義弟が出来ましたわ
オディールでございます。
エカリーナが同じ転生者だったなんて驚きでしたわ。
推しが違ったのは残念でしたけど、異世界の話が出来る方に知り合えて、とっても嬉しく思いましたの。これから、定期的にお会いする予定ですわ。
最後の攻略対象者アドルフが家にやってきましたわ。わたくしの従弟になります。ゲームでは流行り病で家族を失い、わたくしの家族となるのですが、現実では放火で家族を亡くしましたわ。
アドルフは、金髪の紫の瞳、今は可愛い美少年ですわ。美青年に育ちますから、今でもモテモテですわ。
アドルフが家族を亡くす病が流行ることはエカリーナと確認済みでしたので、王子たちにお願いして十分な対策をしていただきましたわ。ですから、ゲームのように病が流行ることはありませんでしたわ。人の命がかかっているのですから、知っていることを使わないという選択肢はありませんわ。
だから、アドルフがわたくしの弟になることは無いだろうと思っておりましたのに、ゲーム補正というものなのかしら? わたくし、アドルフの家族を助けられなかったのはとても残念ですわ。
目の前で焼け落ちる屋敷を見てしまったアドルフは、心に深い傷を負ってしまいましたわ。わたくし、どう癒したら良いか分かりませんから、美味しいものをとりあえずアドルフに食べさせることにしましたわ。それから、月一回の墓参りも引き摺るように連れていきましたわ。家族の死から立ち直ってもらわないとオデットが纏わりつくのですわ。それは阻止なのですわ。
オデットがアドルフを攻略してしまうと、ロットバルトの婚約者がオデットの取り巻きになってしまいますわ。オデットの取り巻きは、王子とロットバルトの愛を絶対に認めないと思いますわ。そんなの許せませんわ。絶対にアドルフには立ち直っていただきますわ。
元気な姿を見せないと亡くなった家族が悲しむとお墓に連れて行きますわ。
王子もロットバルトも付き合ってくださいましたわ。王子たちがいると反抗的なアドルフも大人しくなるから、助かりましたわ。わたくしの目の保養にもなりますし。
「お前とは、家族じゃない」
アドルフ、なんて当たり前のことを言うのでしょう。
王子たちが慌ててアドルフを諌めようとしてくださいますが、その通りですわ。
「当たり前ですわ。あなたのご家族はここにおられますわ」
わたくしは、お墓を視線で指しましたわ。
「アドルフの大切な家族は、アドルフを大切に思う家族はここにおられます。アドルフ、あなたは家族に恥じない者にならなければなりません」
あら、アドルフが泣き出してしまいましたわ。付き添いの侍女も泣いておりますわ。
王子は嬉しそうに微笑んでわたくしを見ていらっしゃいますわ。ロットバルトは横を向いて鼻を啜っていますわ。
当たり前のことを言っただけですのに、なんなのですの?
「アドルフ、来月は家族に元気な姿を見せられるようにしましょう」
泣きながらアドルフが頷いたので、アドルフはもう大丈夫ですわ。亡き家族のために立派になるはずですわ。
これで二人の愛は守られたはずですわ。
もう一人の攻略対象者ベンノは、婚約者のエカリーナに任せておりますわ。オデットに取り込まれる要素はすでに取り除き済みということですわ。エカリーナは仕事が早いですわ。
王子とロットバルトとわたくし、時々、エカリーナやアドルフを交えて楽しく過ごしていましたわ。
王子とロットバルトの仲は年々ゲームの容姿に近付いてきて、とても嬉しく思っておりますわ。二人の仲も良好でとても嬉しく思いますわ。けれど、ロットバルトに向ける眼差しを少しでもわたくしにと思ってしまうのは何故でしょう。二人の愛を見守ると決めておりますのに。二人が仲良くされていますと、何故か胸が痛いのですわ。
エカリーナと話して、フラグを折ってあってもオデットと結ばれるのなら、運命として受け入れることを話し合っておりますわ。けれど、やっぱり王子とロットバルトはオデットには渡せないですわ。特に王子は渡せないですわ。