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第九話 旅立ちのぷるぷる
朝日が牧場をやさしく照らす。
「今日は……食用スライムの出荷日か」
ユウトは静かにスライムたちを見渡す。
「ルコ、ミル、チカチカ……みんな、元気でな」
◆出荷前の準備
みんなを丁寧に洗い、エサをたっぷり食べさせる。
モモが小さく震えながら寄ってきた。
「ぷるぅ……(ユウト、私も連れていかれるの?)」
「モモは今日は牧場に残るよ。君はまだ成長途中だ」
モモはちょっと安心したようにぷるぷると返事をした。
◆別れの時間
梱包用の透明な容器に、食用スライムたちが一匹ずつ入れられていく。
ルコがふと、ユウトの手をぷるっと触る。
「ぷる……ありがとう、ユウト」
「お前たちがいなかったら、俺はここまで来れなかったよ」
◆ほんのり切ない思い
スライムたちはどこか楽しそうに見えた。
「新しい場所でたくさんの人に喜んでもらってくれ」
ユウトは目を伏せ、そっとつぶやいた。
◆出荷トラックのエンジンが鳴り響く
牧場を離れるスライムたちの背中を見送るユウト。
「また会おうな」