転校少年と巫女
鮮やかな桜が咲き誇る暖かい春の朝、肇は大きく深呼吸をして転校先である七草小学校へと一歩を踏み出した。そして、通学路にある稲荷神社で肇は恋をし、その出会いが肇の運命を大きく変えることになった。
「はぁ」肇がため息をつくのには理由があった。肇は転校前いじめにあっていた、そのため学校というものに嫌気が差していた。誰も信用できない、外に出たくないそんな気持ちの肇の目に神社とその鳥居の下をほうきで掃く一人の巫女が映った。
「おはよう。初めて見るけど七草小学校の生徒?」
「え、あ、はい」
話しかけてくるとは思ってなかった肇はここ最近家族以外とまともに話してなったかせいかきょどった返事が出てしまった。
「そうなんだ。私は天野結衣、よろしくね。あなたの名前は?」
「お、俺の名前は橘肇。」
「肇君っていうんだね。最近ここら辺に引っ越してきたの?」
「はい」
「ここら辺は田舎っぽいけど山頂から見える海がとてもきれいなんだよ」
「そうなんですか」
「あ、もう学校の時間だね。引き止めちゃってごめんね。」
「いえ、大丈夫です。」
「それじゃあ行ってらっしゃい!」
笑顔でそんなことを言う結衣に小学6年の肇は不意にドキッとしたそんな結衣に肇は
「行ってきます!」と先ほどまでの憂鬱な気持ちを吹っ飛ばすほどの笑顔で言った。
そこからはとんとん拍子に物事は進み肇は学校になじむことができた。
そこから毎日肇は通学時に結衣とあいさつをし、時には雑談、掃き掃除の手伝いをしたりなど、肇にとって楽しい日々はこれから中学、高校と続いていくと思っていた。しかし、小学校を卒業し、中学の入学式の日、いつも通り神社の前を通って行こうとしたが鳥居の下にいつもいるはずの結衣そ姿がその日はなかった。風邪でも引いたのかと思っていた肇だがそこから何日たっても結衣の姿を見ることができなくなった。
そして、時は流れ肇は高校2年の冬、鳥居の下に落ちている大量の落ち葉を見て、不意に肇の目に毎日鳥居の下を掃いていた彼女の姿が映った。その後家に戻りほうきをとってきた後、肇は掃除を始めた。
雪の降る中三が日ということもあり人がおらず辺りは静まり返っていた。そんな中掃き掃除をしている肇の背後から神楽鈴の音色が耳に飛び込んできた。肇は神社を背にしていたため一瞬驚いたがすぐにこの神社の巫女である結衣がならしたのではないか、という期待を込めて振り返った。そこには神社の奥の森を駆け上っている結衣の姿があった。肇は小学校の卒業式以来あってなかった結衣の姿を見て喜びと、何故森の中に入っていくのだろうかという疑問を持たまま追いかけた。
「待っておねちゃん!」
肇は無我夢中で結衣を追いかけた。しかし、肇は結衣を見失ってしまった。「なんだよっ」そんな言葉を吐き捨て戻ろうと後ろを振り向くとそこには今さっき駆け上ってきた山道ではなく、千本鳥居が並んでいた。結衣を追って山に入った時は昼間でまだ明るかったはずなのに後ろの鳥居の中は暗闇に包まれていた。そんな帰り道をみて肇は
「なんだこれ...」
何か不吉なものを感じた肇は何かおかしいと感じながらも山頂目指して走り始めた。
肇が山頂付近につき、あたりを見たらそこからは見たこともない街並みが並んでいた。
「どこだここ。こんな町俺の住んでいた町にはなかったぞ」
そんな不安な思いになった肇の耳に神楽が聞こえてきた。辺りは暗闇でうまく見ることができないが音をたどって山の中に進んでいくとそこには神楽舞をしている一人の巫女と篳篥や龍笛などを使って演奏している人間とは到底思えない異形の生物がいた。
「おねえちゃん…?」
学生である私の初めての作品です。へたくそですがどうか次も楽しんで読んでいただけると幸いです。更新頻度は不定期になってしまうかもしれないですが次回も楽しみにしてください。良ければブックマークなどをしといていただけるとありがたいです。