第五話 ぷるぷる福袋、開封!
静かな朝。鳥のさえずり。草の香り。そして――
「……いやああああああああああああっっっ!!!」
ユウトの絶叫で幕を開ける。
◆それは昨日、ミルが勝手に買ったもの
「ミル……お前、何買ったか分かってんのか?」
「ぷぅ(ふくぶくろ)」←自信満々。
袋にはでかでかと書かれている。
> ✨大当たり!? ぷるぷる福袋!✨
> なにが出るかはスライム次第!
「不穏すぎるわ!“スライム次第”ってなんだよ!」
◆開封!その中には……
「……卵?」
福袋の中には、小さなゼリー状のカプセルが1個。
そして添えられた説明書にはこう書かれていた。
【祝】スライムのたまごです
あなたの“ぷるエネルギー”に反応して孵化します。
※何が生まれるかは完全ランダムです。
※まれに牧場が吹き飛ぶ個体もいます。
「いや最後の注意書き、さらっと書くことじゃねえだろ!!」
◆みんなであたためよう!
ユウトは仕方なく、卵を囲んでスライムたちと見守ることに。
「ほらルコ、ぷるエネルギー送れ。お前、恋してるだろ。エネルギー強いはず」
「ぷるぅ……(なんでバレてるの……)」
ミルは卵の隣で寝始め、チカチカはビリビリしながら手をかざす。
「やめろって!絶対それ危ないヤツだよな!?チカチカだけ物理なんだよ!!」
◆そして……
ぷる……ぷるる……
卵が震えた。
淡く光る。
ミル「ぷぅ(生まれる)」
チカチカ「ビリ(来たぞ)」
ルコ「ぷるる……(ドキドキする)」
ユウト「やべぇ……なんか普通にテンション上がってきた……」
卵が――はじけた!
◆生まれたのは……
「…………ちっさ!!」
卵の中から出てきたのは、手のひらサイズのピンク色の極小スライム。
しかも、うるうるした目でユウトを見上げてきた。
「ぷるっ……♡(ぱぱ……?)」
「えっっ!?!?今おれパパになった!?」
全スライム「ぷるるるるるる!?!?!?」
◆新たな命と、新たな混乱
生まれたスライムは、愛情吸収型という珍しいタイプだった。
名前:モモ
特徴:ユウトにべったり/甘えんぼ/怒ると分裂する(!?)
――そして、
ルコ「ぷ、ぷる……(パパと仲良くしすぎじゃ……)」
チカチカ「ビリ(この恋は……終わった)」
ミル「ぷぅ(妹にする)」←養子縁組申請中
「……いや、スライム1匹増えただけでこの混乱!?」
福袋、恐るべし――