そして僕は、兄の秘密に辿り着く。
1章終了〜。いつもよりも文が長いです!。
パソコンの操作に少し慣れ始めた僕は、兄のパソコンに入っているソフトを片っ端から調べていた。
「これといった、情報は特になしかぁ…」
僕は項垂れていた。兄の空白の3年間に繋がるであろうピースの欠片を見つける事ができなかったからだ。
兄のパソコンを調べて分かった事と言えば、
ゲームなどのニックネームがaoi1212である事。そして、兄には申し訳ないが、兄の写真フォルダを漁り。アニメのキャラクターの様な色んな衣装を纏っている男性の写真を大量に保存していることが分かった。
「ピロン!」
スマホの通知音が鳴る。僕はスマホを手に取り、画面に表示された、メッセージを見ると
「やっほー!。賢人くん、パソコンの作業は順調?」
と美桜先輩からのメッセージだった。
「いや、手詰まり中です。唯一、分かったのは兄のゲームで使うIDと。アニメキャラクター?ですかね?。全部同じ人で男性キャラなんですけど、その人の写真を大量に保存してるぐらいで…」
と返事を返すとすぐに返事が返ってくる。
「私なら、その人がどんな人か分かるかもしれない!」
確かに、美桜先輩はアニメやゲーム、配信者などの様々なオタ活をしている先輩だ。
こんな写真で兄が秘密にしていた何かに繋がる可能性は低いと思うが、この写真に掛けてみる価値はあるはず。
「このキャラクターなんですけど、分かりますかね?」
と美桜先輩に写真を送ると
「夜空 葵だよ! 賢人くん。私が前に話したの覚えてない?」
夜空…葵…誰だっけ…。僕は頭を傾げる。
「誰でしたっけ?」
「も〜、あんなに熱弁したのに、忘れてるなんて、賢人くんは酷いなぁ」
「賢人くんの声を低くして、謎の配信で再び注目を集めた、有名個人勢VTuberの夜空葵 だよ、思い出した?」
あ〜、美桜先輩と会社に向かう時にそんな事を教えてくれた様な…僕は記憶を思い返す。…………うん。思い出せないな。僕は素直に美桜先輩に謝る。
「すいません。高嶺さん、忘れてました」
すると、先輩から
「素直に謝れることはいい事!、許してしんぜよう!」
「これは私の憶測なんだけど、お兄さんは 夜空 葵のファンだったのかもしれないね。私、そろそろ仕事戻らなきゃ!。ファイト(*•̀ㅂ•́)و✧」
「ありがとうございます。高嶺先輩」
と美桜先輩にお礼を伝え、僕はスマホを閉じると。
VTuberの夜空 葵について調べる事に決めた。
検索サイトに、「夜空 葵」と入力し検索をかけると。一番最初に出てきた記事にはこう書かれていた。
「個人勢VTuber 夜空 葵 、3年間消息不明」
少し物騒な記事に驚きつつも僕はそのタイトルにカーソルを合わせてクリックする。
記事には夜空 葵の情報が、分かりやすくまとめられていた。
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個人勢VTuber 夜空 葵
wootubeのチャンネル登録者は113万人(現在は120万人)
トイッターのフォロワー数は52万人(現在は57万人)
個人勢の中では、1位2位を争うほどの人気VTuberだ。彼の主な配信スタイルは、ゲームと雑談。
そして、歌う事が苦手だと発言しているが、実はプロ級に歌が上手い。彼の歌う姿が好きなファンは多いことだろう。
そんな人気絶頂期に彼は消息不明となってしまった。彼が最後に、配信したコメント欄には、彼を待っている、リスナーの応援メッセージが沢山書かれている。
企業勢ならば、少なからず情報が手に入り、ファンも安心することができたかもしれないが、夜空 葵は個人勢な為、今どこで何をしているのか、誰も知ることが出来ない。
彼と仲が良かった、同じく個人勢VTuberの
畑 ミツハ にも数多くの心配コメントが流れていたが、「私も、みんなと同じ状況なの。今、彼がどこで何をしてるか。私も知りたい」と発言。
結論から夜空 葵は今どこで何をしているのか、誰にも伝えることなく消息をたったという事だ。
彼のファン、そして仲の良かった個人勢VTuber、皆が彼のことを待っている。一刻も早く、復帰してくれるのを願うばかりだ。
追記
3月28日に真っ暗な画面に、夜空 葵に似た声の人物が配信をした、15秒間の謎配信が話題に上がっている。
ファンからは復活するのかもしれない。家族が間違えたとか?。中の人交代?。などなど様々な意見が飛び交っているがここ2週間、夜空葵のチャンネルやトイッターからの音沙汰は何も無い。
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なるほどな。人気絶頂期に消息不明か……有名なアイドルが人気絶頂期にアイドルという人生に幕を閉じる、なんて話があるぐらいだ。このVTuberもその1種なのだろうか。
この記事を読んで気になったのは謎の配信…
記事には再生ボタンがあり、謎配信がいつでも聞ける仕様になっている。
僕はその再生ボタンにカーソルを合わせて、動画をスタートさせると。
黒い画面から馴染みのある声が聞こえてきたのだ。
「あ、なんか押しちゃった。止めるのはこれだな」
ん?。僕はもう1回再生ボタンを押す。
「あ、なんか押しちゃった。止めるのはこれだな」
え?待て、待て、待て、待て、
これ僕の声だよね、えっ?なんで、どういう事だ?僕は混乱していた。
「ふーー、はーー、ふーー、はーー」
僕は深呼吸し、状況を整理する。夜空葵のwootubeに何故か僕の声が流れている。うん、流れてる。
つまり、録画だと思っていたのは実は配信で
その配信は、夜空葵のチャンネル、wootubeに流れていたと言うことは…、
「僕の兄が、VTuberの 夜空 葵 …」
これなら、3年間も夜空葵が配信していないのにも納得が出来る。そう、僕の兄は3年前に亡くなっているのだから。
兄のパソコンを開くと自動で表示される真っ暗な画面。そして、配信で流れてしまった、僕の声。
うん。夜空 葵は僕の兄だ。
「兄さんがデータを処理して欲しいと僕にお願いしてくれたのは、これが理由?。」
空を見上げながら、兄に向けて僕は呟いたのであった。
1章終了しました〜。
2章も頑張って書いていきます!多分、キャラクター増えます。
書いてみたかったやつやろ。いいねとブックマーク、☆評価お待ちしてます!。
おバカなりに色々考えながら、2章も頑張ります!