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ガチャ転生!~異世界でFラン冒険者ですが、ガチャを引いてチートになります  作者: 武蔵野純平
ルドルのダンジョン編 |1章 

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72/99

第72話 ご機嫌よう、お嬢さん

1900pt達成しました☆彡

(人''▽`)ありがとう☆

 俺とサクラは、領主館の敷地の中を走る。

 モメている声が、門の方から聞こえる。


「テメー! 俺達はニューヨークファミリーだぞ!」


「だからどうした! ここはエリス姫が、お住まいになる領主館だ!」


 門が見えて来た。


 門の外に、ニューヨークファミリーのケインがいる。

 肩にタトゥーをしたチンピラ風の男たちが、ケインの周りをガッチリ固めている。

 門番を威嚇し、にらんでいる。


 その後ろに……、ウォールだ!

 奴隷を6人引き連れている。


 クソッ! 殴り込みか?

 俺は、サクラに命じた。


「サクラ! エリス姫に報告して来て! セレーネも連れて来て!」


「了解!」


 サクラは、領主館の本館に走って行った。

 門の周りには野次馬な冒険者が、パラパラと集まってきている。


 門番の衛士は、4人だ。

 ニューヨークファミリーより、人数が少ない。

 力ずくの展開になったら負けてしまう。


 俺は、衛士のすぐ後ろに腕を組んで立った。

 ケインたちをにらみつける。


 門番たちへの、せめてもの援護射撃だ。

 12才の子供じゃ、迫力不足だとは思うが。


 ケインが俺に気が付いた。

 厳しい目つきに、にやけた口元で、俺に話しかけて来た。


「いよ~! ヒロト大先生じゃねーか! やってくれたな!」


 俺はケインに真っ直ぐ向いて、正面から返事を返す。


「何の事だ?」


「この新新ルートだよ! まーた、オメエが、からんでるって話しじゃねーか!」


 ケインの取り巻きのチンピラどもや、ウォールの視線も俺に集まる。

 俺は、ウォール陣営の視線に負けないように気合を入れる。


「俺たちとエリス姫の共同探索の結果だ!」


「おーおー、やってくれるな~大先生! いいか! これが最後だ! ニューヨークファミリーに入れ! ヒロト!」


 取り巻きのチンピラが、俺をにらみつけて威嚇してくる。

 圧倒的な暴力の臭い……。


 だが、俺は屈しない。

 グッと拳を握り、精一杯の力強さで、ケインに言葉を返す。

 返す言葉は、決まっている!


「断る!」


 ケインは、頭を右手でかくと、フーっと息を吐き出した。


「なあ、ヒロト。俺はオマエを、殺したくねえ。オマエは、憎めねえ野郎だ。それに、何より……、俺たちと同じだ。わかるだろ!」


 たぶん、ケインは、同じ転生者だと言いたいのだろう。

 ニューヨークファミリーは、転生者の助け合い組織だと、以前ケインは言っていた。


 転生者同士で、助け合う。

 それは、わかる。


 だが、だからと言ってホイホイ人を殺したり、犯罪に手を染めて良いもんかね?

 俺は、違うと思うぜ。ケイン!


 この世界の人達だって、俺ら転生者と同じ人間だ。


「ケイン! 俺は、真っ当な道を歩く! 簡単に人を殺す連中とは、付き合わない! オマエらの世話には、ならない!」


 ケインが、グッと俺をにらみつける。

 俺もにらみ返す。


 場の緊張が高まる。


 そんな中、ウォールが甲高い笑い声をあげた。


「ウハ! ウハハハ! いや~、結構結構。いいねぇ~。ヒロト君はぁ、信念の人だねぇ~。ご立派ご立派!」


 ウォールは、にやけた顔でパチパチと人をバカにしたように手を叩く。

 だが、その軽薄な態度とは裏腹に……、殺気はドンドン膨れ上がっている。


 俺の【気配察知】が、最大レベルで危険を感じている。


 腰を少し落とし、かかとをほんの少し浮かせる。

 いつでも【神速】で移動出来る様に、その時に備える。


 ウォールが真顔になった。


「では、死ね」


 来る!

 俺は【神速】を発動すると同時に、右斜め前に移動する。


 ウォールは、俺が立っていた所に、剣を真っ直ぐに突き出した。

 その動きは、目で追えなかった。


 おそらく、スキル【加速】を使ったのだろう。

 ウォールが、ノンビリとした声を上げた。


「あれれ? いないぞぉ~」


 俺はコルセアの剣を抜いて、じりじりと移動する。

 円を描く様に、ウォールの背後に回り込む。


 今なら、がら空きの背中を……、斬りつけられる。

 だが、ウォールは貴族……、侯爵家長男だ。


 ウォールから攻撃をして来たが、貴族相手に俺の反撃は、どこまで許されるんだ?

 俺は迷ってしまい、攻撃の機会を逸した。


 ウォールが、だらんと剣を垂らして、ゆっくりと振り返った。


「ああ、いた! み~つけたぁ~」


 ウォールが、顎をクイッっと動かした。

 俺は後ろから、ウォールの奴隷に羽交い絞めにされた。


「ちょっ! お、おい! 離せよ!」


 前後、左右に体をゆすって、締め付けを解こうとする。

 だが、解けない。


 もの凄い力で後ろから締め付けられている。

 ウォールが、近づいて来る。


「さーてと。串刺しにして上げよう。どこがいいかなぁ~? 胸? 首? お腹? それとも、大事なトコロが良いかなぁ~?」


 ケインの取り巻きたちが、下卑た笑い声をあげる。

 ウォールは、俺の目の前に立ち、剣を突く体制を取る。


「ああ、安心したまえ~。簡単には、殺さないよぉ~」


 ウォールが、剣をゆっくりと俺の体、腹の辺りにピタリと付ける。


「じゃあ、最初はぁ~。この辺から行こうかぁ~」


 まずい。

 ヤられる。

 ウォールが、剣をグッと握りしめた。


 その時、矢が風を切る音が聞こえた。

 風切り音が聞こえた瞬間、ウォールの剣から金属の弾ける音がした。


 キイーン!


 ウォールの剣の軌道がそれて、俺を羽交い絞めにする奴隷の太ももに剣が刺さった。


「アアアー!」


 奴隷が悲鳴を上げる。

 俺への締め付けが、少し緩んだ。


 俺は、右手に持つコルセアを手放した。

 両手を万歳するように上げて、尻餅を突く要領で下方向に体をおろす。


 羽交い絞めから、抜け出せた!

 加速だ! 【神速】で移動し、コルセアを拾う。


 ウォールの殺傷範囲から脱出する。

 セレーネの声が聞こえた。


「動かないで!」


 サクラがセレーネを連れて来たんだ!

 次の矢を弓につがえ、ウォールにピタリと狙いを定めている。


 ウォールは、奴隷の太ももから剣を引き抜くと、セレーネをチラリと見た。


「ああ。おしいなぁ~。邪魔を、されてしまったぁ~」


 エリス姫と騎士達が、駆け込んで来た。


「ウォール殿! 領主館で、騒ぎは迷惑じゃな!」


 ハゲールも冒険者達を引き連れて、門の方に走って来る。

 形勢逆転だ。


 ケインが舌打ちをして、何事かウォールに耳打ちした。

 ウォールは、黙ってうなずくと、エリス姫に一言だけ声をかけた。


「ご機嫌よう、お嬢さん」


 ウォールとケイン達は、去って行った。

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