動く世界と7つの絶望
それは突然起こった…
【ビービービー】
鳴り響く警音と何事かと騒めく民たち。
ここは王都上空。
突然、空が黒く染められたと思ったら、どこかの暗い暗い室内と玉座が映し出された…
「聞こえるか人間ども。我はプライド。魔族を統べる者なり。
1000年前は世話になったな。おかげで毎日憎しみを膨らまし憎悪をたぎらせ過ごしてきたわ!
それももう終わる。
ここに"人魔不可侵協定の破棄"を宣言する。
文句はあるまい??あるならかかってこい。虫ケラのように踏み潰してくれよう。
お主らの希望も平穏も何もかも終わらせてやろう。
我を含めここにいる7人の魔人。
お前らに絶望を叩きつける者の名だ覚えておけ。」
突然の映像においていかれてる民たちを気にせず、映像は続く。
《序列1位 プライド》
「もう我は言うことはあるまい。震えろ人類。」
黒い角。黒い肌。真っ赤な目をしている。
《序列2位 ラース》
「…………」
寡黙で大柄な魔人。
《序列3位 エンヴィー》
「ごきげんよう人類の皆さん。残りの余生を十分に楽しんでね…???」
褐色肌で男を魅了するスタイルをしている。
《序列4位 スロウス》
「キャハハ!!1人残らずぶち殺してやるからな!
覚悟しとけよ?キャハハハハハ!!」
細身だがその体からは自信が満ち溢れている。
《序列5位 グリード》
「ふん。プライド様が出ずとも我だけで充分だ。」
帽子を深く被り、口元も隠している。
《序列6位 グラトニー》
「むしゃむしゃ…むしゃむしゃ…」
お菓子を食べている。肥満体系。
《序列7位 ラスト》
「んー、今日も僕が1番かっこいい」
手鏡を持っていて自分のことを見ている。
「我ら、7つの絶望がお前らの希望を喰らいにいくから覚悟しておけ人間ども」
【ブツっ】
映像は途切れた。人々は皆、放心している。そして誰かが呟いた。
「に、にげなきゃ…」
このつぶやきは伝染し、恐怖を蘇らせ人々はパニックになりながら我先にと、逃げ出そうとしていた…
その頃、王宮の玉座の間では……
「今のは闇魔術か…
我らの使う魔法の1つ上のステージの魔術を
あんなものに使うとは… 馬鹿げとる。」
………………
沈黙が流れる中、宰相は集まっている家臣たちに話を始めた。
「聞け!皆も知っていると思うが、魔族に侵略宣言をされた!だが我らもただでやられるわけにはいかん!!今こそ立ち上がるべきだ!
今から王都軍を2つに分ける!
1つ目は、防衛ラインを整える戦力!これは王都を中心に確実に1つずつ仕上げていけ!!
2つ目は、英雄の血筋の捜索!!戦力として数えられるのは未だに「2人」しか見つかっていない!早急に探し出せ!
英雄の血筋と英雄の武器はお互いに引き合わされる性質がある!何としても見つけろ!」
宰相の命を受け、散り散りに動き出す者たち。
皆が自分のすべきことを理解し、玉座の間を出ていった。
この場に残ったのは4人だけ。
王と宰相と「2人の英雄の血筋」
「リヒトとアースよ。お主らは魔人の動きを観察しつつ英雄の血筋を探し出せ。王の勅命だ。」
「「はっ!!仰せのままに!」」
2人はすぐに動き出し部屋を出ていった。
「王よ。彼ら2人は国の最高戦力。
護衛などはつけなくても??」
「馬鹿言え。護衛など足手まといだ。
《天剣のリヒト》と
《数次のアース》。
sssランク冒険者と近衛大隊長だぞ。
奴らが負けたら人類の負けだ。」
そう呟き、王も玉座を後にした。
激流のように時代が流れゆく中、エンとリックが巻き込まれるのはもう少し先のお話。
次の話まで少し間が空きます。