第68話 俺の尻をつかむな!
1600pt達成しました☆彡
ブックマーク登録600件達成しました☆彡
(人''▽`)ありがとう☆
冒険者ギルドで、ウォールを取り逃がした。
俺、セレーネ、サクラ、エリス姫一行は、はらわたが煮えくり返っていた。
目の前で、生き証人を殺されたのだ。
証人に証言をさせて、ウォールを追い詰めようと思っていた俺達には、痛手だ。
だが、ウォールの行動は、彼自身にとってマイナスだった。
冒険者ギルドで、多くの人間がウォールの凶行を目撃した。
ギルドマスターのハゲールは、完全にウォールから心が離れたようだ。
ウォールが立ち去った後、怒りを発していた。
「あり得ん! 冒険者ギルド内で、度重なる刃傷沙汰! 侯爵家の長男とは言え、あり得ん!」
周りで見ていた冒険者たちも、口々にウォールを非難した。
「ひでえ!」
「味方殺しかよ!」
「あれはないよな……」
その様子を見ていたエリス姫が、大きな声でギルド中の人に呼びかけた。
「ルドルの街の冒険者に対して、特別依頼を出す!」
特別依頼?
何だ?
まさか、ウォールへの襲撃?
エリス姫が突然言い出した『特別依頼』とは、どんな内容なのか?
エリス姫に、ギルド中が注目した。
「昨日、新しく見つけたルートへの探索を、ルドルの冒険者に依頼する! 人数は無制限! 一人一人に、日当を2万ゴルド出す!」
ホールの冒険者から質問が飛んだ。
「仕留めた魔物は? 姫様に献上するのですか?」
「献上不要じゃ。仕留めた魔物は、冒険者の物じゃ」
「宝箱から出た、アイテムは?」
「それも、冒険者の物じゃ」
サクラが、小声で俺に話しかけて来た。
「これは……人海戦術で、精霊ルートを一気に攻略する気ですね」
「そうだな。ウォールが10階層まで探索してるって言うからな。冒険者を使って一気に追い抜く気だろう」
セレーネも、会話に加わって来た。
さっき、弓をウォールに構えた時よりも、大分落ち着いている。
「日当が2万ゴルド出て、獲物もアイテムも冒険者の物に出来るのだったら、好条件の依頼だね~」
「そうだな! 人数無制限だから、かなりの数の冒険者が、この特別依頼を受けるだろうな……。あっ! そうか!」
「何~?」
「エリス姫の狙いだよ。ウォールの評判が落ちた。そこで、特別依頼でエリス姫陣営に、冒険者を引っ張り込むのも狙いだよ」
「あ~、なるほど~」
あちらこちらで冒険者たちが、この特別依頼を値踏みしている声が聞こえる。
どれくらい稼げそうか? 特別依頼を受けるか? パーティー単位で相談をしている。
一段落ついたところで、エリス姫が追加の条件を提示した。
「さらに、ボーナスじゃ! ボス部屋を見つけたパーティーには、報奨金を50万ゴルドを出そう! ボスを倒し、次の階層へ転移させてくれれば、報奨金を倍にして、100万ゴルドじゃ!」
これは、破格の条件だ!
次の階層へ一番乗りすれば、100万ゴルド!
冒険者ギルドのホールは、大盛り上がりになった。
「100万ゴルドだとお!」
「ボーナスありか!」
「太っ腹!」
エリス姫を誉めそやす者、興奮する者、唸り声をあげる者、ホールの冒険者は、大騒ぎだ。
ハゲールが騒ぎを手で制して、エリス姫に確認をした。
「エリス姫様、ご依頼ありがとうございます。それで、冒険者のランク指定は、いかがなさいますか?」
シンとギルド内が、静まり返った。
どんな好条件の依頼でも、自分のランクで請負えないのでは、意味がない。
みんな、エリス姫とハゲールのやり取りを、注意して聞いている。
「ランク指定は、ナシじゃ!」
「え!?」
「ランクの指定はナシ! Fランクの冒険者でも、参加可能じゃ」
「そ、それは、とんでもない人数が集まって……。と言うより、ルドルの全冒険者が、特別依頼を受けてしまいます。お支払いが、とんでもない金額になってしまいますが……」
「構わぬ! 全ての冒険者に、特別依頼を受注可能にせよ! 他の街から移って来た冒険者でも良い。今、ニューヨークファミリーに参加しておる冒険者も、ニューヨークファミリーを抜ければ、参加して良い!」
「か、かしこまりました!」
エリス姫は、冒険者たちに向き直った。
「みな聞いたな? 冒険者なら誰でも参加出来る依頼じゃ! ボーナスは、早い者勝ちじゃぞ! 依頼は……、今からじゃ!」
エリス姫の『今から!』が聞こえた瞬間、ギルドの中はパニック状態になった。
冒険者たちが、ハゲールに詰め寄ったのだ。
「俺たちやります!」
「ウチのパーティー参加です!」
「ギルドマスター! 早く依頼用紙を!」
「おい! 押すな! ちょっと待て! 今、事務手続きをする! 痛い! 痛い! 俺の尻をつかむな! 【身体強化】は、使うな!」
ギルドのスタッフが、大慌てで冒険者たちを引きはがし、事務手続きを開始した。
エリス姫が、俺たちの側にやって来た。
何か話しづらそうな顔をしている。
「ヒロトたちは、別の依頼を受けて貰いたいのじゃが……」
「どんな、ご依頼でしょう?」
「今までと同じように、私と共同探索をして欲しいのじゃ」
「それは……。俺たちには、この特別依頼に参加しないで欲しいのですね?」
「う、うむ……」
エリス姫は、申し訳なさそうな顔をして視線を外した。
まあ、何となくわかる。
エリス姫としては、この機会にウォール陣営、ニューヨークファミリーから冒険者を引っぺがしたい。
その為の『エサ』が、この特別依頼だ。
俺たちは、【マッピング】スキル持ちの俺がいる。
それに、精霊ルートのボス部屋の位置も、確実ではないけれど予想出来る。
もし、俺たちが特別依頼に参加して、100万ゴルドの報奨金を次々に独占したら、他の冒険者のモチベーションが下がる。
特別依頼が『エサ』として機能しなくなってしまう。
俺は、エリス姫の提案を受け入れる事にした。
「わかりました。俺たちは、エリス姫のおそばに居るようにしますよ」
エリス姫は、パッと嬉しそうな表情になった。
「そ! そうか!」
「エリス姫の狙いは、わかります。ウォールやニューヨークファミリーの力を削ぐ為ですから、OKですよ」
俺たちは、冒険者ギルドを後にした。
ハゲールの悲鳴混じりの声が、後ろから聞こえた。
「だから! 尻をつかむな!」
*
――翌朝。
俺は早起きして、領主館で朝風呂に入った。
汗をかく夏に朝風呂……、幸せだ!
領主館で、俺たちには、ゲスト用の別棟が提供された。
2階建ての屋敷で、1人1部屋を使わせて貰っている。
屋敷には、魔道具を使った浴室があり、なんとお湯が使える!
大変ありがたい。
この世界で風呂は、貴族や金持ちの家にしかないのだ。
この屋敷の風呂は、ユニットバス位の大きさだが、それでも贅沢品だ。
チアキママと住んでいた家には、風呂がなかった。
だから、転生してからは、水浴びだけで、元日本人としては、ちょっと辛かった。
実家が焼け落ちてしまって、気落ちしていた。
だが、風呂に入れるので、俺の気持ちは、かなりなぐさめられている。
俺が、うー♪ とか、あー♪ とか、風呂につかりながらうなっていると、浴室のドアが開いた。
「ヒロト~! おはよ~!」
セレーネが、一糸まとわぬ姿で浴室に入って来た。
俺は、裏返った声で返事をした。
「お、おはよう……。あの……、俺が、入っているのだけれど……」
「一緒に入ろ~!」
セレーネは、笑顔で答えた。
俺は、動揺した。
恥ずかしいとか、そういのは無いのかな?
ああ、あれだ。
セレーネは、お父さんと2人で、ずっと山で生活していたからな。
同年代の異性と、交流した経験が少ないのだろう。
だから、あれだ。
小さい子供が、男女一緒にお風呂に入るのと、同じ感覚なのだろう。
きっと、そうだ。
そうに違いない。
セレーネは、動揺する俺のことなどお構いなしに、バスタブに近づいて来た。
エルフらしい、ほっそりした美しい体に、俺の目が釘付けになった。
これで、ホントに12才かよ?
胸は大きい。
セレーネは、着痩せするタイプか?
エルフってのは、ツルツルぺったんこ……、なのが、世の常識では……。
俺が、セレーネの体に見とれていると、セレーネがサッと手で体を隠した。
「も~う! そんなジロジロ見られたら~、恥ずかしいよ……」
「ご、ごめん!」
いや、俺、何やってるんだ。
相手は、まだ12才だぞ。
セレーネは、俺の背中の方に回ってバスタブに入って来た。
俺はバスタブから出ようかと思ったけれど、【絶倫(中級)】が発動したようで、出るに出られなくなってしまっていた。
「ほら、ヒロト、もっと前に出て~。そう~」
セレーネが後ろに回って、俺を後ろから抱っこする体勢になった。
柔らかい胸が、背中に当たる。
じ、事案発生……。
いいのか、これ?
しばらく、無言で二人で風呂につかった。
セレーネが、話し始めた。
「ねえ、ヒロト~。おうちを建て直すならさ~。お風呂を付けようよ~。私たちもお金を出してさ~」
風呂は魔道具だから、かなり高いらしい。
「良いね。けど、セレーネは良いの? 自分で稼いだお金を、俺の家の建て直しに使ってしまって……」
「うん、いいの~。私、チアキママの事を、好きなの~。お母さんみたいに思ってるんだ~。だから、一緒に住む家に、お金を出すのは当然だよ~」
「そっか。ありがとう!」
セレーネの気持ちは、本当に嬉しかった。
チアキママも喜ぶだろう。
俺は、コチコチになっていたが、セレーネと話して大分リラックスしてきた。
「この騒動が落ち着いたら、相談してみよう」
「うん!」
セレーネが、後ろからギュっと抱き着いて来た。
背中に柔らかな感触……極楽だ!
仕事多忙で更新が止まっていて、ごめんなさい。
(m´・ω・`)m ゴメン…
社会人アマチュア作家なので、ご勘弁を。
評価ポイントは、下からお気軽にお願いいたします☆彡





