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第1話 ガチャは寿命と引き換えに

今日が作者の誕生日なので新作を投稿しました!

よろしくお願いします。

 俺の目の前には、三台の大きなガチャがある。

 そして、小さな悪魔が宙に浮いている。悪魔は、ぬいぐるみのような姿で、おもちゃみたいな声で俺に話しかけて来た。


「良く来たね! もうすぐ次の世界に君の魂が生まれ変わる。その前に、このガチャを引けるよ」


 そういって俺の手にコインをジャラジャラと渡して来た。


 ・一か月

 ・一年

 ・十年


 なんだ? このコインは?

 刻印されているのは、一年や十年?

 これは何を意味してるんだ?


 俺はコインを手に持ってジッと見た。

 悪魔はニヤニヤしながら俺を見ている。

 なんか腹立つなコイツ……。


「クフフフ……怒ってるね。いいよ、いいよ」


 人が困っているのに、面白がってやがる。まあ、悪魔だからな。

 それより大事なのは、このコインとガチャだ。


 このコインはなんだ?

 それに生まれ変わる?

 その前にガチャを引く?

 どういう事だ?


「質問していいか?」


「クフフ、いいよ」


 悪魔はニヤニヤ笑いを止めない。

 悪魔の顔を見ているとイライラする。


「俺は死んだのか?」


「そうだよ」


 ショックだ。

 たぶん、そうだろうなとは思っていたが……。


 俺は加藤創、四十才、派遣やバイトで食いつないでいた。

 昨日……、たぶん夜八時ごろだと思うが……、車に轢かれたのは覚えている。

 その後、気が付いたらここにいた。


「じゃあ、ここは……地獄?」


「そうだよ」


 辺りを見回すと何もない。周りの色は、おどろおどろしい赤と黒だ。

 まあ、見た感じ天国ではないわな。


「お前は悪魔か? 名前は?」


「五級悪魔だよ。名前はないよ」


 五級悪魔ね。

 たぶん悪魔の中でも下っ端なんだろう。


「なあ、なんで俺は地獄にいるんだ?」


「悪い事をすると地獄にくるよ」


「俺は悪い事をしていない!」


「クフフフフ! ホントかなあ? 何か悪い事をしたんじゃないかなあ?」


 そう言われてみれば……。

 まったく悪い事をしていないかと言われれば……。自信を持って言い切れない。


「クフフ、さあ、どうする? ガチャを引く? 引かないで生まれ変わる?」


「……」


 はー。どうやら地獄に来たのは手違いじゃないらしい。

 まいったな。


「俺は生まれ変わるのか?」


「そうだよ」


「どんな風に?」


「知らない。でもガチャを引いた方が良いよ」


 不親切っていうか、イライラするな。

 五級悪魔野郎のニヤニヤがイライラする。


「……ガチャはこれか?」


「そうだよ」


 ホントにデカイガチャだ。

 横幅は自動販売機くらい、上の方はずーっと続いていてガチャの天井が見えない。


 ん?

 ガチャに何か書いてあるな?



 ブロンズガチャ

【頭脳明晰(初級)】

【ややイケメン】

【剣術(初級)】

【魔法(初級)】


 出るかも!

【剣術(中級)】

【魔法(中級)】



 なんだ? これは?

 悪魔はニヤニヤ笑っている。


「なあ……、このガチャの説明をしてくれるか?」


「クフフ、いいよ」


 悪魔がガチャの説明を始めた。


 ・ガチャは三回まで引ける。

 ・ブロンズ、シルバー、ゴールドの三種類のガチャがある。

 ・ガチャを回すと、次の世界に生まれ変わる時の才能・適性・条件などが手に入る。


 つまり、さっき書いてあった『ブロンズ』ガチャで、【頭脳明晰(初級)】が出れば、ちょっと頭が良い人間に生まれ変われるらしい。



 だが、タダでガチャが引けるわけじゃない。


 消費するのは、最初に悪魔から渡された手元にあるコイン。

 そしてこのコインは俺の寿命……。


 そう、このガチャは次の世界の寿命と引き換えに回せるガチャなのだ。

 ガチャで消費する寿命は、


 ・ブロンズガチャ:寿命一か月

 ・シルバーガチャ:寿命一年

 ・ゴールドガチャ:寿命十年


 となっている。

 そして、次の世界の平均寿命は五十年だと悪魔は告げた。


「クフフ、なかなか良いシステムでしょ?」


「ガチャを引かないとどうなるんだ?」


「無能な奴隷に生まれ変わる。クフフ、一生こづき回される不幸な人生だよ」


「悪魔め!」


 寿命を使うガチャ・システムなんて、まさに悪魔的だ。

 まあ、でも、ガチャを引いた方が良いのはわかった。


 問題は、『どのガチャ』を、『どれだけ引くか』だ。

 他のガチャは、どんなのが出るんだ?

 書いてある文字を見てみよう。



 シルバーガチャ

【頭脳明晰(中級)】

【すごくイケメン】

【剣術(中級)】

【魔法(中級)】


 出るかも!?

【剣術(上級)】

【魔法(上級)】



 なるほど。

 ブロンズ(寿命一か月)より、シルバー(寿命一年)の方が一ランク上だ。

 じゃあ、ゴールド(寿命十年)は?



 ゴールドガチャ

【頭脳明晰(上級)】

【超イケメン】

【剣術(上級)】

【魔法(上級)】


 出るかも!?

【剣術(超)】

【魔法(超)】



(初級)⇒(中級)⇒(上級)⇒(超)

 の順で、パワーアップしてく感じか……。


 でも、どうなんだ?

 どのくらい違うんだ?


「なあ、悪魔。この(初級)、(中級)、(上級)、(超)ってどれくらい違うんだ?」


「クフフ、さあ? どうだろう? 教えられないよ」


 この野郎、意地悪しやがって!

 なんかムカついて来た。

 こうなりゃネチネチ色々質問攻めしてやる。


「なあ、生まれ変わるのは、どんな世界なんだ?」


「君がいた世界とは、まったく違う世界だよ」


「具体的には?」


「教えられないよ」


「剣術ってなんだ?」


「剣で戦う事だよ」


「魔法は?」


「魔法を使う事だよ」


「(初級)は?」


「能力がちょっとあるよ」



 ふーん。

 どうやら、次に生まれ変わる世界は、剣だの魔法だのがある世界らしい。


「次の世界に魔物はいるのか?」


「クフフ、いるよ」


 そうか、いるのか。ファンタジー的な世界に生まれ変わるのか……。

 ってことは、日本とは違ったかなり荒っぽい世界だろう。

 剣術や魔法の能力は欲しい。


 そう考えると、剣術や魔術が『初級』のブロンズガチャ『寿命一か月』より、『中級』のシルバーガチャ『寿命一年』の方がお得感がある気がする。

 次の世界で寿命一年を犠牲にしても、平凡な能力よりもレアな能力の方が良い人生が送れそうだ。


 よし! シルバーガチャを引いてみよう。


 俺は手に積まれたコインから、『一年』と書いてあるコインをつまみシルバーガチャに投入しようとした。


 ……。

 ……。

 ……。



 待てよ……。


 五級悪魔野郎がニヤニヤ笑ってる。


 ホントにシルバーで良いのか?

 何か聞き漏らしはないか?


 待てよ、ここで次の人生が決まる。

 よく考えろ……。


「なあ、次の世界の平均寿命は五十年って言ったよな?」


「言ったよ」


「必ず五十年生きられるのか?」


「違うよ」


 違うのか!

 てっきり必ず五十年生きられるのだと思っていた!


「すると、事故とか、病気とかで、早死にする事もあるのか?」


「あるよ」


 おい、おい、待てよ!

 だったらこのコインをどう使う?


 例えばブロンズガチャ(寿命一か月)を三回引いたとする。

 残りの寿命は、四十九年と九か月だ。

 だが、それはあくまで平均寿命から考えた計算上の寿命って事だ。

 貧しい家に転生して子供の時に病気で死んだら、寿命コインを節約した意味がない。


 とはいえ、ゴールドガチャ(寿命十年)を三回引くのも乱暴だ。

 残りの寿命が、二十年になってしまう……。

 二十年の人生は、いくらなんでも短すぎる。


 あれ?

 そうだ!


「なあ、悪魔。次の世界で寿命を延ばす方法はないのか?」


「クフ、クフフ、あるよ」


 あるのか!

 なら、ここでゴールドガチャを三回引いてもいいかもしれない!!


 いや、待て。

 悪魔のニヤニヤがさっきよりひどくなった気がする。

 慎重に確認しよう。


「次の世界で寿命を延ばす方法は、どんな方法だ?」


「クフフフフ、教えられない」


 んー。なんとなく悪魔の反応を見ているとロクな方法じゃなさそうだな。

 恋人の命を代償に、とか言われたら嫌だ。


 どのガチャを引けば正解だろう?

読んでいただいて、ありがとうございました!

ストックが無くなるまで、毎日0時に公開していきます。



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