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異物

作者: 中沢プリ子

詩みたいなものです。(小説ではないです)


人生の隙間にそれは入り込んだ

精神状態が著しく悪かった頃

やる事とやらなくてはならない事とやりたくもない事が重なり合って、一度バラバラにしたけれど、どうにかくっ付けなくてはならず、やって見たら隙間があった

それは埋まらなかった

埋めようとも思わなかった

その時期、

その隙間は必要不可欠で、なんの間違いもなく、真実で現実だった

だからその隙間に何が入り込んでも仕方なかった

入り込んで来たのは、排他的な感情だった

自分を無下に扱うような種類の、自分も人も傷つけるもの


入り込んで来たその異物は、私の中で息をして、その後何年も共に生きる事になる


成長して、

隙間を埋める時が来た

また心をバラバラにする事があっても、もう隙間は出来ないだろう

確信がある

1つ1つ確かめてくっ付ければいいだけの事

隙間が出来そうであっても、そこにうまくはまるピースを求め、あてがえば良い

そこに努力する事に何の負い目もない

今はそう思う


異物を墓に埋める時が来た

ずっとこうしたかった

でも

いざ穴に埋め、土をかけていると、とめどない切なさが襲う

涙が出る

こんなにもこの異物が私の体の一部になっていたなんて思わなかった

異物なのに

葬るべきなのに

土をかけながらひとしきり泣いた

声を上げて泣いた

そして完全に埋まってしまう前に、もう一度だけ異物に触れた

するともうそれは息をして居なかった

かつての生気は抜け落ち、ただの石のようだった

私は心残りなく、最後の土をかける事が出来た

強く叩き込み、大地と馴染んで成仏することを祈った


私の持っていた異物

隙間から飛び込んだそれは、私の人生において必要だった

今はそう思う

愛していた

とさえ思う

この愛しさを、ここに記す


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