学園生活ですわ
ごきげんよう、オディールですわ。
学園に入学しましたわ。王子とロットバルトと同じクラスになりましたわ。二人を見放題ですわ。幸せというのは、こういうことをいうのでしょうね。
一年目は、三人で仲良く過ごしましたわ。ロットバルトに婚約者が決まりましたー。王子に身も心も捧げていましても嫡男ですから仕方ありませんね。王子にもわたくしがいるのですから。ロットバルトに婚約者が出来てちょっと嬉しかったのは何故なのでしょう?
二年目も楽しく過ごしましたわ。一つしたのアドルフも入学してきて、四人で仲良く。来年なんてこなければ良いのに。そうなると、あの王子とロットバルトにも会えないわけですわね。それは困りますわ。
はあ、悩める乙女ですわ。
今日は、とうとうオデットが学園に編入してくる日ですわ。平民が通う学校では頭が良すぎて、こちらに特待生として編入してくるのですわ。
まあ、確かに頭は良いほうでしたね、ゲームでも上位でしたから。ゲームでは下のほうでしたわたくしも頑張っていますのよ。上位三十番以内には入っておりますわ。これも王子の教え方がとても上手だからですわ。勉強会では距離が近くて、いつもドキドキしていますわ。ほんとにわたくしの心臓はどうしたのでしょう。
始業式が始まる前、校門を入ってすぐにオデットはすぐに転けるのですわ。そうテンプレですわ。ゲームと違って昨日の雨で地面が泥濘るんでいますから、転けたらすごいことになりますわ。オデットはどうするのでしょう? すごく興味がありますわ。わたくし? わたくしがオデットならしませんわ。服を汚すなんて、侍女に叱られてしまいますわ。
ちなみにオデットはヒロインだけあって、凄く可愛らしい方ですわ。白鳥の湖のオデット姫をモデルにしていますから。光を編み込んだような金色の髪に水色の瞳、体は貧相ですが全体に儚げな感じで男性の庇護欲をとても掻き立てますわ。
王子とロットバルト、アドルフと校舎に向かいますわ。オデットが走ってきて・・・。あれは、足が滑りましたね。ええ、泥濘るみを避けてから転ぼうとして、泥濘るみに足を取られたのですわ。盛大に泥を跳ねて、周りの方々にもかかってしまっていますわ。
誰も助けようといたしませんわ。助けたら、泥まみれになってしまいますから。
王子を見ても無駄ですわよ。始業式で挨拶されるのですから。汚したら大変なことになりますわよ。
仕方がありませんわ。
敵ですけれど、ハンカチを差し出しましたわ。あまりにも可哀想でしたから。
ギッと睨まれ、腕を取られて引っ張られそうになったのを王子が止めてくださいましたわ。
怖かったですわ。あんな目で睨まれて。転んだのはわたくしのせいではありませんのに。
王子が護衛に指示をだして、オデットは運ばれて行きましたわ。泥濘るみに落ちたわたくしのハンカチを踏みつけていったのはしっかり見ましたわ。その間、縋るような目を王子に向けてましたけど、あんな態度を見せたら無理に決まってますわ。
「姉上、汚れてしまいましたね。新しいのを贈ります」
アドルフ、ハンカチは他にもありますから、大丈夫ですわ。
「遅れるから行こう」
あら、王子が不機嫌ですわ。ロットバルトはちゃんと左後ろにいますわよ。
一つ年下のアドルフとは校舎が違うので入り口でお別れですわ。
「姉上、十分気をつけてください。さっきの女、姉上を睨んでいましたから」
あら、オデット、アドルフに敵認定されてしまいましたわ。この分ですと、ロットバルトにもいい印象をもたれていませんわね。自業自得ですわ。
「ありがとう、アドルフ。あなたも気をつけてね」
攻略対象者なのだから、十分気をつけてね。オデットが妹になるなんて許せませんわ。ゲームと同じ性格ならまだしも。あの態度、ゲームのオデットの性格では絶対にありませんわ。気を引き締めて相手しなくては。
王子とは隣のクラスですわ。あと少し点数が足りなかったですわ。授業中は王子とロットバルトの姿を見ることが出来ませんわ。凄く寂しいですわ。
「新しいのを贈る」
席まで王子が送ってくださいましたわ。耳元でそう言われて足早に出ていかれましたわ。
何故、頬が熱いのでしょう? 嫌ですわ。王子には、ロットバルトがいるのですから。わたくしは、カモフラージュ。二人の愛を守る盾なのですよ!
オデットは、今日はそのまま帰ったようですわ。あの姿ですからね。お風呂に直行の姿でしたわ。