居場所
誰にも崩されない、誰も入ることのできない、私たちだけの居場所。そんな場所でのお話。
20:43
「名前の由来教えてよ。」
「名前の由来?私の?」
「そう。学級日誌のテーマが名前の由来でさ。」
「へ〜読みたいな、みんなの。 私の名前の由来かー。
それよりさ、将来子供ができたらなんて名前つけたい?」
「へ?うーん。」
「やっぱやだな、この質問。キラキラしすぎてて。」
「何それ笑」
「みんな未来の話ばっかり。いつ結婚するとか。少子高齢化防ぐとか。」
「確かにね。世界の人口なんて増えたって減ったって、正直どうでもいい。」
「未来が等しくみんなにあるなんて、言い切れないのにね。じゃあさ、地球が終わる時、何してたい?」
「ここでこんなふうに話してたいかな。」
「私は二度寝してたいな。」
「今の共感するとこだよ。ひどいなー。」
じゃあね、また明日ね。
私の居場所。大好きな居場所。
毎日毎日決まった時間に、ベルトコンベアに乗せられたみたいに、毎日毎日同じ場所まで私達を運ぶ、そんな駅を見下ろしながら。明日もあのベルトコンベアで運ばれるのかと思いながら。
私達はくだらないことを、この場所で、たくさん話した。
毎日同じレールの上で、そのレールは終わりのないような気がしていた。
世界に存在しているのは私達2人だけなのかもと錯覚してしまうほど、静かな時間に。
私達のくだらない話は静かに響いて、明日を隠してしまうほど高くて真っ暗な山に吸い込まれた。
性格も何もかも違うのに、小さい時から間違いなく私の唯一の居場所だった。
新しいクラスに馴染めかった時も、部活が嫌になった時も、居場所が見つからなかった時も。
20時43分、駅の上で母に呆れられるほどの長い長い立ち話をした。話を聞いているだけで十分で。
私にもちゃんと居場所があると、確認するような気持ちで。いろんな話を聞いた。
そんな日々も、もうあと少し。
永遠に続くと思っていたレールは、3年間という乗車時間は、思っていたよりも呆気なく終わる。