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ありきたりな異世界召喚  作者: ふぁんとむ
王国編
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第4話 『絶対神の加護』

 『絶対神の加護』ね…。“絶対神”って僕の知る限りでは、1人しかいないんだけど、一体全体彼女は何を思って僕に加護を付けたのだろうか? 見当もつかない。


《あ、やっと出来た! どうかな? 聞こえてるかな?》


 …うわぁ。なんか頭の中に気持ちが悪くなるような声が聞こえてきたんだけど…。病院行った方が良いのかな?


《“気持ち悪い”って…。君確か初対面の時、私の声好きって言ってなかったっけ?》


 うん、言ったよ。冗談だよ。


《冗談かぁ…。…ん? ちょ、ちょっと待って! “冗談”って初対面の時のやつ? それとも、今のやつ? どっち!?》


 …うるさいなぁ。そんなことはどうでもいいから、なんで僕に加護を付けたのか、教えてくれない?


《どうでもって…。ああ、それはね、加護を付けてあげるとオマケとして神々(こちら側)から人間(君たち)へと言葉を届けられるようになるんだよ!》


 …つまり、僕と会話がしたくて、加護を付けたってこと?


《ギクッ!? べ、べつにそういうわけじゃないんだけど…》


 へえ。期待した僕が馬鹿だった。


《え!? ああ、期待しちゃったの〜??》


 腹たつな、この女神。反撃するぞ?


《フッフーン♪ 出来るものならやってみなさい?》


 うん、分かった。じゃあさ、1つ聞きたいんだけどさ、さっきルルは“言葉を届ける”って言ったじゃない? 僕からは発信してないはずなんだけど、どうして会話が成立しているのかな? とても気になるなぁ…。


《えっ、えーと…。それは…。その…》


 まさかまた勝手に僕の思考を覗いてるとかそういう…。


《ごっ、ごめんなさい!!》


 なるほど。肯定と同時に謝罪していくスタイルね。

 まあいいや。これで一矢報いることは出来たし。

 …で、加護の内容は?


《………へ? スルーでいいの、そこ。また、プライバシーの侵害がどうこう言ってくると思ったんだけど…》


 そんなこと言ってても仕方がないでしょ? 今はそれ以外に言葉を伝える手段が無いんだから。


《それもそうだね》


 そうそう、だから今は我慢…って、ちょっと待てよ?


《どうしたの?》


 無いなら、創ればいいじゃないか! なんで気づくのが、こう、遅いんだ! 自分の能力ならもっと早くに気づいてもいいはずなのに…。

 イメージは、『思念を相手へと伝えること』! 具体的にはなってないが、毒耐性&毒無効の時も出来たし、これぐらいならOKだと信じる。


《確認しました。エクストラスキル『思念伝達』を創造しました》


 よしっ! 完成だ。次の課題は、これを如何にしてルルに届けるか、だ。ルルをイメージして、ルルに伝えたいことを頭の中で繰り返す…。「ルル、意外としつこいんだね」と…。

 さて、どうかな? 届いたかな、ルル?


《ううん、全く届いてないよ。やっぱ人界(そっち)から神界(こっち)へと思いを届けるのは流石に無理だと思ったんだよね、うん》


 そうか。ルルは僕が創造したスキル程度じゃ届かないことを見込んで、恥を承知で僕の思考を覗き見るという荒手に踏み出たということか。

 それならば尚更、僕がその手段を止める必要性も無いし、代替案が浮かばないのであれば、説得力も無いだろう。

 よし、ルル。そのことに関しては、代替案が見つかるまで言及しないようにしよう。


《うん、そうしてくれると、こっちとしてもとても助かるよ》


 さて、話を戻そうか。

 加護の詳細を教えて欲しいんだけど? “言葉を届ける”のはあくまでオマケでみたいなもんなんでしょ?


《君って本当、()に対して遠慮しないよね…》


 まあ、今更でしょ。


《確かにね。でも、一応言っておくけど、私、神の一柱(1人)だよ?》


 知ってるけど。だからなんだって言うの?

 …いくら思考加速しているとはいえ、時間は有限だから、手短かにお願い。


《ああ、時間を気にしてるの? だったら、私の加護、凄い役に立つと思うよ!》


 なるほど。それはありがたい。…で、具体的には?


《えっと、『思考加速×100』『演算処理能力×100』『熱変動耐性ex』『物理攻撃耐性ex』『魔法攻撃耐性ex』『精神攻撃耐性ex』『(たましい)攻撃耐性』『腐蝕耐性』…かな》


 …。…ほう。思考加速と演算処理能力に倍率が掛かってくれるのは物凄いありがたい…が。なあ、ルル。これ、100倍と10倍で、10倍の方が消えてしまう…なんてことが起こったりする?


《いや、どっちも発揮されるよ〜。君の場合は、どっちも1000倍になるね〜》


 なるほど。つまり、体感時間で16分ほど思考しても、実際には1秒も経過していない、ということか。これで、長い時間話せるようになったわけだね。

 さて、次だ。『熱変動耐性ex』って、簡単に言えば、温度変化に強いってこと?


《あはは…。随分、簡単に解釈したみたいだね…。そういう認識であってるよー。岩が溶けるくらいの高温から、生物が活動を停止する2歩手前くらいまでなら、耐えられると思うよ〜。たぶん…》


 “たぶん”ってなんだ、“たぶん”って…。

 まあ、あまり出番は無いだろうから、いいかな。そんなトラブルに首突っ込むつもりはサラサラないし、精々自分の火魔法or氷魔法で命を落とすリスクが減るぐらいか。


《完全に信用してもいいと思うけどな〜》


 “たぶん”って言ってた奴が何言ってんの?

 まあ、次行こうか。『物理攻撃耐性ex』と『魔法攻撃耐性ex』はなんとなく想像つくから、良いとして…。


《いや、聞いてよ! せっかく原稿用意したんだから!》


 あっ、ふーん…。原稿用意してたんだ〜。そうかそうかぁ〜。通りでスラスラ答えるわけだ。じゃあせっかくだし、その原稿とやらを読み上げて、説明してくれないかな?


《わ、分かった! えーと、『物理攻撃耐性ex』っていうのは、物理攻撃に対する耐性がとても高くなるんだけど…。数値に表した方が分かりやすいんだけど、だいたい物理攻撃の80%をカットするよ。…で、『魔法攻撃耐性ex』も同様にーー》


 なるほど。思っていたよりも、随分便利そうだな。てっきり、カットされるのは50%程度だと思っていた。聞いて正解だったと思う。


《ーーっていう効果だよ…って、聞いてる!?》


 …ん? 終わったのか? 同じ説明を2度も繰り返すようだから、魔法の方は聞き流してしまった。まあ、良いだろう。


《…くっ! 久しぶりに見て、ちゃんと原稿書いたのに…!》


 あ、そういえば、原稿を書いているってことは、能力の詳細把握しきれてないの?


《流石に全部は無理…と言いたいところだけど、全部覚えてそうな()に心当たりあるんだよなぁ》


 その神以外は全員駄目駄目だな。

 …って、また話が逸れてしまった。


《今回は私が逸らしたんじゃないよー》


 分かってる。すまない。


《おお! まさか、君が謝るなんてね。どうしたの?》


 うるさいな。こちらに非があったから謝っただけだよ。

 …次は、『精神攻撃耐性ex』ね…。なんとなく想像つくけど、説明、頼める?


《もちろんだよ! えーと…。あっ、これは、精神攻撃に対する耐性だよ! だいたい70%カットかな!》


 …ふむ。名前の通りだな。先ほどと同様、過信はしないようにしよう。

 次は…『魂攻撃耐性』か…。これ、『精神攻撃耐性ex』とは違うの?


大分(だいぶ)違うよ! 『精神攻撃耐性ex』は 精神攻撃が対象だし、『魂攻撃耐性』は魂攻撃が対象なんだよ!》


 いや、それは分かっているんだけど…。そもそも“精神”と“魂”の違いをうまく理解できてないんだよね…。


《うーん…。私も、それ、専門じゃないからよくわからないんだけど、》


 …ん? “専門じゃない”ってどういうこと?


《ああ、神々(私達)にはそれぞれ司るものが最低1つづつあってね、私と仲が良かった神のうち、【精神】と【魂】を司っていた神がいたはずだから、彼らに聞けばよくわかると思うんだけど、今はいないから……》


 なるほど。じゃあ、簡単な説明でいいから、聞かせてもらえる?


《えーと、精神は、所謂(いわゆる)“心”を表すものらしいの。それで、魂は、“肉体に宿る精気”なんだって》


 うーん…。難しいなぁ。あまり深く考えず、抽象的なイメージとして捉えるだけでいいかな?


《それでもいいと思うよ〜。…あ、そういえば、どっちも“形而上の存在”なんだって〜》


 “形而上の存在”ね…。確か、“形をもっていないもの”、“究極的なもの”って意味だった気がするな…。実際そうなのだろうが、今の知識では分かりそうにもないので、スルーしよう。別に支障はないだろうから。

 さて、随分と長くなったが、最後は…『腐蝕耐性』? なにこれ?


《それはね、実は、この世界には“腐蝕”っていう“死”を司る属性があるんだけど、それに対する耐性だよ!》


 …。ルルの言い方だと、人間は認知していないかのように聞こえる。


《その通りだよ〜。200年ぐらい前には、1人だけ知ってる人がいたんだけど、もう姿を消しちゃったからね……》


 へえ、じゃあかなりレアなんだね。

 ……ん? ねえ、ちょっと待って今、“死を司る”って言わなかった!? “腐蝕”強くない!?


《うん、“腐蝕”が司るのは“死”だよ。腐蝕属性は万物に死を与えるんだよ》


 そうなのか…。

 なあ、ルル。


《なにかな? 急に改まっちゃって…》


 強すぎじゃない? 『絶対神(ルル)の加護』


《うん、だから私、“凄い”って言ったでしょー!?》


 ああ、そういえば、そんなこと言ってたような気もするね。

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