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1話:よくあるやつ

とりあえず1章終わらせれるように書いていくつもりです。

1話:よくあるやつ


 僕の夢は昔から変わらない。

 飽きやすい性格だけどこれだけはずっと変わらなかった。

 

 僕は、小学生になってお小遣いを貰うようになってから、ずっと本を読んでいた。

 ミステリーも好きだったけど一番はファンタジーだった。

 魔法を使い、伝説の剣を持ち、仲間と共に英雄になる。

 それは、僕が生きる世界には無い物だった。

 そんな夢物語に憧れ、僕だったらこうするのにな、なんて思いながら読んでいた。

 読み始めた頃は考えるだけで満足していたが、時が経つにつれて、いつの間にかノートに考えを書き出していた。

 さらに時が経つと、考えを書き出すだけではなく、もしこの場面であいつを倒したらどうなるのか? と考察をした。

 今では、ファンタジー小説一冊につき、ノート3冊の考察本が出来ている。

 もはや箇条書きの二次創作プロットといえた。

 僕の趣味、もとい憧れは幼馴染以外にはいえなかったが、高校生になった今でも続いていた。

 昔とは違いずいぶん捻くれた考えに変わったけど……


「アキ学校行くわよ。起きなさい」


 そういって、いつも起こしに来てくれるのは、ショートカットがよく似合うスポーツ系の美少女兼、幼馴染の(あかり)だ。

 美少女って肩書きは自分で名乗っている訳ではない。学校での評価からなのであしからず。

 僕と灯は、産まれる前から親同士が友人で仲がよく、幼馴染という関係である。

 幼稚園から高校まで一緒で……高校は一緒の高校へ行きたくて勉強頑張ったのは内緒だ。

 灯の親からは、

「18になったら結婚しちゃいなさい。17で子供作ってもいいわよ」

 といわれている。どういう親だよ。

 

 だがしかし、こうやって起こされるのは嫌いではない。

 布団をめくられた時に、灯の良い匂いがする。僕にとって朝はこの香りで始まる。


「異世界で生きたいな~」

「はいはい、またいつもの病気?

 中学はこの間卒業したでしょ?

 まずは、この現実を受け止めなさいよ。もう高校生なんだし」


 灯はクラスに溶け込めない僕を仲間に入れようと影で頑張っている。

 これは、中学からで高校生になった今でも続けてくれている。

 僕も灯の気持ちには応えたいと思うよ。

 だけどさ、他人からの言伝で、会う前から嫌悪感を抱いてる奴に(へりくだ)るのは僕には無理だよ……

 だから昨日のやり取りと同じになる。


「だってさ、灯だけじゃん僕の話を聞いてくれるの」

「幼馴染だしね、さすがに慣れたわよ。たまにちょっと面白いときもあるしね」

「でしょ? まあ、他の奴らにいったら馬鹿にされて終わるんだけどさ」

「そう思ってるなら少しは周りに歩み寄る努力をしなさいよ」

「灯がいてくれるからそれでいい」

「お前は私の彼氏か」

「僕は灯のこと好きだし付き合う?」

「アキのことは好きだけど恋愛感情じゃないからパス」

「フられたショックだよ。でさ、今回のやつなんだけど、異世界行って王様達に魔王を倒せば帰り方がわかります。ってパターンなんだけど……」


 ショックを受けたのは本当だよ。

 でも、ここまではいつもの日常だった。


 僕と灯の通う学校は電車で3駅移動し、そこから自転車で20分程移動した場所にある。

 僕達が通う学校【星翔学園(セイショウガクエン)】は海の近くにある。毎朝、松の独特の匂いがお出迎えしてくれるけど、僕は苦手だった。

 星翔学園は中高一貫で6階建ての造りだった。1階はエントランスで道場系がある。2階は職員室や自習室が並んでいる。

 そして3階は特別進学クラスのみが存在する。クラスも普通科より大きく、黒板が見えない人対策で、常に録画し、個人備え付けのモニターに表示される徹底ぶりだった。

 ちなみに4階は中学生、5階は高校1年生、6階は高校2年生、7階は高校3年生だった。

 

 そんな訳で僕は灯と一緒に登校している。そして、3階の【1-1】へ入る。

 灯には「おはよー」なんて周囲は声をかけているが、僕には無視だ。ここでは、いない者として扱われている。

 僕はいつも教室に入るときは人と顔を合わせたくないから、スマホを見ながら入る。

 そもそも僕は、自分から顔をあわせて挨拶をしたりはしないんだけど。

 まあ、でも例外はいるわけで……


「あきくーん? 俺らに挨拶もないのかよ? ぶっ殺すぞ?」


 どうやら「ぶっ殺すぞ」を格好良いと思っているであろう【粋がりたいお年頃グループ】に僕は目をつけられていた。

 そもそもこのクラスは特別進学コースで、男10人と女10人の計20人しかいない。

 そのうちの男4人が、粋がりたいお年頃のお山の大将に従ってる感じだ。

 多分自分もこいつと一緒にいるから強くなったと勘違いしているのだろう。

 無視しても面倒なので、とりあえず話す。


「おはよう」

「へへっ、で、昨日いっておいたやつはどうなった?」

「は? 何で楠木(くすのき)なんかに灯のパンツを盗んで渡さなきゃなんないの?」


 わざと大きい声で言う。周囲の注目を浴びうろたえるグループ。

 『楠木ないわ~』なんて声が聞こえてくる。

 灯はというと、口をへの字に歪め軽蔑の眼差しを楠木に向ける。

 そんな目線を周囲から集めれば、勉強は頑張ったが、今は粋がりたいだけの男に効果は抜群だった。

 まあ、ちなみにこの男の名前は、楠木 太郎っていう。

 太郎って名前にコンプレックスを持っているらしく、名前を呼ばれることを嫌う。


「お前あとで殺すからな」

「今までの全部録音したから。お前いつまでもこの学校にいれると思うなよ、た・ろ・う君」

「てめぇ!」


 殴りかかられそうになった時に、担任が入ってくる。


「チッ」


 舌打ちをしながら席に戻って行く太郎君は本当に残念な奴だった。

 全員が席に着き、先生がホームルームを始めた時に、突然それは起こった。


少し書き足しました。10/16

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