表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は魔王になる  作者: 千両
4/9

4




 ザルバスは、執務室の重厚なソファに深く身を沈め、配下から届いた報告書の束に目を落とした。


「──これが、人間界の"裏切り者"か」


一番上には、若き騎士イリスの名。ページをめくるごとに、その名前の隣りに記された経歴は、もはや笑ってしまうほど壮絶だった。


『本名:イリス=グレイス。十四歳。

かつて辺境の貴族に生まれ、九歳で家を焼かれ孤児となる。

軍に拾われ、十歳で従軍。

十一歳で師団長の指揮権を持ち、先陣で三度の激戦を勝利に導く。

十三歳にして「剣姫」と呼ばれ、数多の魔族討伐を成し遂げる。

直近では、裏切り者とされながら魔王直属軍団を単独で殲滅した記録あり。証人不在。』


ザルバスは報告書から目を上げ、口角を吊り上げた。


「……たった一人で、か。本当におもしろい。人間というのは、時にこんな型破りな逸材を生み落とすものなのか」


部屋の隅には、業務用の控え目な明かりだけが灯っている。静寂の中、扉を叩く音。


「失礼します、ザルバス様」


現れたのは、配下の一人、キーラだ。


「イリス様の身の回りを整えていた際、身体に不審な呪印が見受けられました。どうかお力添えいただけないでしょうか」


ザルバスは少し考えたあとで頷く。


「……それは魔王のものだろうな。あいつは力ある者を、徹底して己の道具として縛ることを好んだ」


かつての魔王。魔界の規律を整え、平穏を取り戻させたが、しかしその本性は、制圧より、支配と支配の鎖を絶えず好んだ残虐な存在。 ザルバスの記憶の中で、その赤い瞳と歪んだ嗤いが蘇る。


「わかった。後で見に行こう」


面白くなってきた、とザルバスは心の中で呟いた。伝説の騎士が、呪いと共に自分の城にいる。


これはきっと、ただの同盟以上の波乱を呼ぶ──



更新が遅れてすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ