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第八件・本当

「ま・真昼。だ・大丈・・夫・・か?」

全力で走って来たせいで息が上がっていた。

「そんなに急がなくても良かったですよ」

真昼が塀にもたれかかっていた。右腕から血が流れていた。下には血だまりがあった。

「馬鹿野郎!怪我したから迎えに来いって言われたら慌てるだろう!救急車呼ぶぞ!」

「そんなに大怪我でもないですから救急車はいいですよ」

「何がいいだ!このままじゃ死ぬぞ!」

八郎が本気で怒った。その時真昼の横に見た事の無い生き物が居た。

「真昼。この変な生き物何だ?これにやられたのか?」

真昼が驚いた顔をした。

「八郎さんこれ見えるんですか?」

「えっ?見えるけど?」

(変な事言ったか?)

「良かった。これでそれにトドメをさして下さい!」

真昼が真剣な顔をしてあの大きな袋を突き付けてきた。

「こ、殺す!?何で!」

いままでと違う雰囲気の真昼とその言葉に八郎は驚いた。

「そうしないといけないんです。早く!」

急かされて袋を開けると中には刀が入っていた。

「な!?刀!?」

「早く!逃げないうちに!」

八郎は刀を抜いた。ためらった。なぜこの生き物を殺すのかわからなかった。しかし、ためらっているうちに真昼が刀を奪った。そしてその生き物を勢いよく刺した。するとその生き物が光りになって消えた。

「うっ!!」

腕から血がでてきた。

「真昼!大丈夫か!?救急車呼ぶぞ」

「お願い・・・救急車は呼ばないで・・・」

それを最後に真昼は気を失った。




「うう。・・・八郎さん降ろして下さい」

真昼をおぶって八郎は全力で走っていた。

「真昼。気がついたか」

「ご迷惑をおかけしました。もう大丈夫です」

真昼を降ろした。

「さっきの何だったんだ?」

「それは・・・とりあえず家に帰ってから話しましょう」

真昼が笑った。

「・・・」

八郎が真剣な顔で真昼を見た。

「・・・ちゃんと話しますよ・・・」

笑うのをやめた。

「傷、大丈夫か?」

「もう平気です。少し痛むけど」

ははっと小さく笑った。それを見ると八郎は歩いて行った。後ろをゆっくり真昼が付いて来た。




家に戻って来た真昼と八郎は黙ったまま座っていた。

「あの、とりあえず着替えたいんですけど・・・」

申し訳なさそうに言った。

「ん。早く着替えろよ」

「・・・出て下さいよ」

真昼が困ったような顔をした。

「なんで?」

八郎が不思議そうな顔で聞いた。

「なんでって・・・女の子の着替え見る気ですか?八郎さんのエッチ」

「・・・・・・」

八郎が考え込んだ。

「女・・・の子?って誰が?」

ゆっくりな口調だった。

「誰って。一人しか居ないじゃないですか!僕ですよ僕!」

八郎の思考がしばらく停止した。

「は!?冗談言ってんなよ。早く話聞きたいんだから」

「冗談ってどういう意味ですか!とにかく早く出て下さい!」

追い出された。しばらく考えたがやはり納得いかなかった。(女の子〜?確かに女の子っぽい顔してるとは思ってたけど・・・やっぱり冗談だよな)試しに中を覗いて見た。顔の中心に目覚時計が飛んで来た。

「!!!」

真昼が怒って何か言っていたがわからなかった。(嘘だ。女の子があんな刀振り回したりしないだろう)また考え込んだ。鳴声が聞こえた。いつの間にか猫が足下に居た。

「まだいたのかお前。なあやっぱりあいつ男だよな」

猫に話しかけていると中から真昼がでてきた。男の子の様な格好をしていた。

「何やっているんですか?もういいですよ」

中に入って行った。

「さて何から話しますか?」

「お前は何者だ?」

「神林真昼」

「・・・何をやっているんだ?」

「化け物退治。退治屋です」

「退治屋?じゃああの変なのを殺したのも仕事なのか?」

「はい。でも殺すわけでは無く浄化するんです」

「浄化?」

「はい。あれは人の魂に何かの悪い影響があってできた物なんです。だからあの刀でその悪い部分を浄化してあげるんです。まあ、信じてもらえるか分かりませんけど」

真昼が少し笑った。

「確かに信じれないな」

「まあ、普通はそうでしょうね・・・」

真昼が少し悲しそう表情を見せた。

「信じられない。だからお前の仕事に今度から付いて行く。いいな」

「えっ!?」

真昼が驚いた顔をした。

「また怪我したから迎えに来いって言われても困るしな」

「だ、だめですよ!危ないですよ!」

真昼は必死に説得していた。

「女の子なんだろ?女の子にだけそんな危ない事させらんないっつうの」

八郎が笑った。そして不思議な事に気付いた。

「そういえば真昼傷は?」

気絶するほどの怪我だったのにもう痛い素振りを見せていなかった。

「昔からなんです。怪我してもすぐに治るんです」

「変わってるな」

「気味悪がらないんですか?」

真昼が驚いた。

「そんなこと言ってたらさっきの話だってそうだろ?まだ完全に信じたわけじゃないけど」

「まあ・・・でも本当に変わってますね八郎さんって」

八郎が笑った。

「ははっ。俺はこの生活から抜け出したいだけなんだよ。そのチャンスがやっと来たかもしれないんだ」

「やっぱり変わってる。でも本当に付いて来る気ですか?」

「ああ」

「死ぬかも知れませんよ」

「ああ」

「本当にいいんですね?」

「しつこい!」

「わかりました。明日から手伝ってもらいます。でもバイト代は増やしませんよ」

「わかってるよ」

「じゃあ今日はもう帰っていいですよ」

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