僕は見知らぬオバちゃんと一緒に暮らす。
僕の名前は、『砂若 タクミ』20歳、僕は田舎の山奥から都会に
引っ越して来たのだけど、、、?
毎日、バイトを2つも3つも掛け持ちしながら、やっとの生活...。
おんぼろアパートにはただただ、寝に帰っているだけだ、、、!
僕は、親父と二人暮らしで男でひとつで僕を育ててくれたんだ、、、!
僕の母さんは、僕が産まれて直ぐに病気で亡くなったらしい...。
だから、、、僕は写真でしか、、、?
母さんの顔を見る事が出来ないんだ、、、!
*
でも、僕は母さんが居なくて寂しいと思った事は、、、1度もないよ。
親父が母さんの分も、僕に愛情を注いでくれたからかな、、、!
きっと、親父にも再婚相手になる女性がいたのかもしれないけど、、、?
親父は、自分の事より僕の事を一番に考えてくれていたんだと思う...。
・・・そう言えば、、、?
僕が小学3年生か? 4年生ぐらいの時、、、?
親父に聞かれた事があったから、、、!
『なあ、タクミ! お前、お母さんがほしいか、、、?』
『えぇ!? どうして、そんな事聞くの、、、?』
『・・・い.いや? やっぱりまだ、お前も子供だし! お母さんになる
ひとがいる方がいいのかなと思ってな!』
『僕の母さんは、死んだ母さんだけだよ! それ以外のひとは、どんな事が
あっても! “母さん”にはなれないんだ、、、!』
『・・・うーん? そうか! 分かった!』
『・・・・・・』
今、考えると、、、?
あれって? 新しいお母さんを僕にいるか? いらないから? 聞いてくれた
んだと、、、後で分かったんだ、、、!
僕にバレないように、親父と見知らぬ女性が一緒にいるところを何回か、、、?
見た事も、今更だけど、、、? 思い出して、、、そう思ったんだよ!
▽
僕は、家を出る1か月前に親父にこう言ったら、、、? 凄く喜んでいたのを
今でも覚えているよ!
『なあ、親父!』
『うん?』
『【再婚】したいなら、していいよ!』
『えぇ!?』
『知ってるよ! 隠れて、親父と女の人が会ってるの!』
『・・・あぁ、知ってたのか!』
『あぁ! 本当は、もっと前からその人と再婚したかったんでしょ?』
『・・・まあな、』
『じゃ、したら? 再婚! 僕はいいと思うよ!』
『タクミ、ありがとう。』
『亡くなった、母さんも喜んでるよ!』
『そう、思っててくれてたらいいんだがな~?』
『母さん、思ってるよ! おめでとう!』
『あぁ、ありがとう!』
*
僕は、親父とその再婚相手がふたりで幸せそうにしているのが分かると
この家を出たんだ、、、!
『長い間、お世話になりました! これからは、一人で頑張っるから!
親父も元気で幸せでいてくれよ!』
『あぁ、お前もな!』
『うん!』
『それと、お母さん! 親父の事、頼みます!!!』
『・・・えぇ!? ・・・私をお母さんと呼んでくれるの、、、?』
『もちろんだよ! お母さん!』
『何かあったら? 何時でもココに戻って来て、いいんだからね!』
『分かってる! じゃ~行ってくるね!』
『うん。』
▼
こうして! 僕も、都会で独り暮らしをはじめたのだけど、、、?
ただただ、毎日が仕事に追われて、幸せどころか、、、?
辛い思いしか! しなかったんだ、、、!
【せめて! おふくろの作る料理を食べたい! 味噌汁を作ってほしい!】
母親の愛情が急に、、、恋しくなってしまったんだ、、、!
一度も、感じることが出来なかった母親の温もりを、、、。
1度でいいから、感じてみたいと...。
強く思うようになってしまった...。
*
そんなある時、雨がよく降る日だった、、、。
高架下で、1人のオバちゃんが、雨に濡れないようにうずくまっていたんだ、、、!
・・・僕は、咄嗟にそのオバちゃんに話しかけたんだよ!
『そんなところで、、、? 雨に濡れない?』
『・・・まあね、でも、仕方がない! 私には家がないから、、、!』
『・・・・・・』
『もう行きな! アンタも風邪引いちゃうよ!』
『・・・僕の家に来ないか! おんぼろアパートの狭い部屋だけど、、、?
でも、ココよりはいいよ!』
『えぇ!?』
『ただ、一つだけ条件があるんだ!』
『・・・なに?』
『嘘でいい! 嘘でいいから! 僕の母さんになってほしんだ、、、!』
『・・・私が、アンタのお母さんに、、、?』
『僕は、産まれた時から母さんがいなかったから! 母親って? どういう
ものなのか? 分からないんだよ!』
『そう! それならいいわよ~! タダで面倒見てもらうのも気が引けるしね!』
『ホント、、、!?』
『えぇ!』
▽
僕はこうして、見知らぬオバちゃんと一緒に生活する事にしたんだ、、、!
『ねえ、母ちゃん! 今日の晩ご飯はなに、、、?』
『タクミの好きな、ハンバーグとお味噌汁よ~!』
『じゃ~仕事が終わったら? 連絡するね!』
『えぇ! 気を付けていってらっしゃーい!』
『うん!』
『ちょっと待って! タクミ、お弁当忘れてるわよ!』
『あぁ! しまった、ホントだ! じゃ~今度こそ! 行ってきまーす!』
『いってらっしゃい~!』
*
僕は、今が幸せだよ!
見知らぬ土地で、独り暮らしをはじめてから、ずっと一人だったから、、、!
今は、僕には大切な母ちゃんがいるし、、、!
たくさん、母ちゃんから母親の愛情をもらっているよ。
・・・でも、母ちゃんがどうして、、、?
あの時、高架下に1人で、雨に濡れないようにうずくまっていたのか、、、?
何にも、僕は母ちゃんから聞いてないのだけど、、、?
いつか? 母ちゃんがあのおんぼろアパートから出て行ってしまうかもしれない!
それでも、ずっとじゃなくてもいい!
今の幸せを噛みしめていたいんだ、、、!
ただ、それだけなんだよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。