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初夏  作者: 真戸優太
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第1章

 ─結構な藪の中に入るから大変だけど、子どもは喜ぶぜ。

子煩悩で有名な会社の上司が僕に教えてくれたのはカブトムシやクワガタムシが生息している秘密の場所だった。

梅雨も明けきらず、常に生暖かい湿った空気が肌にまとわりつくこの季節、僕が住んでいるこの田舎町では野生のカブトムシ、クワガタムシたちが活動を始める季節でもあった。

 去年までは真夜中に周りを山や畑で囲まれた農道を自家用車で走り、数十メートル間隔で道端に立っている街灯の下を探していた。古くて薄明るい山の街灯下には禍々しい羽を持つ蛾や、長い触角と強い顎をもつカミキリムシたちがまるで井戸端会議をしている主婦のように集まっている。そして運が良ければカブトムシやクワガタムシにありつけるという訳だ。僕の家では毎年そのやり方で事欠くことはなかった。

 でも今年は方法を変えようと思った。街灯のやり方では真夜中に家から出るのでなかなか小さい子どもを連れて行くことが出来ない。だったら、よく昆虫図鑑の中で見かける木の幹に凛としてよじ登るカブトムシ。

父親としてあのカブトムシの姿を息子たちに見せたいと思ったのだ。



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