16話 ポンコツ
そろそろタイトル変えようかなぁ
「コケー!コココ、コケー!」
今すっごい勢いで鶏がこっちに向かっている。
もうね、言葉に表せないくらい早い。
これ当たったら、痛いんだろうなぁ。やだなぁ。
や、これ当たったら痛いどころじゃ無いと思う。
当たりどころ悪ければ、最悪の場合死も有り得るよ。
「あわわわわ、りゅ、りゅりゅりゅ、リュウロ君!
ど、どどどどどうしよう!?」
あっ、現実逃避してる場合じゃなかった。
うわっ、鶏めっちゃ近くに来てるし。速いなお前。
お前並の鶏じゃねーだろ。
つーか、リュウロって誰だよ。
「せんぱいっ!はやく逃げましょう!」
「おう、2人とも先に逃げてろ」
叫ぶ無音に俺はそう告げる。
ずっと前からこーゆーセリフ言ってみたかったんだ。
だってなんか、かっこいいじゃん?
俺が言うとそうでもないけど。
「えっ?リュウト君はどうするの?」
「俺が1人で鶏を倒す」
俺のカッコつけた言葉を聞いて、
五十土ちゃんが信じられないって顔をする。
おいおい、仮にも仲間なんだから少しは信頼してよ。
俺はちょっと悲しくなって無音に目を向ける。
すると、秋の夕暮れみたいなオレンジ色の瞳で
俺の顔を覗いてきた。
「そんなの無理ですよせんぱいっ!」
「まぁ、見てろって」
俺の声を聞いても不安そうな顔をしている無音を、
視線で黙らせる。
どうやら、黙りはしたが逃げるつもりはないようだ。
邪魔しないなら良いかな。そう思って正面を見る。
そんなことしてる間に鶏はもう既にすぐそこまで
来ていた。おいおい、5mもないよ?
お前、はやすぎなんじゃねーの?
鶏がどんどん距離を縮めてくる。
うっし、あのスキルを使う時がやって来たようだ。
3m、2m、1m、今っ!
「完全ガード!」
鶏がぶつかる寸前、俺は大きな声でそう叫んだ。
俺のスキル <完全防御>を発動させた。
すると、俺の突き出した右手を中心に、
突然、無色透明の無数の正六角形が
半球状の巨大なバリアーになって現れた。
「コケー!」
勢い良くバリアーにぶつかった鶏は
ぶつかった反動で大きく跳ね飛ばされた。
すっげーはやさだったから鶏はもうめっちゃ飛んだ。
これさ、右手突き出して叫んだわ良いけど、
スキル発動しなかったらただの黒歴史だよね。
うん、スキル発動して良かった。
それは良いんだけど、コイツ全然死なないね。
さっきから俺ずっと殴ってるんだけど、
なかなか死なないもん。
「コケー!」
痛!コイツの蹴りめっちゃ痛いんですけど。
なんなの?もういいわ、本気だすわ。
「男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿男鹿馬鹿男鹿男鹿男鹿男鹿ァァァァァァァァァァッ!」
「こけ……こけ……こぉー………」
ばたんっ
うっし、鶏撃破成功だぜ。なんか無駄に疲れた。
特に喉が。あと腕もかな。
「せんぱいっ!凄かったです!」
「リュウト君、さすがだねっ!」
「おう、まあな」
五十土ちゃんと無音が俺を褒めてくる。
いいぞ、もっとやれ。
多分俺は、褒められて伸びるタイプだから。
や、やっぱりやめて、恥ずかしいわ。
俺はてれくさくなって左手で頭を搔く。
ん?なんか痛い気がする。
「あれ?せんぱいの左腕、怪我してますよ!」
あっ、ほんとだ、ちょっと擦りむいてる。
多分、鶏が蹴り入れた時に怪我したんだろうなぁ。
さすが鶏だぜっ。
「づっちーせんぱい、出番ですよ!」
「了解だよっ!」
五十土ちゃんは長い杖を右手に構え、
若草のような綺麗な瞳に力を入れる。
そういえばその杖いつ買ったの?
「ヒール!」
呪文を唱えると杖から透明な緑色で玉みたいな
呪文の塊が飛びだして少女の美しい黒髪が揺れる。
呪文って結構大きいのね。名前忘れたけど、
バスケで使うボールくらいあるんじゃないかな。
あっ、思い出した、バスケットボールだわ。
名前そのまんまじゃん。
俺の左腕に緑色のふわふわが直撃した。
そう、直撃した。直撃したよ?
でも、なんか全然回復しないんだけど。
あれ?このパターンさっきも見た気がするんだけど。
デジャヴ?デジャヴなの?
もしかして、うちのパーティメンバーってポンコツ?
いやー、これは紛れもないポンコツパーティですわ。
うん、なんか悲しくなってきた。
猛火竜バーサーカー・ドラゴン
モンスター ランク2 インターセプト 赤属性 火炎系
フレイムドラゴン 攻撃力9000 防御力5000 △1
(B) (S) 自分のターン中相手のエンプティーゾーンにカードが置かれた時、このターン中このモンスターの攻撃力+2000。
バーサーカーだよ。
えへへ、とっても強そうでしょ?




