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4、森での約束

 数日が過ぎた。ある天気の良い日に、カミラ宛ての手紙が届いた。

「まあ、コリー様からだわ」

 手紙には、散歩のお誘いが書いてあった。

「今日の午後、お迎えに上がりますですって!?」

 カミラは慌てて、身支度を調えた。


 午後になり、ソワソワとしていると一台の馬車がカミラの屋敷の前に止まった。

「ごきげんよう、カミラ様」

「コリー様、ごきげんよう」

「今日は森にピクニックに行こうかと思いまして、お誘いしました」

 カミラはウキウキとした足取りで馬車に近づいた。


「どうぞ、カミラ様」

「ありがとうございます」

 コリーの手を取り、馬車にのる。

 二人が馬車に乗り込んだタイミングで、馬車は動き出した。


「森はあまり行かれないのですか?」

 コリーはカミラに尋ねた。

「一人では危険ですので」

「そうですね」


 森に着くと、コリーは先に馬車を降りて、カミラをエスコートした。

「さあ、少し歩きますよ」

「はい」

 コリーはカミラの手を取って歩き出した。

 カミラは心臓が破れてしまいそうなほど、ドキドキとしていた。


「着きました」

「まあ、すてきなお花畑」

 コリーはシートを敷いて、持ってきていた紅茶とスコーンを取り出した。

「お召し上がりください」

「ありがとうございます」


 カミラはスコーンにクロテッドクリームとイチジクのジャムを塗り、一口かじった。

「美味しいですわ」

「それはよかった」

 カミラはコリーと神話や伝記の話をした。

 楽しい時間はあっという間に過ぎていった。


「カミラ様は心に決めた方はいらっしゃるのですか?」

「いいえ、いまはまだ……」

 カミラは俯いた。

「でしたら、私などはいかがですか?」

「え!?」

 

 カミラが顔を上げてコリーを見ると、コリーの顔は耳まで真っ赤だった。

「私は貴方のことが気に入っているんですよ」

「私も、コリー様のことが気になっています」

 コリーはにっこりと笑って、カミラの手を取りキスをした。


「婚約しませんか? カミラ様」

「私なんかでよろしいのですか? コリー様」


 コリーは少し怒ったような表情で首を振った。

「私なんか、と言うのはお止めください。あなたは素敵な方です」

「失礼致しました。嬉しいお申し出に、どう反応すれば良いか分からなくて」


 コリーは花を一輪摘むと、カミラの薬指に巻き付けた。

「婚約指輪は用意しておきます。今日はこれでお許しください」

「まあ、コリー様。可憐な指輪ですこと」


 カミラは赤い顔で、にっこりと笑った。

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