説明頼める?」

「わかったのじゃ。

 まず、我がこの世界に同時に召喚できる人数は最大で20人なのじゃ」

「それ以上は無理なの?」

「うむ、この世界での召喚は召喚したら終わりでは無いのじゃ。

 召喚者が責任を持って異世界人に死ぬまで加護を与え続けなきゃいけないのじゃ」

「その加護を与えられる限界が20人ってことね?」

「その通りじゃ! 誰かを殺せば空きができて、再度召喚することが可能なのじゃ」

「なるほどね、それで能力も大したことのない私達を街の外で殺そうとして刺客を送り込んだのね」

「「そういうことだ(じゃ)」」

「ひとつ間違っているのは、アキとアカリの能力が大したことない訳がないということじゃな」

「どういうことなのアキ?」

「アイリス?」

「パパッと重要な説明を流して隠し事するのはズルじゃ!

 我はアカリが気に入ったのじゃ!」

「わかったよ……これからする話は誰にもいったらダメだからね!」

「うん」


「まず、あの場に残った奴らに女神の加護はもう無いよ。僕が全部貰った。」

「はい?」

「ああ、僕の力だよ。そもそも僕の力は【鑑定】だけじゃない。

 アイリスから貰った超能力は【略奪】だよ。

 相手の持っている物を何でも奪うことが可能って能力かな」

「完全にチートってやつね。アキは異世界行ったらチートもいいけど、コツコツレベル上げもやりたいっていってたじゃない」

「まあそうなんだけどね。女神さまに会って何でもあげますコースだったら能力チートルートの夢を叶えようと思ってさ」

「ふーん。まあいいけど。それで?」

「僕はあの部屋に転送された時から灯以外の全員の能力を奪い続けてたんだよね」

「うわー外道だわ。って、え!? でも鑑定石の時はみんな色々な能力をいわれてたわよね? アイちゃんも協力してるの?」

「ん~我は何もしてないのじゃ~その時は多分寝ておったのじゃ~」


 灯の膝の上で頭を撫でられ若干の夢見心地だったアイリスは、自分の名前を呼ばれ眠そうに答える。

 

「えっ? じゃあなんで?」

「まあそこも僕の力なんだけどね。

 ……実はですね、アイリスに貰った力は【略奪】だけじゃなくてですね、【転送】と【隠蔽】と【擬装】って力も貰っていまして……」

「はぁ~完全にこのパターン読み切ってた訳ね」

「定番だしね」

「これに関しては流石としかいえないわよ」


 状況を理解してきた灯は余裕が生まれたようだった。


「そんな訳でみんなの鑑定石の結果は僕が偽造したって訳。一応慈悲として言語理解だけは残しているけどね。

 あのメンバーはぶっちゃけ町民と変わらないから魔王なんて夢の中でも倒せないと思うけどね」

「女子のも全部奪ったの?」

「まあそこは奪ったけど、違う力を一応作って渡してあるよ」

「はぁ……今度は何?」

「いや、奪った能力の中に【創造】と【贈り(ギフト)】があったからね。

 女神の加護を対価に【状態以上無効】と【物理障壁】を付けてあるからそう簡単には死なないんじゃないかな?」

「……ちなみに私は?」

「今は……見せた方が早いかな、アイリス頼める?」

「ん~? わかったのじゃ。ほいっ」


 アイリスが灯の前にステータスウィンドウを出す。

 普通に見ればデカいタブレットが浮いている。流石元スマホだった。

 結果は……


名前:アカリ

年齢:16歳


ステータス

体力:Lv 50

魔力:Lv 30

攻撃:Lv 50

防御:Lv 70

敏捷:Lv 50


超能力:物理障壁・魔法障壁・転移・飛行

能力:言語理解・環境適応・状態異常無効

魔法:火魔法・水魔法

称号:女神の友・チートヒロイン


「……聞きたいことがある」

「何でしょう?」

「この世界の一般的なステータスってどのくらい?」

「アイリス」

「また我か~まあいいじゃろ。そうじゃな~一般人はLv 5付近じゃな。

 Lv 20超えれば勇者とか呼ばれてるのぉ~あと魔力は魔王がLv30じゃな!

 魔人がこの間Lv 50になってよろこんでおったのぉ~

 ちなみにMAXはLv 99じゃよ」

「なるほど……私は勇者以上で魔力は魔王レベルってことね。

 他にも色々突っ込みたいけど……どうしてこうなった?」

「奪ったステータスのほとんどを灯にぶち込みました。あと、絶対死なないようにスキルを作ってぶち込みました。

 ステータスなら僕より灯の方がスーパー強くなってるよ?」

「むしろ人類最強かもしれないのじゃ~」

「私は戦いたくないんだけど……」

「そんなつもりは勿論ないよ!

 ただ本当に僕が灯を絶対に死なせたくなかっただけだよ。戦いは僕が全部やるし問題ないよ」

「ならいいけど……で? 他にも奪った力があるんでしょ?」

「まあ定番ばっかりだよ。【鑑定】【魔眼】【合成】くらいかな?」

「充分ね」

「まあね」


「最後に聞きたいんだけど刺客が最後に投げたナイフが届かなかったのもアキがステータスを奪ったからなのよね?」

「ああ、あいつねそうだよ。投げる寸前に力のLv 0にしたんだよ。

 そりゃ届かないよね。あと、あいつを玉座の間に転送したんだけど、姿は擬装で僕にしておいたからもう少し時間は稼げると思うよ」

「ご愁傷さまね……」


 まあ間違いなく殺されるだろうね。

 殺しに来たんだから殺される覚悟くらいはあったんじゃないかな? まあどうでもいいけどさ。

 

 さて、これも聞かなきゃだよね


「灯は元の場所に帰りたい?」

「そりゃあ……まあね」

「僕は灯を送り届けることができるんだ。本気で考えて」

「そうね、でも今はまだこの世界を楽しみたいって気持ちもあるわよ。折角人類最強になったんだし」

「わかった。でも本気で考えておいて欲しいんだ。また聞くからね。」

「うん? 考えておけばいいのね?」

「頼むよ」


「とりあえずお風呂に入りたいわ」

「そうだね、ご飯を食べたら作りに行こうか」


 まずは腹ごしらえだ。船を漕いでいるアイリスを預かり、灯と階段を下って行く。


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