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第8話 初ダンジョン

 神速のダグが俺の師匠になってくれた。

 理由? それはわからない。


 俺の事を哀れに思ってくれたのか。

 それとも単なる気まぐれか。

 理由なんて何でも良い。


 今日、これからダンジョンに入れる!

 神速のダグから教えを受けられる!


 シンディ待ってろ。

 一日でも早く迎えに行ってやる。

 奴隷商人から解放してやる。


 俺は神速のダグの後を追って、ルドルのダンジョンの入口へ向かっている。

 これから何を教えてもらえるのか?

 隠しスキル【カード】の力でステータスがどんな風に上昇していくのか?



 とにかくメチャクチャ興奮している!!!!



 いや……。

 待て、落ち着け。


 これはチャンスなんだ。

 絶対ダメにしちゃいけない。

 冷静になろう。


 まずは、現状把握から始めよう。

 自分のステータスを確認……。



 -------------------


 ◆基本ステータス◆


 名前:ヒロト

 年齢:12才

 性別:男

 種族:人族


 LV: 1

 HP: 12.05/12.05

 MP: -

 パワー:-

 持久力:-

 素早さ:-

 魔力: -

 知力: 70

 器用: -


 ◆スキル◆

 【鑑定(上級)】


 ◆装備◆

 ショートソード 攻撃力+2


 ◆アイテム◆

 なし


 -------------------


 あれ?

 HPが?

 12.05?


 小数点二桁まで表示されてる。

 0.05増えたのか?


 ああ!

 ハイジ村で倒したスライム5匹分か!

 スライム1匹で0.01アップって事か!

 上り幅が小さいけど、まあスライムならこんなもんか。


 それから装備のショートソードの攻撃力が+2と表示されてるな。

 まあ中古のボロイショートソードだから、攻撃力はそんなもんだろう。


 たぶんこの表示は【鑑定(上級)】スキルが付いたから、見られるようになったのだろう。

 面白いな。


 ステータスは戦闘にモロに影響する。

 しかし、具体的にどんな影響があるのか、イマイチわからない部分もある。


 当然マニュアルなんてない。

 経験則で、『パワーが上がれば攻撃力が上がる』、みたいに言われているだけだ。

 ステータスでわかっている事は……



 LV:魔物を倒すと経験値が入りレベルアップする。


 HP:0になると死ぬ。


 MP:魔法を使うエネルギー源。0になると魔法が使えなくなる。


 パワー:力、特に攻撃力に直結する。防御でも有利。


 持久力:スタミナ、長時間の戦闘をこなせる。


 素早さ:戦闘中の回避やクリティカルに影響する。


 魔力:魔法の威力を高める。LVアップ時のMP増加にも影響あり。


 知力:戦闘に影響があるようだが、あまり良くわかっていない。


 器用:矢の攻撃が強くなる。他にも影響があるようだが、あまり良くわかっていない。



 って感じだ。


 これにスキルの影響もあるので、単純にステータスの数値だけで強い弱いの評価は出来ない。

 ただ、一つだけ言えるのは、-横棒の俺は確実に弱い。


 だがら、神速のダグが師匠になってくれたのは大きい。

 ほんと感謝だぜ!


*


「ここがダンジョンか……」


 俺は師匠神速のダグの付き添いで、ダンジョンへの入場が許された。

 初めて入ったダンジョンは思ったよりも怖くなかった。


 石造りの壁は、汚れがなく、新築の建物の中にいる様だ。

 天井が光っていて、通路は良く見える。


 ここは1階層の入り口を入った所。

 広間の様になっていて、左、正面、右へと通路が続いている。


 1階層はダンジョンとは思えない程人が多く、ごった返している。

 ほとんどの人は、入り口から真っ直ぐ通路を進む。

 真っ直ぐ進んだ先に2階層への階段があるからだ。


「ヒロト、左と右どっちに行きたい?」


「師匠、下に降りるには直進ですよ?」


「直進はダメ。今日は1階層で訓練をする。さあ、左? 右?」


「じゃあ、左で」


 俺は広間から左の通路に入った。

 師匠が俺の後を付いてくる。


挿絵(By みてみん)


 左側は壁、魔物はいない。

 右に曲がれる通路があるが、とりあえず真っ直ぐ進む。


 100mくらい進んだか?

 周りには誰もいなくなった。


「なあ、ヒロト知っているか? ルドルのダンジョンは、横に広いんだぜ」


「知ってます」


 そう、初心者向けのこのダンジョンは、縦つまり階層数は10階層と大した階層数ではない。

 他のダンジョンでは50階層とか、縦に深いダンジョンがざらにあるのだ。


 しかし、ここルドルのダンジョンは横方向に広い。

 1階層、1フロアがとんでもなく広いのだ。

 1階層の広さがどの位あるのかは、今だにわかっていない。

 10キロ四方なのか? 20キロ四方なのか? 広すぎて誰にもわからないのだ。


 それにルドルのダンジョンは、初心者向けダンジョン。

 倒す魔物から得られる経験値は、他のダンジョンに比べて少ない。

 だから、時間をかけてこのダンジョンを隅から隅まで調べようと言う者好きはいない。

 そんな理由もあって、ルドルのダンジョンの全容は、今だ分かっていないのだ。


 だが、ダンジョン内で迷子になるヤツはいない。

 10階層まで直通ルートを書いた地図を売っているからだ。

 地図には直通ルート以外の通路は書いてない。


 俺と師匠は地図に書いていない通路をドンドン進んでいる。

 迷子になるんじゃないか?

 ダンジョン内で遭難するんじゃないか?

 ハッキリ言って怖い。


「師匠、怖いですよ」


「そうだな~。じゃあ、そろそろ右に曲がってみるか。そこ、右な」


「全然、話し通じてないですね……」


 ここまでは、広場から左方向の通路をドンドン真っ直ぐ進んで来た。

 右に曲がると1階層の地図に無い奥の方へ進むことになる。

 迷う事になりかねない。


 まー、でも曲がりますか。

 訓練だしな。


 曲がった通路は、2階層への直進ルートと平行の通路だ。

 もう一回右に曲がれば、人の多い2階層への直進ルートに戻れる。

 うん、碁盤の目状の通路だから、方向さえつかんでおけば大丈夫だ。


「お、いたぞ。ヒロト戦闘して良いぞ」


 曲がってすぐにヤツはいた。

 スライムだ。赤い色をしている。


 魔物を倒せばカードが手に入る。

 赤いスライムは、何のカードだ?

 楽しみだ。


 ザクッ!

 ザクッ!

 ザクッ!


 プシュー!


 何の問題もなく戦闘終了。

 ダンジョン内では魔物は強くなるらしい。

 ショートソードで3回刺し倒せた。


 おお!

 カードが出て来た!


 師匠には見えてないみたいだ。


 カードがシュッっと俺の体に吸い込まれた。

 魔石は青いスライムと同じ小指の先位の大きさだった。


「ヒロト。入り口はどっちかわかるか?」


「そこを右に曲がって、人の多い通路にぶつかったら、また右で入り口に戻れます」


「地図に書けるか? 紙じゃなくて、こう、空にさ。入り口からここまで」


「こうですか?」


 俺は指でシュッ、シュッと、空に道順を書いて見せた。

 入り口から左へ真っ直ぐ、それから右に曲がった所。


「よーし。じゃあ、また進もう。どっかで左に曲がれよ」


「了解です」


 俺は歩きながらステータス画面を立ち上げた。

 自分の画面だから、師匠には見えない。


 画面の端をちょっと突いて、反転させ裏面を表示する。

 今、赤スライムからゲットしたカードは……。

 あった!



 -------------------


 ◆ステータスカード◆

【パワー上昇(微量)】×1


 -------------------



 おっ!

 赤スライムはパワー上昇なのか!

 ハイジ村で倒したスライムと同じ(微量)だ。


 カードを押して消費すると……。


『パワーが、ごくわずかに上昇しました』


 よし! パワー上昇!

 ハイジ村の時とメッセージは同じ、『ごくわずかに』だった。

 たぶん0.01上昇だろう。少ない数値だが確実にアップしてるはずだ。

 よし! よし! よし!


 ステータス画面を閉じて、通路を左に曲がる。

 まだまだ通路は真っ直ぐ続いている。

 向こうの壁が見えない。


 あ、またいた。

 赤スライム。


「やります!」


「よーし、行け!」


 ザクッ!

 ザクッ!

 ザクッ!


 プシュー!


 うーし! 2匹目!

 そして、カード2枚目! 魔石も2つ目!


「ヒロト! 地図を空に書け」


「またですか?」


 えーと、どうだったかな。

 戦闘の後だと、興奮してるから、考えずらいな。


 入口の広場を左、真っ直ぐ進んで、右、そこから2つ目の通路を左。

 で、今戦闘が終わった。

 後ろの方が、人の多い通路だな。


「よーし、じゃあ、どっかで右に曲がれ」


「了解!」


 さて、歩きながらステータス画面を空けて、カードは同じか?



 -------------------


 ◆ステータスカード◆

【パワー上昇(微量)】×1


 -------------------



 同じだ。

 パワーは攻撃力がアップするから大歓迎だ。


 カードを押して消費っと♪


『パワーが、ごくわずかに上昇しました』


 うむ!

 少しづつでも良いから力は確実に上っているのだ!


 さてと。じゃあ、右に曲がりますか。

 これで人の多い通路は右の方だな。

 人の多い通路と今は並行して歩いてるな。


「そこ、左に行っちゃおうか?」


「了解!」


 あ、また、赤いスライム。


 ザクッ! ザクッ! ザクッ!

 プシュー!


 3匹目。

 カードをゲットして、消費してパワーをアップっと。

 魔石を拾って……。

 師匠、また来るか……。


「ヒロト! 地図!」


「は~い、えーと……」


 入り口の広場、左で直進、右曲がる2つ目左、すぐ右、それで左。

 後ろが人の多い通路。


 やばい、だんだん、覚えられなくなって来た。


「よーし、行こう。どっち行く」


「ま、真っ直ぐで!」


 やばい、余裕がなくなって来た。

 今、後ろが人の多い通路だよな。

 そうだよな? 間違えてないよな?


「ヒロトー! 右!」


「はーい!」


 右に曲がると……。



 あれ!?



 俺に異変が起きた。

 思わず足を止めた。


 何か急に頭の中に……。

 地図と言うか……、今通った道が具体的にイメージ出来る。


「師匠、何か変です! 通ってきた道が……、わかるんです。地図と言うか……」


「それが、スキル【マッピング】だ。新スキル獲得おめでとう!」


「マジですか!」


「ああ、ステータス画面見てみろ」


 そ、そうだ!

 ステータス画面!



 -------------------


 ◆基本ステータス◆


 名前:ヒロト

 年齢:12才

 性別:男

 種族:人族


 LV: 1

 HP: 12.05/12.05

 MP: -

 パワー:0.03

 持久力:-

 素早さ:-

 魔力: -

 知力: 70

 器用: -


 ◆スキル◆

【鑑定(上級)】【マッピング】new!


 ◆装備◆

 ショートソード 攻撃力+2


 ◆アイテム◆

 スライムの魔石×3


 -------------------



「おお! スキルに【マッピング】が追加されています! 簡単に取れるスキルなんですね」


「いや~そんな事ないぞ。ダメな奴は、何年たっても【マッピング】は取れない」


「そうなんですか?」


「ああ、ヒロトは、かなり早いぞ。知力が高いからじゃないかな♪」


 師匠は自分の事の様に喜んでくれた。

 一緒に喜んでくれる人がいるのは、イイね。


「よーし、じゃあ、奥の方へドンドン探索しよう]


「はい! 師匠!」


 俺は左、右と気ままに道を進んだ。

【マッピング】が機能して、師匠と話しながらでも、通って来た道がわかった。


 師匠と話しながら、1時間くらい歩いた所で見つけた。

 階段だ!


「師匠、階段です! これ地図に書いてない階段ですよね?」


「凄いぞ! 新発見の階段だな!」


「やっぱりボス部屋はないんですね……」


「ああ、ルドルのダンジョンは4階層からボスが出る」


 ダンジョンでは、下の階層に降りるのにはフロアボス、階段の門番をしている強い魔物を倒さなくてはならない場合が多い。

 このルドルのダンジョンは、3階までは通してくれる。

 知ってはいたけれど、ボスがいれば、カードが楽しみだったのでちょっと残念だ。


「この階段は地図に書いてあるルートから離れてますね」


「2階への新ルートだな。さしずめヒロトルートってところかな」


「ヒロトルートですか! いいですね!」


 ここはルドルのダンジョンに入って、右の奥の方に位置する。

 通常ルートの階段は、ダンジョンに入って正面の通路にある。

 

 誰も知らない階段の発見!

 新ルートの開拓!

【マッピング】スキルも付いた!


 出だしは順調だ!


挿絵(By みてみん)


ブックマークありがとうございました☆彡

2018/3/9 0時まで、予約投稿済みです。

毎日0時に更新します。

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