第七話 カビるスライム、そして伝説へ
「ユウト〜、モモの背中に変なのついてるの〜」
モモがしょんぼりしながら、背中を見せてきた。そこには――
「……カビ……!?」
ぷるぷる透明だったスライムの身体に、ふわっとした白い綿のようなものが生えていた。
ルコ「ぷるぷる!!(なにそれこわい!!)」
ミル「ぷぅぅ〜……(ふとん……ふとんの匂い……)」
ホシノ「……(浮いたまま距離を取る)」
チカチカ「ビリッ(隔離ッ!!)」←ちょっと落ち着け!
◆病気か!?それとも進化!?
スライムにカビが生えるなんて聞いたことがない。
まさか…新たな突然変異型か!?
だが――
「ごめんなさ〜い!!私が古いパンをあげちゃってたかもです〜!!」
餌屋のお姉さんが、土下座並みの謝罪。
「いや、カビパンあげたの!?」
「ちょっと期限切れだっただけで…まさかモモちゃんの背中で発酵が…」
「背中で発酵するなッ!!!」
◆謎の菌、モモの体内で独自進化中!?
この菌、どうやらモモの体液のなかで独自の進化を遂げたらしく――
一部のカビが「ぷるぷる動く」
香りが「ほんのり甘い」
なんか「ちょっと歌ってる(!?)」
「モモ、おなかのなかで『ぱっぱらぱ〜♪』って聞こえるの〜」
「おい、菌が知性持ち始めてない!?」
◆カビスライム(仮)、覚醒の兆し
なんと、このカビ、モモの魔力と融合し始めていた!
「もしかして……モモ、新スキル:胞子ばらまきを覚えたかも〜♡」
「おい待て、危険スキルじゃん!?可愛い顔してバイオテロじゃん!」
◆最終的に……
結局、錬金術師のばあちゃんに「お風呂にミントとお酢を入れて全身ごしごし洗う」という、超アナログかつスライム泣かせの方法で除菌に成功。
モモ「ぷるぅ〜(さっぱりしたけどちょっとこわかったの〜)」
ルコ「ぷるぷる(でも無事でよかった)」
ユウト「……次から餌の賞味期限は絶対見るからな」