クリスマスは、お熱いのがお約束!!
「メリークリスマス」
『メリークリスマス』
電話越しに聞こえる彼女の声は心地よい。
「今何している?」
『何って、こたつでテレビ見て、ごろごろしてるの』
「いいな、俺もそうしたかったよ」
『仕方ないよね。用事があったんだから』
彼女は残念そうに言っているのだが、すぐに笑い声が聞こえる。
「楽しそうだな」
『うん、だって、このテレビ面白くて……』
もう半分無視されていた。
このさみしい気持ち。
「来年こそは、一緒に過ごそうな」
『うん……らいねんね。わかった……』
笑い声が聞こえる。彼女は暖かい気持ちになっているようだ。
『それで、そっちは大変なの?』
「そりゃ、大変だ。忙しくて、忙しくてな」
『どんまい。そういうときもあるって……』
「俺もこたつに入ってテレビみたいよ」
『いやでも、寒くてかなわないよ。外に出ても風が冷たいし』
「それがクリスマスの醍醐味だろ」
『そんな醍醐味いらないよ。ぬくぬくとしていたよ』
「いやいや、それは分かってない。日本の冬をわかってない」
『いいじゃん。そっちは、暖かいでしょ』
電話で話していると後ろから声をかけられた。
「おい、肉まだか、肉」
「ちょっと待ってろって」
『忙しそうだね。もうそろそろ電話切ろうか。電話代もったいないし』
「そうだな。ごめん、それじゃあ、メリークリスマス」
『うん、またねー。メリークリスマス』
さて、電話を切ったのはいいのだが、
暑い。
熱い。
ただいまの気温は35度。
規格外の暑さ。それに加えてバーベキューで肉を焼いているとあっては、もう最悪だ。
汗びっしょりのクリスマス。実に最悪だ。
「俺も、冬のクリスマスを過ごしたっかたよ」
空には南十字星がきれいに浮かんでいた。